映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

南米でしか作れないもの 映画『スナッフ/SNUFF』ネタバレあらすじと感想

スナッフ/SNUFF

コメディ度:1/10

グロ度:3/10

感動:1/10

リアリティ:2/10

人に勧めやすいか:1/10

満足度:1/10

目次

作品情報

www.youtube.com

1975年製作/アルゼンチン・アメリカ/上映時間80分
原題:Snuff
配給:ジョイパックフィルム

監督:不明(マイケル・フィンドレイ、オラシオ・フレドリクソン、Simon Nuchtern)

脚本:不明(マイケル・フィンドレイ、ウォルターE.シアー)

製作:不明(ジャック・ブラブマン、アラン・シャクルトン)

撮影:不明(ロベルタ・フィンドレイ)

音楽:不明(リック・シャクルトン)

出演:不明(マルガリータ・アムチャステギ、ティナ・オースティン、アナ・キャロ、ブライアン・ケアリー、リリアナ・フェルナンデス・ブランコ、マイケル・フィンドレイ、ロベルタ・フィンドレイ、エンリケ・ララテッリ、ミルサ・マッサ)

あらすじ

 田舎の廃墟を拠点とするカルトがあった。信者の女性らはサタンと名乗る男を崇め、彼の指示なら何でも聞いた。サタンには何人もの殺したい相手がおり、信者を次々と送り込むが...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

サタンと呼ばれる男が仕切るカルトが田舎の廃墟を拠点にしていた。信者は全て女性。

信者の女性2人はヤクを切らし、信者でディーラーのアンナから奪おうとした。アンナが逃げ、1人が発砲。左肩に着弾しアンナは気絶した。

アンナに足枷を嵌め、女は彼女の足の指を切りつける。その様子を眺めながらサタンは「お前たちは俺がいなければ生きられない」と語りかける。

罰を終えた後、女は布切れと注射器を持ってアンナを治療した。

 

リオデジャネイロの空港。トイレで用を済ませた男性の背後に女性が近づいたと思うと、持っていたナイフを腹部に突き刺した。次いで首を切りつけると慌てて逃げ去っていく。

 

同じ頃、空港には映画プロデューサーのマックスと彼の専属女優テリーが空港に降り立った。マスコミをやんわりとかわして車に乗り込み、マックスの屋敷へ。テリーはマックスに隠れホーストに電話し、遊びの約束をする。テリーとホーストは両思いだが、仕事の都合で離ればなれとなっていた。ホーストにはアンジェリカという愛人がいる。ホーストはボートに乗ってテリーを迎えにきた。

 

ホーストが外出している間アンジェリカは川でサタンと密会。彼女は彼の命令でホーストの屋敷に忍び込んでいた。目的はホーストとの子供を創ることらしい。だがテリーが現れたのでその必要は無くなった。カルトの目標はマックスを殺すこと。他の信者2人も川に飛び込み、4人は川遊びを始める。

 

テリーはホーストと性交。そこにマックスから仕事の電話がかかる。彼女はホーストに引き止められたが仕事だからと嫌々家を出た。

 

テリーが妊娠。ホーストの屋敷に住むこととなり、アンジェリカは追い出される。

 

テリーはマックスに妊娠のことを謝った。マックスはそのことは後で考えようとテリーを連れてカーニバルに繰り出す。喧騒のなか酒を飲んでいるとテリーが1人の男に連れ出された。男の正体はホーストで、別室に連れ込んで性交。残されたマックスはひとり酒を飲む。途中で立ち上がり、暗がりに入るとアンジェリカが待ち伏せしていた。彼女はナイフをマックスに振り下ろす。

 

翌朝テリーは警察から取り調べを受けた。昨夜はマックスの他に6人もナイフで背中を刺され死亡したという。

取り調べを終えたテリーはホーストにそそのかされ彼の別荘へ。ところが予定よりも早く父親が帰宅していた。彼の父は武器商人であり、テリーは難色を示した。ドイツ製の銃をユダヤ人に売っているなどと話しているとサタンとアンジェリカが割って入った。2人はアンジェリカの荷物を取りに戻っただけだったが、サタンはその話を聞き逃せなかった。父と口論になり、2人は追い出される。

 

昼下がりカルトの女達が商店へ強盗に入る。店主を拳銃で脅し金を詰め込んでいたが、車が店の前に止まった。女達は外に出ると乗っていた母子を射殺。そこに店にいた客の男が立ち向かった。男の撃った弾が一味の1人に命中。男は投げナイフに刺されて死亡した。

 

唐突にアンジェリカの過去が語られる。農場主ルイスに雇われ住み込みで働き、ときに犯されていた。ある日、父親がルイスを殺そうとしたが返り討ちにあった。父親の手首を切り落とされ、見せしめに吊るされる。後日弟が父の復讐を果たした。それ以来アンジェリカは誰かに依存する生活を送ってきたという。

 

ホーストは友人アントニオと屋敷で飲んでいた。彼の妻はとんでもない尻軽で、誰とでもヤるという。ホーストは早速使用人のベッドでおっ始めた。アントニオはそれを覗き見ている。

敷地にカルトの一味が侵入。アントニオと妻は殺され、ホーストは木に縛り付けられた。体を鞭で打たれ、股間を切り取られる。

 

一味は屋敷に入り込んだ。テリーはホーストの父と一緒に昼寝をしている。眠っているテリーにアンジェリカは口づけをした。テリーは目を覚まし、この状況に驚いた。ホーストの父は拳銃を突きつけられ命乞いする。

 アンジェリカはテリーにホーストの子供を身籠っているか尋ねた。いるわと答えるとアンジェリカはテリーの腹に包丁を突き刺した。

 

 

突然画面が切り替わり撮影風景に。カットがかかり監督は女優をべた褒め。興奮してるからここでヤろうと女優を誘った。みんなが見てるという女優に対し監督は、すぐに居なくなるさとベッドに押し倒す。2人がキスしているのをカメラは撮影していた。それに気づいた女優は声を荒げて反抗。監督は女優を押さえつけ「これから決定的瞬間だぞ」と言いながらナイフをちらつかせた。そしてそのナイフで肩口をザックリと切りつける。次いでニッパーで指を切り落とした。

スタッフに体を押さえさせると電動のこぎりで右手を切断。その後ナイフで腹を切り裂くと腸を掲げて雄叫びを上げる。ここでフィルム切れが起こりEND

感想

この作品は日本で初めてR-18指定された海外映画として有名だが、ラスト4分の映像以外について誰も話そうとしない。内容があまりにもお粗末だからだ。

本作がヒットしたのは時代のおかげだとしか言い様がない。当時アメリカでは南米から殺人フィルムを密輸しようとしていた男が捕まっており、殺人フィルムに対しての関心が高まっていた。

そもそも”スナッフ”は元々別な作品として公開されるはずだった。冒頭から始まる映像はフィンドレイ夫妻が1970年に製作した”スローター”という作品だ。本作の出来はヒドく映像はお蔵入りに。英語が喋れない俳優もいたため音声はアフレコで後付けしたらしい。

ところが出資者のアラン・シャクルトンは諦めなかった。南米の殺人フィルムが話題になるとすぐさま便乗し、エンドクレジットを全カットして例のラストシーンを追加。南米から来た殺人フィルムとして売り出した。映画館の前には”殺人は娯楽でない”と公開を反対する人々が列になっていたが、全てシャクルトンが雇ったサクラ。彼によって人々は騙され、本作は大ヒット。ただラストシーンの出来もあまり良くない。当時ウキウキで鑑賞した人には心底同情する。

公開までの背景を知って鑑賞すると劣っている箇所も面白く思うのだが、やはり退屈な作品であることに変わりない。スロートのパートは不要なのではとすら思えてくる。演技はデタラメでストーリーは投げっぱなし。シャクルトンの広告方法はあんなにも天才的だったのに、なぜ彼はこんな作品に出資したのか不思議でたまらない。

スナッフ/SNUFF [DVD]

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  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: DVD
 

ゾンビの弱点は頭 映画『吸血ゾンビ』ネタバレあらすじと感想

吸血ゾンビ

コメディ度:1/10

グロ度:1/10

感動:1/10

リアリティ:3/10

人に勧めやすいか:4/10

満足度:4/10

目次

作品情報

www.youtube.com

1965年製作/イギリス/上映時間90分
原題:The Plague of the Zombies

監督:ジョン・ギリング

脚本:ピーター・ブライアン

製作:アンソニー・ネルソン・キーズ

撮影:アーサー・グラント

音楽:ジェームズ・バーナード

美術:バーナード・ロビンソン

編集:クリス・バーンズ

出演:アンドレ・モレル、ダイアン・クレア、ブルック・ウィリアムズ、ジャクリーン・ピアース、ジョン・カーソン、アレックス・デイヴィオン

あらすじ

イギリスの片田舎コーンウォールで謎の疫病が発生。村の医師ピーターは恩師ジェームズに助けを求めた。ジェームズは快諾し娘を連れて調査を行う。解剖のため墓を掘り起こすと中身は空っぽ。どうやらただの疫病ではないらしい...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

洞窟で儀式が行われている。半裸の男性らが太鼓を叩いていると白装束を着た教祖らしき人物が現れた。彼は女性を型どった人形を手に持ち呪文を唱える。それに呼応するかのようにどこかで眠っていた女性が飛び起きた。右腕からは血が流れている。

 

ある屋敷に手紙が届いた。娘シルヴィアが父ジェームズの元に手紙を届ける。ジェームズは医大で教授をしている。内容は教え子ピーターからのもので、コーンウォールという村で謎の疫病が流行っているから助けて欲しいとのことだった。ジェームズは行くのを渋ったが、その村には娘の友人アリスが住んでおり、シルヴィアが行きたいというので向かうこととなった。

 

村に向かう馬車の途中、若者たちが狩りでキツネを追っていた。シルヴィアはその行為を残酷に思い、キツネを探す彼らに嘘の方向を教える。

村に着くと葬式が執り行われていた。そこに先ほどの若者らが馬に乗って現れ、棺桶をひっくり返す。リーダー格の男はシルヴィアに嘘をつかれ怒っていた。彼らが去ると棺桶に入っていた男の弟であるマーティナスも2人に突っかかる。

 

ジェームズとシルヴィアはピーターの診療所に到着。アリスはピーターの妻である。ジェームズはアリスの腕に包帯が巻かれていることに気が付いた。傷を見せるように言うと彼女は拒絶。
家の中は散らかっており、穏やかでない様子。ジェームズはアリスの相手をシルヴィアに任せ、村の様子を視察しに出た。

 

酒場でピーターがマーティナスを筆頭に村人らから詰められていた。「今月に入り12人が謎の病により病死した。医者ならどうにかしろ」と無責任な言葉を掛けられる。ピーターはそれに対し、解剖をさせないからだと反論した。喧嘩が始まりそうになったとき、ジェームズが止めに入る。彼は言葉巧みに村人からピーターを連れ出した。

ピーターはジェームズが来てくれたことを喜んだ。ディナーの後、ピーターとジェームズは疫病について話した。ジェームズは解剖を行っていないと聞いて驚く。話によるとこの村には検死官すらいないらしい。地主のハミルトンが全てを牛耳っているとのことだった。

 

アリスがシルヴィアにハミルトンの話をする。彼女はハミルトンをべた褒めしており、シルヴィアに是非会うといいわと勧めた。シルヴィアはその言葉を不審に思う。

 

ジェームズは遺体に触れるのはハミルトンの許可がいると聞かされたので、無断で行うことにした。

 

シルヴィアが寝仕度をしていると窓の外にフラフラと歩くアリスの姿を見つけた。後を尾けると森の近くの古い採掘場に到着。彼女の姿はなく、探していると馬に乗った若者たちがやってきた。彼らはシルヴィアを拉致すると屋敷に連れ込む。強姦する順番を決め、行動に移そうとするとハミルトンが現れた。若者たちはハミルトンの友人だった。ハミルトンは若者を殴りつけ、シルヴィアを開放。シルヴィアが警察に言うわと脅すと、それは困ると口止めを頼んだ。シルヴィアが屋敷から去った後、ハミルトンは若者を呼びつけて儀式を始めようとする。

 

ハミルトン邸からの帰り道、シルヴィアは異変を感じて採掘場に近づいた。すると建物の屋根に皮膚がただれ、白目を剥いた男がアリスを抱いて現れる。男はアリスを放り投げた。シルヴィアはアリスに駆け寄ったが流血しており、とても助かりそうにない。再び屋根の方を見上げると男の姿はなかった。

 

ジェームズとピーターが墓を掘り起こしていると警察に見つかった。警察は死体窃盗罪だと言って2人を咎める。一か八かジェームズが棺桶を開いた。すると中に死体などなく、棺桶は空っぽだった。これには警察も驚き、調査に協力してくれるように。実は巡査の息子も謎の疫病で亡くなっていた。ピーターと警察で墓を埋め直し、ジェームズは先に帰ることとなった。
家に帰る途中、シルヴィアが気絶するのを見て介抱。

 

翌朝、ジェームズはアリスが死んだとピーターに伝えた。
巡査を呼んで死体の元に向かう。アリスの遺体の側には酔っ払ったマーティナスが寝ていた。

アリスの遺体を森から持ち帰るとジェームズは解剖を執り行った。遺体は不思議なことに死後硬直していない。さらに口から垂れる血液を調べていると人間のそれと異なっていた。

 

マーティナスが警察から取り調べを受ける。彼は死んだはずの兄を見たと証言。巡査はジェームズを呼びマーティナスと面会させた。ジェームズは彼の話を信じる。

 

警察署から帰宅したジェームズはシルヴィアに何があったのか再び尋ねる。彼が動く死人を見たのかと聞くとようやく口を割った。死人を見たのは古い採掘場だと。しかし、アリスの遺体が発見されたのは森の中である。

 

ジェームズはピーターと巡査を連れ、採掘場へと向かった。そこはスズを掘っていたが大量の死者が出たため、先代の地主により封鎖されたという。ハミルトンはそのとき海外におり、帰国してからは友人らに金をばらまいているとのこと。

 

シルヴィアが一人残された家にハミルトンがやって来た。アリスの死を弔いたいという。ハミルトンは差し出されたグラスを落として割った。シルヴィアが拾おうとして指を怪我する。ハミルトンは指の治療をするフリをし、血液を小瓶に入れて持ち帰った。

シルヴィアはアリスの腕にあった傷を思いだし、もしかしたらと考える。

 

後日、アリスの葬式が執り行われた。ハミルトン邸では儀式が開かれている。ハミルトンが人形にシルヴィアの血液を垂らすと彼女は体調を崩してしまった。怪我した指から血が垂れる。

 

ジェームズは牧師から魔術にまつわる書籍を借り、ブードゥーに行き着いた。ピーターに生き返った死体の正体はゾンビだと説明する。またジェームズはアリスもゾンビにされてしまうのではと考え、牧師と共に墓を見張ることにした。ジェームズはピーターに最悪の結果を見せたくないと言ったが、彼も見張ることに。

 

ジェームズが見張りの交代で牧師と代わる。牧師が去っていった方から悲鳴が聞こえた。牧師は仮面を着けた白装束の男に襲われたのだった。ジェームズとピーターは駆けつけて介抱すると、これは罠に違いないと急いで墓へ戻った。
墓は何者かによって掘られており、棺桶が開かれていた。そこに眠るアリスが目を覚ます。上体を起こすと2人にジリジリと歩み寄ってきた。ジェームズは足元にあったスコップを拾い、アリスの頭に振り下ろす。アリスの頭は胴体と切り離され、動かなくなった。

安心する間もなく、墓地から他の死体が這い出てくる。ピーターはゾンビに囲まれた。その伸びた手が触れた瞬間、ピーターは夢から目覚めた。


悲鳴を聞いてジェームズと神父がやって来る。どうやら彼はアリスのゾンビを見て気絶したらしい。アリスの死体は埋め直したと2人に聞かされた。

 

翌日、墓地の墓を全て掘り起こすと棺桶の中身は全部空だった。ジェームズは巡査に頼みマーティナスとの面会に向かう。ところが牢の中に彼の姿はなかった。来客は昨日きたハミルトンだけだという。会話の内容は分からないが、ハミルトンがグラスを割り、マーティナスが指に怪我をしたとのことだった。

ジェームズはシルヴィアの指にも怪我があったことを思いだす。帰宅した彼はピーターにシルヴィアの見張りを頼んだ。

 

ジェームズはハミルトン邸へと赴いた。呼び鈴を鳴らすとハミルトンの友人が出る。彼にハミルトンを呼びに行かせている間、ジェームズは窓の鍵を開けた。
ハミルトンに対し、死体の話を持ちかける。ブードゥーの呪術について触れると隠れていた若者たちがぞろぞろと現れ、ジェームズに威嚇した。ジェームズは大人しく帰る。

 

屋敷が暗くなり、玄関に誰も居なくなったことを確認してジェームズは先ほど開けた窓から屋敷に侵入。

 

採掘場の地下ではゾンビらが若者に鞭を打たれ、スズの採掘を行っている。その横でハミルトンは人形を手に持ち儀式を始めた。彼が人形に対し呪文を唱えるとシルヴィアも同じ言葉を発する。そして、”来い”と命令するとシルヴィアは家の外に歩きだした。

 

ジェームズは書斎の引き出しで儀式に使われる人形を発見。

 

シルヴィアが古い採掘場に到着。1体のゾンビが待ち構えていた。

 

ジェームズは人形を鞄に詰めて逃げようとした。ところが若者の1人がそれに気付き、襲いかかる。揉み合いの末、ジェームズが勝利するも若者の衣服に暖炉の火が移って火事となった。部屋は外から鍵がかけられ、逃げることが出来ない。すると火事に気づいた使用人が様子を見にきた。ジェームズは彼を脅し、ハミルトンが採掘場にいることを知る。

 

シルヴィアはゾンビに抱かれて地下室に連れられた。台の上にのせられナイフを突き立てられる。そこに彼女を追っていたピーターが乱入。さらにジェームズが人形を燃やしたことにより、ゾンビらの体からも炎が上がった。これをきっかけにゾンビが謀反を起こし、ハミルトンらに襲いかかる。
ピーターがシルヴィアを連れてエレベーターに向かうとタイミングよくジェームズが乗って降りてきた。3人はそのままエレベーターで脱出。
採掘場からは火柱が上がる。

感想

イギリス初のゾンビ映画。多分明確にゾンビを倒すシーンが映されたのは本作が初だと思う。ここからゾンビの弱点は頭という共通認識が生まれた。

邦題は「吸血ゾンビ」なのだが食人シーンは一切無い。原題は「The Plague of the Zombies」で、直訳するとゾンビの疫病。なぜこんな邦題になったのかは分らないが推測するに、当時日本で馴染みのなかったゾンビでは売れないと考え、同製作会社(ハマー・フィルム・プロダクション)のヒット作「吸血鬼ドラキュラ」をもじったのではないかと思われる。

本作のゾンビはブードゥーの儀式で誕生し、基本的に術者が操作する。ゾンビを作るには相手の血液を入手し、儀式を行って人形にそれを垂らす。何度か繰り返し、操れるようになったら殺害。しばらくするとゾンビとなって蘇る。作中にゾンビパウダーは登場せず、ゾンビの作成難度が高く思えた。

儀式だったりゾンビの設定・演出は素晴らしいのだが、ゾンビマスターであるハミルトンに魅力が無い。友人らとの関係性もよく分らないし、女性のゾンビを作る理由が明かされなかった。アリスやシルヴィアに恋心を抱いているとは思えない。彼がゾンビを作るのはスズの採掘をさせるためであり、女性よりも男性の方が向いているはずだ。現に採掘場に女性のゾンビは居ない。あとゾンビにする対象との繋がりも明らかにされていない。今までのゾンビ映画なら敵対する人間をゾンビに変えて支配下に置いたり、手の届かない女性をゾンビ化して身近に置いたりと人間らしい面があったのだが、ハミルトンにそういった属性はなかった。なんだか薄っぺらい人間に感じる。

逆にジェームズのキャラクターは魅力的だった。言動・容姿共に老紳士といった印象で有能っぽさがあふれ出ている。ジェームズはかなり強引に疫病の正体はゾンビであると決めつけるのだが、彼が言うならそうなのだろうと納得してしまう。脚本の出来の悪い部分を上手く隠している人物だった。

今観るとさすがに古く感じるし、展開が悠長で退屈に思う。ただ当時はこの作品が先進的だったと思うと感慨深い。

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sottou-hurann.hatenablog.com

ユルーいゾンビ 映画『デッド・ドント・ダイ』ネタバレあらすじと感想

デッド・ドント・ダイ

コメディ度:7/10

グロ度:3/10

感動:1/10

リアリティ:2/10

人に勧めやすいか:2/10

満足度:8/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2019年製作/スウェーデン・アメリカ合作/上映時間104分
原題:The Dead Don't Die
配給:ロングライド

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ

製作:ジョシュア・アストラカン、カーター・ローガン

製作総指揮:ノリオ・ハタノ、フレデリック・W・グリーン

撮影:フレデリック・エルムス

音楽:スクワール

美術:アレックス・ディジェルランド

編集:アフォンソ・ゴンサウベス

出演:ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミ、ダニー・グローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、サラ・ドライバー、RZA、キャロル・ケイン、オースティン・バトラー、ルカ・サバト、セレーナ・ゴメス、トム・ウェイツ

あらすじ

警察官が3人しか居ないアメリカの田舎町センターヴィル。ここで前代未聞の怪事件が発生した。住民の憩いの場であったダイナーが襲われ、無残に内臓を貪られた店主の死体が見つかったのである。それを見た巡査のロニーは、ゾンビの仕業に違いないと考えるのだが...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

警察署長クリフと巡査ロニーはニワトリが盗まれたという通報をうけ、世捨て人ロブの住む森へと向かった。ロブは2人に対して威嚇射撃。事を大きくしたくないクリフは軽く注意して帰っていったが、ロブは悪口を吐き捨てる。

 

帰りのパトカーでロニーは、ロブを逮捕したいと言った。しかし、クリフいわく、ニワトリが盗まれたという通報にあまり信憑性がないという。証拠にロブはこれまで民家を襲ってこなかった。そもそも通報者のフランクがろくなやつで無いらしい。
時計を見るともう20時を指していた。ところが外は明るい。サマータイムのせいかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。

 

パトカーに署のミンディから無線が入った。どうやらこの異常現象についてテレビでも取り上げられているらしい。無線は途中で途切れた。

 

ダイナーでレイシストの農夫フランクがコーヒーを飲んでいた。隣に座る黒人の男ハンクに「なぜニワトリ泥棒がロブと分かる」と聞かれ、あいつ以外に誰がやると答えた。ラジオから工事によって地球の地軸がズレたなどと聞こえてくる。このせいで太陽光のサイクルが狂ったらしい。

 

ガソリンスタンドに併設された雑貨店を営むフロドの元に配達員のディーンがやってきた。彼はレアなコミックと名言をフロドにプレゼント。

 

地元のニュースで猫の逃亡や凶暴化が報じられていた。

 

フランクが愛犬を探している。犬はフランクの呼び掛けに反して森へと逃げていった。次いで牛やニワトリまでもが森へと入っていく。ロブは双眼鏡でその様子を見ていた。

 

死人が出て警察署に運ばれた。ロニーとミンディはいつ検死官が来てくれるのか尋ねた。宿直で死体と一緒に居たくないからだ。検死官は明日くる予定だった。幸いにも今晩はクリフが宿直を勤める。

 

ダイナーで店主のファーンが客のハンク、従業員のリリーと談笑する。ハンクが帰ると2人の話題は葬儀屋を継いだ外国人ゼルダの話に。

 

葬儀屋の秘密の部屋。ゼルダは胴着を着て日本刀を持ち、型を執り行う。それを終えると遺体安置所に戻った。すると死体が動いたが、彼女は錯覚だと勘違い。

 

宿直で牢屋に眠るクリフ。その横の牢に転がる死体が呼吸した。

 

月が紫色の光を放ち、墓から死人が甦った。その2体のゾンビは、ダイナーに向かい、ファーンとリリーに襲いかかった。ゾンビは2人を貪ったあとコーヒーを飲んで店から出ていった。

 

朝6時30分、ダイナーの死体を見たハンクが警察署に通報。クリフが電話をとり、すぐに駆けつけた。ところが何も分からない。そこへスマートカーに乗ったロニーが到着。彼にも何も分からない。次いでミンディ。もちろん彼女にも何も分からず。
ロニーはゾンビの仕業ではとクリフに言った。

 

若者3人の乗る車が田舎道を走る。ガス欠になったため、フロドのスタンドへ立ち寄った。彼らはモーテルの場所を聞き、そこへ立ち寄ることに。

 

ゼルダが遺体を引き取りに警察署へやってきた。ところが遺体はすでにFBIに引き取られており、彼女は帰っていく。

 

クリフとロニーがモーテルで聞き込みしていると若者3人が到着した。ロニーが「ここに泊まるなら夜中に外出するな」と忠告。彼らは「知ってるよ、ゾンビだろ」と冗談らしく言った。

 

町の外れにあるCDCの施設でもゾンビの話題が。子供達がゾンビはいるだのいないだの話している。

 

クリフとロニーは墓地の見回りへ。すると墓から這い出た穴を発見。

 

ハンクの金物屋ではフロドを交え、ゾンビから身を守るために籠城が始まっている。

 

モーテルの若者たちが地元局のニュースを見ている。フロドの話が本当かもしれないと感じた彼らは出入口を施錠した。

 

墓で何体もの死体が復活。

モーテルの主人が猫を探して外に出るとゾンビに襲われた。

 

クリフとロニーは金物屋へ行って武器を買いそろえた。ゾンビ退治なんて馬鹿らしいとミンディが口にすると、背後から1体のゾンビが現れる。クリフとロニーは特に焦ることなく対処し、首を切り落として頭に発泡。

 

葬儀屋でゼルダは遺体に対し、ドラッグクイーンのようなメイクを施していた。ところが遺体は目をパチリと開くと、上体を起こして復活。ゼルダはゾンビの頭を一太刀で切り落とすとせっかくのメイクが無駄になったと肩を落とした。

 

ゾンビは瞬く間に町を制圧。金物屋やCDCにまで侵入している。警察は署に閉じこもって窓の外を見ていた。するとゼルダがゾンビどもをバタバタと斬り倒して署にやってくる。彼女にパトロールをしたらどうかと言われた3人はゼルダを署に残し、嫌々パトロールへと向かった。
モーテルを覗いた警察だったが、若者たちはすでに殺されていた。ロニーは念のためにと死体の首を切り落とす。
署に残ったゼルダは魔術的な力でパソコンを起動。何かのコードを打ち始めた。

 

金物屋に籠城していたハンクとフロドだったが、裏口からゾンビに侵入される。


森の中、フランクが襲われているのをロブはざまあみろと双眼鏡で見ていた。

 

パトロール中の警官たちは轢いたゾンビがタイヤに挟まり走行不能に。しかもその場所は墓地の側で、すぐにゾンビらに囲まれてしまった。ミンディは状況に耐えられず発狂。集るゾンビの中に祖母を見つけた彼女は動転してドアを開けてしまう。瞬く間に引きずり出され、犠牲となった。

 

スマートカーに乗ったゼルダが墓地を目指す。彼女はこの状況を楽しんでおり、奇抜なゾンビを見つけると話しかけて首を切り落とした。

 

パトカーの中でクリフがロニーに愚痴を言う。作中でロニーは何度も”最悪な結果になる”と言ってきた。クリフはなぜ分かると聞く。するとロニー(アダム・ドライバー)は、「台本を読んだから」と答えた。クリフ(ビル・マーレイ)は自分の出演シーンの台本しか渡されていなかった。

 

ゼルダが墓地に到着。すると空からUFOが現れた。彼女はこれを待っていた様子。このシーンはアダム・ドライバーの台本にも無いらしい。UFOはゼルダを乗せるとどこかへ飛んで行った。


唖然とするクリフとロニーは、取り敢えず頑張ってみることに。クリフはショットガン、ロニーは鉈を持ってゾンビの群れへと突っ込んでいった。
ナレーションがゾンビとは物質主義の産物だとか説教臭いことをいう。
健闘の後に2人はゾンビらに捕えられた。”悲しい結末”を迎えて映画が終わる。

感想

なんともフワフワした脱力系ゾンビ映画。ゾンビ映画にコメディを足したのではなく、コメディの世界にゾンビが出てきちゃった様な感じ。賛否分かれるのも頷ける。やりとりが終始シュールで僕は好きだ。

本作の登場人物が”ゾンビ”を知っていることからも分るように、これまでのゾンビ映画を前振りに使っているように思える。故にゾンビ映画に馴染みがなく、アダム・ドライバーに釣られて鑑賞した人にとってはヒドい出来に感じるだろう。

本作はコメディ映画である。どんなにヒドいシーンがあっても笑えれば良いのだ。なので僕はこの作品において悪かった点など挙げられない。ティルダ・スウィントンがUFOに連れられるシーンもビル・マーレイが台本の愚痴を言うシーンも面白かった。

ただちょっと引っかかるのはCDCで暮らしていた子供達のくだり。ちょこちょこ挟まるのだが、主人公らも触れないし何のためにあったのか分らなかった。それにイマイチ面白くもない。「何の意味があるの?」と思わせるためのシーンなのだろうか。

ちなみに僕が一番好きなシーンはロニーがスマートカーに乗ってダイナーに着くところ。

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ユアン・マクレガーのデビュー作 映画『シャロウ・グレイブ』ネタバレあらすじと感想

シャロウ・グレイブ

コメディ度:2/10

グロ度:1/10

感動:2/10

リアリティ:8/10

人に勧めやすいか:7/10

満足度:6/10

目次

作品情報

www.youtube.com

1994年製作/イギリス/上映時間88分
原題:Shallow Grave
配給:ケイブルホーグ

監督:ダニー・ボイル

脚本:ジョン・ホッジ

製作:アンドリュー・マクドナルド

撮影:ブライアン・テュファノ        

美術:ケイブ・クイン

音楽:サイモン・ボスウェル

編集:マサヒロ・ヒラクボ

出演:ユアン・マクレガー、クリストファー・エクルストン、ケリー・フォックス、キース・アレン

あらすじ

アレックス、デビッド、ジュリエットの若者3人は、アパートの広い一室で共同生活を行っていた。彼らは新たな同居人を募集し、ヒューゴと名乗る男を招き入れる。ところが彼は入居早々、ドラッグの過剰摂取により死亡。ヒューゴの部屋には大金が隠されていた。3人はそれを自分たちの物にしようと死体を埋めるのだが...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

新聞記者のアレックス、会計士のデビッド、医師のジュリエットは、アパートの広い部屋で共同生活を送っている。部屋には空き部屋が1つあったため、彼らは4人目の同居人を探していた。
ところが3人は、面接に来た人々に対し、からかうような質問を投げかけて面白がっていた。その態度は、本気で同居人を探している様には思えない。


ある日ジュリエットは1人で中年男性ヒューゴの面接を行った。彼はインテリ風で、今は本を書いているという。ジュリエットはヒューゴを気に入り、アレックスとデビッドに紹介。最終面接を兼ねた会食が催された。順調に進むなか、デビッドが「人を殺したことはあるか」と尋ねる。実はヒューゴは強盗犯なのだが、「無い」と答えて話が終わった。特にアレックスは良い顔をしなかったが、ジュリエットのゴリ押しで共同生活が始まる。


ところが4人での同居が始まってすぐ、トラブルが発生。ヒューゴが部屋に閉じこもって出てこないのだ。心配半分、好奇心半分の3人が部屋の扉をこじ開けると、彼はベッドの上に全裸で死んでいた。呆然と立ち尽くすデビッド。アレックスは死因を探すという名目で部屋を散策した。するとキャビネットにドラッグと注射器を発見。死因は過剰摂取とみられる。
ジュリエットは通報しようと受話器を取った。その手をアレックスは抑え、部屋で見つけたスーツケースを見せつける。中にはたんまりと札束が詰められていた。
天涯孤独だと言っていたヒューゴの死を隠せば、この大金は自分たちのものになる。そういうアレックスに感化され、ジュリエットは通報を止めた。真面目なデビッドは死体を隠すことに反対。


結局死体をどうするか決めかね、部屋に死体が転がったまま数日が経過。死体から匂いがし始めた。ジュリエットが説得し、遂にデビッドも死体を隠すことに同意した。


死体をバラバラにし、身元のわからないよう顔を潰す。歯を全て抜いて、手足は焼却。そして森の中に埋めるという作戦だった。3人はさっそくホームセンターへ。
ところが誰が死体を切り刻むのかで揉めることに。アレックスは3人でやろうと考えていた。しかしデヴィッドもジュリエットも拒否。特にデヴィッドはとても嫌がっている。


某所である男が2人の男から拷問を受けていた。水に頭を浸けられ、金の在りかを尋ねられる。男には覚えがなくそのまま溺死してしまった。


夜になり、3人は死体を部屋から持ち出す。彼らの部屋は高層階だったので、長い階段を降りなくてはいけない。途中、ジュリエットが持っていた懐中電灯を落としてしまう。幸い誰にも気付かれず、車に乗せられた。


森に到着し、解体係をくじ引きで決める。その結果、一番嫌がっていたデヴィッドがやることとなった。彼はもちろん断ったが、ここでやらなければ事件が露呈してしまう。 デヴィッドは必死にヒューゴの死体を切断。作業が終わり、アレックスが掘った穴に埋めようとしたが、穴が浅かった。文句を言うと、アレックスは「大丈夫だ」と言い切る。後日、ジュリエットは病院のゴミ捨て場に切り落とした手足を捨てた。アレックスはヒューゴの車を湖に沈める。

 

ある日、彼らはパーティー会場にいた。”子供の病気に対する寄付の会”で、ジュリエットが寄付したと思われる。アレックスは説明を聞くまで会の趣旨を知らなかった。司会に対して金を返せとヤジを飛ばす。会の途中、ジュリエットに対し、ある老人がダンスを誘った。それに対してデビッドが激怒。「僕の彼女に手を出すな。半殺しにするぞ」と怒鳴る。それを聞いたジュリエットとアレックスは驚きつつも、よくやったと称賛。トイレに中座したアレックスだったが、昔面接に来た1人がここで働いており、復讐のためタコ殴りにされる。


翌日、血だらけでへこんでいるアレックスを案じたジュリエットが、彼をショッピングに誘った。2人は散財し、高級なカメラを購入。家に帰るとアレックスは女装し、2人でおかしな映像を撮っては笑い倒れていた。
そこにデビッドが帰宅。彼には2人が散財することが許せなかった。


その晩、階下で強盗事件が起こる。ドアを蹴破る音で飛び起きたデビッドは下着姿のまま様子を見に行った。すでに人だかりが出来ており、何があったのか尋ねると部屋に戻る。


3人で食事をしていると例のカネの話になった。アレックスとジュリエットは使っちまえと考えていたが、デビッドは大事にしたかった。彼は死体を解体したから、このカネにかける思いが一際強い。


デビッドは密かにスーツケースをビニール袋に詰めると、天井裏にある水槽の中へ沈めた。そして仕事に行く時以外は天井裏にこもるようになってしまう。
デビッドの様子が気になるアレックスとジュリエットだったが、どうにも出来なかった。


2人が夕食をとっていると突然、2人組の男が訪ねてきた。彼らはヒューゴに金を持ち逃げされた悪党の仲間で、不用心に玄関を開けたアレックスを瞬く間に鎮圧。バールで足を砕き、動けなくした。次いでジュリエットも拘束される。アレックスは尋ねられてもいないのにカネは天井裏だと白状した。
1人の男が梯子を登り、天井裏へ。待ち構えていたデビッドが男をハンマーで撲殺。倒れる音を聞いたもう一人も天井裏へと登った。そしてまた、デビッドに殺される。男の首筋には組織のものと思われる刺青が入っていた。デビッドはまたも死体を処理する。


後日、ジュリエットは旅行代理店に来ていた。彼女はリオに高跳びするため飛行機のチケットを購入。


デビッドは天井にドリルで穴を開け、その穴から2人の行動を覗き始めた。


ある日、刑事が強盗についての取り調べに来た。デビッドが取り調べに応じる。ところが事前の調査でヒューゴがここに住んでいることが知られており、同居者の人数を聞かれて2人と答えた彼は不審にとられた。


デビッドが不在のとき、アレックスとジュリエットはカネを探すことにした。アレックスが屋根裏で探し、ジュリエットは下で見張っている。ところがデビッドが帰って来て、ジュリエットは口を塞がれてしまった。アレックスは水槽の中にカネを発見。梯子を降りるとデビッドがいたため、バレないように濡れた手を衣服で拭った。デビッドは、カネを探していたのかとアレックスの頭にドリルを突きつける。先端が皮膚に触れ、流血した瞬間、ジュリエットが止めに入った。


翌日、アレックスは仕事に向かった。編集長から3体の死体が森から見つかったと、取材を任される。現場に向かうも気が気でない。
アレックスのいない部屋で、ジュリエットはデビッドと愛を深める。
アレックスが事件の載った新聞を持って帰ると、2人はすでに新聞で事件が露呈したことを知っていた。「穴が浅いと言ったのに」とデビッドがアレックスを責める。アレックスは「死体が見つかっても俺たちには結びつかない」と必死に反論。


後日、ジュリエットが3人の写真を見させられ、刑事から取り調べを受ける。次いで、アレックスの取り調べ。彼は鎌をかけられ引っ掛かってしまう。刑事は取り調べを終えるとアレックスに電話番号を渡した。


その晩、ジュリエットと寝ていたデヴィッドは水槽からスーツケースを引っ張り出すと、身支度をして出ていこうとした。ジュリエットも目を覚まし、デビッドに付いていこうとする。

アレックスは刑事に電話をかけるが留守電。さらにデビッドには電話をかけていることが見抜かれていた。アレックスが呼び出され、3人が顔を合わせる修羅場に。2人で出ていこうとするデビッドとジュリエットに対し、アレックスはどこに向かうんだと聞いた。これにより、デビッドはジュリエットが1人でリオに逃げようとしていたことを思い出して激昂。彼女を1人で逃げさせろという声を聞かず、デビッドはジュリエットに殴りかかった。
そして事態が転じ、デビッド対アレックスとジュリエットになった。
アレックスの上にデビッドが馬乗りとなり、彼の左胸に包丁が刺される。止めをさそうとしたところジュリエットがデビッドの首に包丁を突き刺した。ところが彼女はアレックスを救うこと無く、彼の胸に刺さった包丁をさらに沈めていった。そしてジュリエットはスーツケースを持って外に出る。

 

翌朝、アレックスは鑑識が写真を撮った際のフラッシュで目を覚ました。彼は満足そうな顔をしている。それもそのはず、実はアレックスはスーツケースのカネをすり替えており、大量の札束は床下に眠っているのだった。

空港の駐車場で偽札を掴まされていたことに気づいたジュリエットは発狂。気分を落ち着けて窓口に向かった。

感想

荒削りなトレインスポッティングといった印象。

本作はダニー・ボイル監督の初監督作品で、ユアン・マクレガーのデビュー作。2年後にはトレインスポッティングが公開。シャロウ・グレイブに携わった多くの人が、トレインスポッティングにも携わっている。

この2作はテーマやストーリーも類似点が多く、どうしても見比べてしまう。仲間のあり方をテーマとし、カネで揉める。

類似していながらなぜ本作が見劣りしてしまうのか考えてみた。

まず思い浮かんだのは3人の描かれ方。彼らの関係性がまるで見えてこない。同居人を軽いノリで探してる様子を見るに、彼らの関係は希薄ととれる。しかし、それにしては仲が良いし、長年のつきあいにも思えた。中盤でデビッドとジュリエットが恋愛関係にあった事が示されるが、どうにも違和感がある。

次に主要人物の一人、ジュリエットの存在だ。彼女は悪い意味でステレオタイプな女性に描かれている。差別的な意味は無いのだが、僕は映画に出てくる登場人物は男が多いほど面白くなると思っている。本作のジュリエットの存在はハッキリ言って邪魔だった。女性が絡むと恋愛的な話に行きがちであるし、女性を巡ったトラブルが起きやすい。

あとはもめ事の発端となったカネの取り扱い方。脚本上の都合と言われればそれまでだが、なぜ分配しないのか。デビッドが「俺は解体したから多めに貰うよ」と言えば済む話なのに。

本作は最後にアレックスがカネをすり替えていた事が発覚するのだが、いつすり替えに成功したのかが分らない。新聞紙を切って偽札を作るシーンは見受けられたが、直接のタイミングが描かれていない。デビッドが屋根裏に住み着いてカネを守っていたのに、いつすり替えたというのか。しかもジュリエットにもバレず。

良かった点は解体を経験してからのデビッドの変わりよう。屋根裏をせわしなく動くシーンでは狂気を感じるし、ホラー作品の様な緊張感が常に漂っていた。それとやはりユアン・マクレガーのデビュー作であるということ。彼を世に出した功績はあまりにも大きい。

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巨大猪降臨 映画『ボア』ネタバレあらすじと感想

ボア

コメディ度:3/10

グロ度:2/10

感動:1/10

リアリティ:3/10

人に勧めやすいか:3/10

満足度:5/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2017年製作/オーストラリア/上映時間96分

原題:Boar

監督:クリス・サン

脚本:カースティ・ダラス、クリス・サン

撮影:アンドリュー・コンダー

音楽:マーク・スマイス

編集:マイケル・ギルバート

出演:ビル・モーズリー、ネイサン・ジョーンズ、ジョン・ジャラット、ヒュー・シェリダン、ロジャー・ワード、シモン・ブキャナン、マドリンネ・ケネディ、クリスティー・リー・ブリテン、メリッサ・トカウツ

あらすじ

オーストラリアの田舎町。ここでは牧場の柵が何者かによって壊され、羊が殺されるという事件が頻発していた。地元でパブを経営し、住民から慕われるケンは友人のブルーと共に柵の修繕に努める。ある晩、見知らぬテントを発見した2人は近づいてみるが...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

夫婦の乗った車が田舎道を走っている。突然飛び出したウサギを避けるため、旦那が大きくハンドルを切った。驚いてしばらく停車していると何頭ものイノシシが横を通りすぎていく。夫婦は異様な光景を楽しんでいたが、旦那はイノシシが何かから逃げているのではと察した。急いで発進させるが、時既に遅く車体に大きな何かがぶつかった。

 

 

田舎町のガソリンスタンドで老人のケンとブルーが談笑している。最近、町では牧場の柵が破られる事件が頻発しているらしい。羊が食われる被害が発生している。

 

町に1台の車が向かっていた。運転するのは父親のブルースで、母親のデビー、息子のバート、娘のエラとその彼氏ロバートが同乗している。エラとロバートがいちゃつくので弟のバートは怪訝な顔をしていた。

町に着き、昼食をとろうと車を降りた。ロバートは小汚ない老人アーニーにタバコをせがまれる。喫煙者でない彼は彼女に良いところを見せるため、代わりにと20ドル渡した。ところがアーニーは採掘社の社長であると発覚。

 

ケンがその様子を向かいのパブから見ていた。彼はパブを経営しているが、あまり店にはおらず、ほとんど娘のサーシャが仕切っている。ケンは一家を知っていた。デビーは町に住むバーニーの姉である。

 

一家はバーニーの家に到着。彼から熱烈な歓迎を受ける。

 

 

夜中、若者が納屋の前で酒を飲んでいると飼い犬がいないことに気づく。音がする方へ歩くと有刺鉄線の張られた柵が激しく揺れていた。若者が探ると柵が抜けて有刺鉄線が足に刺さる。ケガした若者は、足を庇って匍匐前進。
背後に何かの息が聞こえた若者が振り返ると、巨大な口とキバがこちらを向いていた。若者は巨大イノシシに引き摺られていく。

 

 

翌朝、ケンは柵の修理に来ていた。ブルーから無線が入り、パブからビールを持ってきてくれと頼む。無線を終えた後、周囲にイノシシの鳴き声が響き渡った。

 

その夜、テントで若者がいちゃついている。

 

ケンとブルーは夜営してビールとサンドイッチを食べていた。途中でケンが若者のテントの光に気づく。こんなところでキャンプなんてするはずがない、悪事を働いているに違いないと思った彼はブルーを連れてテントを目指す。距離は歩いて1時間くらい。

半分ほど歩いて休憩しているとテントの様子がおかしいのに気付いた。スコープで覗くと巨大イノシシがテントを破壊しているのが見える。イノシシに発砲するも逃げられた。

 

テントではカップルがイノシシに襲われて死んでいた。死体は男女2体だがテントは2つある。ケンはもう1組いるはずだと考えた。まさか巨大イノシシがいるとは思っていなかったので、弾の準備をしていない。ケンが生存者を探し、ブルーが車へ弾を取りに行くことに。

 

ケンと別れたブルーは早々にイノシシと遭遇。棒を持って果敢にイノシシへ突っ込んでいった。

 

ケンはテントの残留物から、どこかにマシューという人物がいると推理。

 

マシューはイノシシに襲われる前、彼女シェリダンを連れてヤラマヤーフーという未確認生物を探しに森へ入っていた。
2人が談笑しているとイノシシが現れた。やつはシェリダンを牙に突き刺すと、マシューの方へ突っ込んでいく。

 

マシューを捜索していたケンは彼の生首を発見。その奥に倒れるシェリダンを介抱した。彼女はかろうじて意識があるような状態。周囲にはイノシシの気配が漂っており、ケンはシェリダンを助けるため囮となって走った。遠くへ誘き寄せることに成功した彼はシェリダンの元に戻る。ところが彼女は息を引き取っていた。
悲しみに暮れるケンの元に再びイノシシが現れる。彼はナイフを構え、イノシシに立ち向かった。

 


翌朝、バーニーとブルースの一家が食卓を囲んで談笑。今日の予定は農場でのピクニック。

 

パブでサーシャが若者からセクハラを受けていた。それをみたバーニーが彼を倒して店の外へと追い出す。バーニーは食料を購入した。彼はサーシャからケンとブルーを見つけたら連れ帰ってと頼まれる。

ピクニックの途中、バーニーは2人を探すため車に乗り別行動をとった。ところがイノシシが突進してきて車が横転。

その音を聞いたブルースはロバートを連れて様子を見に出かける。

 

イノシシが去った後、バーニーはピンピンして車から降りた。ナイフと銃を装備し、戦闘に備える。

 

ロバートはエラと結婚したいと話し始める。ブルースはそれを受け入れたが、結婚観について説いた。ブルースには過去3回結婚経験があり、ロバートは偉そうに話す彼に苛立ちを見せる。

 

 

パブでサーシャとアーニーが話す。サーシャは何度電話しても出ないケンを心配していた。
その場に居合わせたジャックが大イノシシの話をする。1年前、車が大破した状態で発見された。人の姿は無い。その日、ジャックは大きなイノシシが女性を咥えているのを見たという。警察にも証言したが大笑いされた。

サーシャはバーニーに電話した。ところが出なかったのでアーニーに店を任せ、彼女は牧場へ向かった。

 

 

ブルースとロバートの元にイノシシが現れた。ロバートはブルースを突き出して囮にし、一人家族の元へと逃げ帰った。直後デビー、エラ、バートの目の前でロバートが惨殺される。

動揺する3人をバーニーが救出した。バーニーは3人を連れ、出来るだけ遠くへ逃げようとする。

 

夜になり、湿原を歩いていると最後尾にいたバートが転んだ。そこをイノシシに襲われ、どこかへ連れ去られてしまう。銃はバートが持っていたのでバーニーにもなす術がない。
バートを諦め、先に進んだ3人は納屋に籠城。デビーは息子を見捨てたとバーニーを責めた。
寒くなったので火を起こそうと、バーニーが薪を取りにドアを開けた瞬間、イノシシが納屋に突っ込んでくる。
バーニーがナイフで応戦。自らが囮となってデビーとエラを逃がした。バーニーは健闘の末、敗北。

 

逃げた2人は火を起こして周りを囲んだ。野生動物は火を恐れるからという理由だったが、巨大イノシシには効果無し。現れたイノシシはエラの足に噛みつく。デビーは持っていた松明で必死にイノシシを追いやろうとしていた。
そこにサーシャの乗った車が突っ込む。イノシシは吹き飛ばされ、倒れこんだ。
サーシャは本当に大きなイノシシがいたと驚きつつも、デビーに後部座席のライフルを取ってくれと指示。デビーはライフルを渡さず、自らイノシシに発砲。イノシシは絶命した。

サーシャの車に乗り、森のなかを走っていると傷だらけのバートとバーニーが飛び出てきた。2人を乗せ、幸せムードな車内。
後ろには巨大イノシシが近づいてきていた。

感想

巨大イノシシが田舎町を襲うアニマルパニック映画なのだが、低予算からかイノシシはあまり動かない。動くシーンもあるがCGに切り替わるためリアリティーが著しく低下する。静止した状態はそれなりにクオリティが高い。

細かいことだが、この手の大型動物映画の割にサイズ感がほぼ一定だったことに好感を持った。常に車のバンと同じくらいの大きさで現実味がある。ただ、瞬間移動に近いことはしてくる。

本作の見所としてネイサン・ジョーンズ演じるバーニーの活躍がある。イノシシにひっくり返された車から降り、装備を準備するシーンは非常に格好いい。これからバーニーとイノシシの熾烈な争いが始まると期待を持たせるシーンだった。ところがいざ戦いが始まってみると、棒立ちするイノシシの顔面にナイフを延々と突き刺すだけ。迫力も何も無い。最後は踏まれて負けるし。

イノシシが出てこないシーンの大半は登場人物らの下ネタで占められている。エラとロバートは常にいちゃついていて、どこでもおっ始めそうな勢い。オーストラリア人は両親がいる前でもあんな感じなのだろうか。

ブルースとロバートの喧嘩、バートが射撃が上手いという会話、バートを終始からかうロバート、アーニーとロバートの接触と意味ありげなシーンが多い割に生かされていないように思う。ブルースとロバートは和解も何もせず死んでいったし、バートが役に立つわけでも無い。

なんか惜しい作品だと思う。

ボア(字幕版)

ボア(字幕版)

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まともなピエロはいないのか 映画『テリファー』ネタバレあらすじと感想

テリファー

コメディ度:3/10

グロ度:8/10

感動:1/10

リアリティ:4/10

人に勧めやすいか:2/10

満足度:6/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2016年製作/アメリカ/上映時間82分

原題:Terrifier

監督・脚本・編集:ダミアン・レオン

撮影:ジョージ・ステューバー

音楽:ポール・ワイリー

出演:ジェナ・カネル、サマンサ・スカフィディ、デビッド・ハワード・ソーントン、キャサリン・コーコラン、プーヤ・モーセニ、マット・マカリスター

あらすじ

ハロウィンの夜。酔っ払った若い女性タラとドーンは暗い夜道で不気味なピエロに遭遇。逃げるように入ったピザ店にもピエロは姿を現した。つけ狙われていると恐怖するタラに対し、ドーンは楽観的。おちゃらけてピエロに絡み始めた...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

マイルズ大虐殺から1年。番組に被害者女性が招かれ、インタビューが行われた。女性は犯人"アート・ザ・クラウン"に顔を潰され、醜い容姿をしている。事件の末ピエロは死亡したが、翌朝には遺体安置所から消えていたらしい。女性はピエロが死んだのを見たと証言した。

 

その番組を小さなテレビで見ていた男は激昂し、テレビを破壊。ピエロメイクをし、武器を袋に詰めるとどこかに歩きだした。

 

TV局の控え室では女性キャスターが電話で被害女性の悪口を言っていた。「あまりに醜く身の危険を感じた。でも高視聴率が期待できる」と。通話の途中、キャスターは背後に気配を感じた。確認してみるとそこには被害者女性が。彼女は電話の内容を聞いており、キャスターに掴みかかる。そして自分と同じ顔になるように顔を潰した。被害者女性は倒れるキャスターをみてケタケタと笑う。

 

 

ハロウィンの暗い夜道、酔った女性2人ドーンとタラが歩いていた。車に乗ろうとしたが酔いが回って運転できない。問答していると暗がりにいるピエロに気がついた。タラの制止を振り切ってドーンが声をかけてしまう。タラが再度ピエロの方を向いたとき、ピエロはどこかに消えていた。

 

2人は酔いを覚ますため、レストランで夕食をとることにした。タラがドーンのトイレを待ってスマホを弄っていると電池切れに。そこへピエロがやってきた。ピエロはタラを凝視する。そして笑わせようとお茶らけ始めた。タラはそれを気味悪く思い、ドーンを連れて店を出ようとした。

ところがドーンはピエロに絡みにいく。ピエロは無反応。さらに注文を聞きに来た店員に対しても無反応だった。
ピエロはおもむろに立ち上がるとガシャポンを回す。そして出てきた指輪を取ってタラの左手薬指に嵌めた。ピエロは店の裏方へと去っていく。その行動をドーンは面白がった。
しばらくすると裏方から怒声が響き、店主がピエロを店の外に追い出した。

 

食事を終えた2人は再び駐車場に。タラは指輪を嵌めっぱなしなのに気付いて急いで捨てた。車に乗ろうとした時、タイヤがパンクしているのを見つけた。

 

2人が帰った後のピザ屋。店員は大便の塗りたくられた便器を愚痴りながら掃除している。壁には糞で書かれた"ART"の文字。

 

タラはドーンのスマホを借りて姉ビッキーに電話する。彼女は快諾し、迎えに来てくれることに。

2人は車に乗って迎えを待つ。タラはピエロがタイヤを切ったのではと考えたが、ドーンはクギを踏んだだけだという。

 

ピザ屋では掃除を終えた店員がトイレから出てきた。店長を呼ぶが返事はない。探しているとカウンターに置かれた店長の首(ジャック・オー・ランタンに加工済み)が目にはいった。さらに後ろにはさっきのピエロが。電話に手を伸ばすが、その伸ばした手をピエロは出刃包丁で切り落とした。次いでナイフを頬に突き刺す。馬乗りになり、ピエロは何度もナイフを振りかざした。

 

車内のタラは尿意を催した。ドーンは野ションすればいいと彼女をからかう。悩んでいると近くの古い建物から男性が出てきた。タラは急いで車を降りて、トイレを貸して欲しいと頼み込んだ。
面倒事は嫌だと断っていた男性だったが折れて、彼女を建物に招き入れる。男性マイクはネズミ駆除に呼ばれた業者だった。トイレはとても汚い。

 

車内に残っていたドーンはラジオでピザ店の殺人事件について耳にする。するとそこにピエロが乗り込んできた。

 

用を済ませたタラは呻き声を聞いて隣の倉庫に進んだ。そこには気の狂ったホームレスの女性が住んでおり、タラを新しい入居者だと思い込んでいた。彼女は赤ん坊の人形をエミリーと呼び、娘のように扱っている。恐ろしく思ったタラは逃げ出す。しかし、その先にはピエロが。
タラは再び逃げ、車庫に到達。車の間に隠れていた彼女だったが、見つかって足を数回メスで刺されてしまう。彼女はその後も逃げようと努力したが、結局は捕まった。首に注射を打たれて気絶。

 

目を覚ますと薄暗い部屋で椅子に拘束されていた。ピエロは何度も刃物を振りかざすフリをしてタラを驚かせる。
その後、ピエロが目の前にあったベールを剥がし、宙吊りにされたドーンが露になった。ピエロは糸ノコをドーンの股に当てて挽いていく。頭部を残して体は真っ二つに裂かれた。
タラはダクトテープで貼り付けられた手を力ずくで解放し、脱出。落ちていたナイフをピエロの背中に刺して逃げ出した。

途中で板を拾った彼女はピエロを待ち伏せる。
やって来たピエロに打撃の応酬を与えた。倒せるかと思ったとき、ピエロは隠していた拳銃を発砲。何発か撃つと弾切れを起こして別の部屋へと歩いていった。


タラのスマホにビッキーからチャットが届いた。"建物に着いた"というチャットに対し、ピエロは"裏に回って"と返信。ビッキーはそのチャットの通り、裏から建物に入った。


新しい銃を手にしたピエロはタラの顔面に何発も弾を撃ち込む。
その様子をホームレス女性は見てしまった。彼女は建物を上がり、作業中のマイクに助けを求める。しかし、信じてもらえず、挙げ句の果てには突き飛ばされた。
マイクは相次ぐトラブルに会社へ電話をかける。そこにピエロが現れ、ハンマーで男性の頭を殴打。


ホームレス女性はエミリーをどこかへ置いてきたことに気付き、探し始める。すると通路でエミリーを抱き抱えるピエロに遭遇した。女性は彼に対し、「母の愛を知っている?その子を殺さないで」と囁きかけた。そして女性はピエロを抱擁。

 

途中で途切れた電話を受けて、駆除業者の別の男が建物にやって来た。

 

タラとドーンを探すビッキーは、2つに裂かれたドーンの遺体を目にする。彼女は逃げ出そうとしたが、タラの悲鳴が聞こえたので助けに向かった。

ところがそれはホームレス女性の声。ピエロは女性から頭部と胸部の皮膚を剥ぎ、それを着ていた。その異様な光景を見たビッキーは一心不乱に走った。やがてロッカーに逃げ隠れたが、ピエロに場所がばれている。ジリジリと近づくピエロだったが、外からクラクションの音が鳴り響き、そちらに向かう。

 

クラクションを鳴らしたのは駆除業者の男だった。マイクから連絡があったから来たものの、入り口が開いてない。結局カーペットの下にあるスペアキーを見つけて自力で建物内へと入った。内部は薄気味悪く、男は慎重に探索を行った。

途中でエミリーに躓いた彼はそれを拾い上げる。その瞬間、背後に隠れていたピエロが脳天目指してナイフを振り下ろした。そして男の首を切り落とすとサッカーボールの様にキックした。

 

ビッキーはその間にロッカーから出て、逃げ道を探して徘徊していた。そんな最中、ピエロがビニール袋を彼女の顔に被せて窒息させようとしてきた。彼女はそれを振りほどき、落ちてた杭をピエロの足に突き刺した。

 

頭を殴打され、気絶していたマイクが目を覚ました。

 

ビッキーは逃げる途中でタラの遺体を発見。ショックで崩れ落ちているとピエロが現れた。彼は刃物の取り付けられたチェーンを鞭のように振るい、ビッキーの柔肌を引き裂く。そこをマイクが助けに入った。
彼はピエロの頭部を大きな缶で殴り、気絶させる。そしてビッキーを連れて管理室へと隠れた。マイクは警察に通報し、ビッキーを連れて外へと向かう。

 

ところが出口は鎖で繋がれていて脱出出来なかった。袋小路になった状況でピエロが鈍器を持ってやってくる。マイクは殴り倒され、頭を踏み潰されて死亡。

ビッキーは拾ったポールで南京錠を破壊し、何とか進むことができた。ところがその先も施錠されていて脱出できない。しばらくすると外からピエロの乗った車が突っ込んできた。ビッキーは轢かれ、その場に倒れこむ。ピエロはビッキーの顔を食べた。

ようやく警察が到着し、ピエロを包囲する。しかし、ピエロは隠していた拳銃を咥えて自殺した。ビッキーは生き残った。

 

検死官の元に2つの遺体が届けられた。1体はマイクでもう1体はピエロ。ピエロの死体袋を開けたとき、室内の明かりが点滅し始めた。やがて落ち着き、遺体に目をやるとピエロが起き上がった。そして検視官の首を絞める。

 

1年後、ビッキーが病院から退院した。彼女の顔は冒頭の被害者女性そのものだった。

感想

良くも悪くもグロテスク、そんな作品でした。

好きな人はグロいから好きで、嫌いな人はグロいから嫌いみたいな。

ピエロの殺人方法が多彩で、ろくなストーリーでないものの最後まで飽きずに鑑賞。本作は割とあっさり人が死ぬので鑑賞後に不快感が残らない。拷問とか情に訴えかけるようなシーンは無かった。

この映画はとにかくピエロで成り立っている。風貌の奇抜さと履き違えたユーモアが終始画面を彩る。登場したときから終盤までずっと。

始めピエロはタラに好意を寄せているように振る舞っていたがあれも彼なりのジョークだった。おもちゃの指輪をプレゼントされて、タラは特別扱いされるのかと思いきや普通に襲われる。さっきまでの流れは何だったのかと驚いた。

驚くといえばピエロが銃を隠し持っていた事だろう。この手の怪物映画で悪役が飛び道具を持っているのは珍しい。こんな予想外なところがピエロのキャラクターにマッチしている。

ラストでピエロは超自然的な存在だと明らかになった。故に本作で何か気になる箇所があってもピエロの能力に違いない。なぜ被害者達はピエロを殺そうとしないのか。それもピエロの能力に違いない。丸投げに思えるかも知れないが一番まとまりの良いラストかも知れない。

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  • メディア: DVD
 
テリファー(字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

人生最後の思い出作り 映画『AFFLICTED アフリクテッド』ネタバレあらすじと感想

AFFLICTED アフリクテッド

コメディ度:3/10

グロ度:2/10

感動:2/10

リアリティ:3/10

人に勧めやすいか:6/10

満足度:5/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2014年製作/カナダ・アメリカ合作/85分
原題:Afflicted
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

監督・脚本:デレク・リー、クリス・プラウズ

製作総指揮:ブライアン・カバナー=ジョーンズ、スチュアート・フォード、ジェイソン・ダウデスウェル

撮影:Norm Li

音楽:エド・ヴァン・ブリーメン

編集:Greg Ng

特殊効果:デビッド・バークス、デレク・リー、クリス・プラウズ

あらすじ

世界一周のため1年間の旅に出たクリフとデレク。映像ディレクターとして働くクリフはその様子を撮影し、ブログを随時更新する。2人はカメラを回しながら世界中を飛び回るのであった。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

青年クリフとデレクは1年かけて世界一周旅行へ出ることに。2人は幼馴染みで、デレクは昔から旅行好きだったが、就職してからは自由な時間が取れなかった。クリフは映像ディレクターとして働いており、この旅を記録してブログにアップする役割を担っている。
デレクは脳動静脈奇形を患っており、いつ死んでしまうか分からない。この旅は人生最後の思い出づくりでもあった。もちろん家族からは強い反対を受けていたが、デレクは出発を決めた。クリフは彼の決断を勇敢だと称している。

 

1日目スペインのバルセロナ。デレクの友人でミュージシャンのエド、ザックと合流する。4人は存分にスペインを楽しんだ。

 

7日目フランスのパリ。エドとザックも来ており、彼らは地元のクラブで演奏した。その間、デレクはナンパに夢中。無事に女性オードリーを連れ帰った。
ホテルに帰ったエド、ザック、クリフはセックスを阻止する"コックブロック"を実行することに。「コックブロック!」の掛け声と共にドアを開けるとベッドの上には血だらけのデレクが倒れていた。
彼が覚えているのは部屋に入ってすぐ何者かに殴られたことだけ。オードリーの服が残っているがその姿はない。殴られた瞼の腫れと噛まれた様な左肩の傷が残る。幸い怪我は大したものでなく、旅は続行。エドとザックとはここで別れた。

 

イタリアのヴェルナッツァ。デレクは到着から丸1日寝込んでいた。
10日目、寝起きのデレクを連れてクリフはレストランへ。しかしパスタを一口食べたデレクは嘔吐してしまう。
ホテルに戻りクリフが病院へ行くことを勧めるが、デレクは旅が終わってしまうと拒否。

 

11日目、ワインの醸造所へ向かう。ワイン畑を見学しようと外に出たが、突然デレクが苦しみ始める。彼の皮膚は赤くなり、まるで焼かれている様だった。


クリフは悩んでいた。ここ最近のデレクの様子は明らかにおかしい。彼はデレクを説得することにした。帰国を勧められたデレクは激昂。壁を殴るとそれを破壊してしまう。壁の材質は石であり、そう簡単に壊れるはずがない。落ち着いたデレクが謝罪をするが、クリフにとってそんなことはどうでも良かった。


クリフは川に向かい、大きな岩をデレクに殴らせる。岩は真っ二つに割れた。
次いで車を楽々と持ち上げることに成功。さらに時速60km以上で走れることが分かった。
2人はスーパーパワーを手に入れたと大喜びしていたが、デレクの目に違和感が生じる。コンタクトを外そうとしたが、同時に角膜が剥がれ落ちた。そして一瞬黒目が大きくなる。


クリフの身を案じ、病院へ向かうことを勧めたが、彼は健康だと言い張って広場に訪れた。カメラを体に装着し、ハイジャンプを撮影するという。言葉のとおりクリフは垂直跳びで建物の2階に飛び乗った。ところが調子に乗って飛び回っているうちに落下。結局そのことで病院に向かうことに。


その道中、撮影に夢中になっていたクリフが車に轢かれかける。車は寸前でハンドルを切り、事故を起こしかけた。運転手と同乗者が車から降りてクリフとデレクに詰め寄った。デレクは2人を押して、吹っ飛ばしてしまう。結局病院へは行かなかった。


クリフはこの事故の映像もブログにアップした。すると視聴者からデレクが血を舐めているとの指摘を受ける。
部屋に戻ったクリフはデレクにそのことを尋ねる。彼は血が欲しいと返した。クリフは彼が吸血鬼になったのではと考える。

 

14日目。精肉店でもらった牛の血を飲んでみるが、臭くて飲めたものではなかった。新鮮さが重要なのではと考えたデレクは、ソーセージ片手に飼い犬を盗もうと企てる。しかしこの国の犬は大事にされていて、盗めるような状態ではなかった。


デレクはワイン醸造所で飼っていた子豚を思いだし、侵入して殺したが、やはり不味くて飲めたものでは無かった。彼は人間の血でないとダメだと気づく。


次に向かったのは病院だったが、血液パックを盗むのに失敗。飢餓状態になったデレクの前に救急車が通りかかる。彼は運転手を引き摺り降ろし、救急車をジャックした。クリフが運転し、デレクは輸血パックを探す。しかし、見つからず彼は患者を手に掛けようとした。それに気付いたクリフは、車を止めてデレクを降ろす。デレクは俺を見捨ててくれと懇願した。


クリフが部屋に戻り眠っていると、何者かの気配を感じる。正体はデレクだった。デレクはクリフの傍らで気絶した。

 

17日目の夜。デレクは限界に達していた。クリフは決心し、自分の血を彼に飲ませることにした。リストカットして瓶に血をためる。デレクの部屋にそれを持っていくと彼の姿は無かった。


窓が開いており、外に出たことを知ったクリフはデレクを探しに向かった。そして一軒の納屋で彼を発見。瓶を差し出したが、デレクには理性が残っておらず、殴られて血を吸われてしまう。
理性を取り戻したデレクは自らの行いを後悔し、ショットガンを咥えて自殺を謀った。しかし、彼はすぐに復活してしまう。

 

21日目の夜。デレクはカメラに独白を始めた。クリフは死んでしまい、納屋の外に埋められている。デレクは事の発端であるオードリーを探すことに決めた。

 

22日目。試しに日光に当たってみたら皮膚が焼けた。作戦を練っていると部屋に国際警察が尋ねて来る。デレクは咄嗟に窓から飛び降りて逃げ出した。外は明るいためどんどん皮膚が焼けていく。何発か銃弾を受けたが逃げ切った。


咄嗟に部屋から出たため、荷物はカメラとパソコンしかない。

列車に潜伏し、パリにたどり着いた。ちょうどいい地下室を隠れ家にする。

カメラの映像を確認して、オードリーの携帯がホテルに残っていることが発覚。

 

25日目の夜。携帯を探しにホテルへ向かった。忘れ物箱から携帯を見つけた彼はホテルを後にする。そこで弟のジェイソンに遭遇した。彼は連絡の途絶えたデレクを探しに来ており、自首することを勧めてきた。デレクはその場から逃走。


警察に囲まれ、ジャンプして高層階へ逃げた。ところがそこにも警察が待機しており、1人を事故で落下死させてしまう。
殺したことに罪悪感を感じながらも隠れ家へ帰還。携帯に登録されたメールアドレスに片っ端から「会おう」と連絡を送った。

 

27日目の夜。1人と連絡がつき、待ち合わせ場所に向かった。現れたのは男性で、デレクはその後を尾ける。彼は落書きだらけの廃墟で暮らしていた。
デレクは男を椅子に縛るとライブ配信を開始。これによりオードリーを誘き寄せようとする。


男の名はモリスといい、彼の体には無数の傷跡が残っていた。モリスいわく、オードリーが初めて変化させた人間がデレクだという。彼はデレクに逃げろと忠告した。


突然部屋が暗くなり、何者かが隠れ家に侵入した。しかし、それはオードリーでなく、特殊部隊だった。銃弾を受けて始めこそやられていたデレクだったが、途中で覚醒。次々と隊員を殺していった。

 

28日目の夜。デレクの前にオードリーが現れた。彼女は「二度と私たちの前に現れないで」と言った。デレクは俺を治せと頼んだが、治療法は無いという。

デレクは激昂し、オードリーに襲いかかるも返り討ちにあう。オードリーがデレクを変化させたのは人助けのつもりだったらしい。脳動静脈奇形を患ったデレクを生かすために変化させたという。これからデレクは4~5日に一度は人を殺さなければいけない。

 

37日目の夜。デレクは家族に向けてのビデオレターを撮影。もう一緒にはいられないと別れを告げた。
その後、彼は1人の男を殺す。そいつは女児を強姦した犯罪者だった。

 

エンドロール中
封鎖された豪邸に忍び込む若者3人を吸血鬼と化したクリフが襲う。

感想

POV作品としての破綻は感じなかったし出来が良いと思う。吸血鬼という古典的な題材だが、感染症のように描かれていて現代的に感じた。飢餓状態に陥ったデレクの様子は「アイ・アム・レジェンド 」の”ダーク・シーカー”を想起させる。

 

冒頭のドキュメンタリータッチなシーンは観るのを止めようかと思うほど嫌いな映像だった。ホラー映画という前情報が無ければ視聴を止めている。ただ7日目にデレクが噛まれてからはずっとそれなりに面白い。低予算っぽいし長々と日常が垂れ流されるのを覚悟していたのだが、テンポが良くて好印象。

 

スーパーパワーを試すくだりも「クロニクル 」の様な幼稚さがあって気に入った。クリフが映像ディレクターである設定のおかげで、本作では他のPOV映画には見られないようなカメラが登場する。

なかでも腹部に装着するボディカメラの映像が面白く、FPVに近い視点から映される。デレクが逃亡する際の映像は大体ボディカメラが使われており、さながら「ハードコア 」の様だった。

 

ただ残念に思う箇所もある。デレクが吸血鬼になった原因であるオードリーにまつわるシーンが全て不完全に思える。死にかけていたデレクを助けるためという動機も薄いし、衣服や携帯を置いてホテルを去った理由が分らない。ただひたすらモヤモヤする。いっそのこと後半オードリーを出さなければ考察の余地もあって楽しめたのに。

AFFLICTED アフリクテッド [DVD]

AFFLICTED アフリクテッド [DVD]

  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: DVD
 
AFFLICTED アフリクテッド(字幕版)
 

映画をより楽しむための「初心者向けドラッグ講座」

映画をより楽しむための「初心者向けドラッグ講座」

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映画を観ていて、とくに洋画だとドラッグを使用するシーンがたびたび現れますよね。その度に私たちは置いてけぼりにされたような疎外感を味わいます。「アッパーとかダウナーって何だよ」、「ナニを鼻から吸ってナニを注射で打ってんねん」と。

この記事ではそうした疎外感から脱するための最低限な知識を提供します。

※本記事を書くにあたって様々な書籍、サイトを参考にしました。私の実体験ではないので悪しからず。

目次

用語の解説

アッパー/ダウナー

言葉の通り使用したことによって興奮するのか、抑制されるのかを指しています。分類の1種なのですが、これらに属さないものとして幻覚剤があります。

例)

アッパー:覚醒剤、コカイン、エクスタシー(MDMA)

ダウナー:ヘロイン、チャイナ・ホワイト、アルコール、睡眠薬

アッパーかつダウナー:マリファナ、ハシシ

幻覚剤:LSD、メスカリン、マジック・マッシュルーム、ケタミン

 

ハード/ソフト

心身に対する障害の重さによる曖昧な分類です。主にマリファナ、ハシシだけがソフト・ドラッグと呼ばれています。

 

ナチュラル/ケミカル

マリファナやガマの油など自然界にある状態のものをナチュラルと呼びます。それに対して化学処理をしたもの、化学合成したものをケミカルと呼びます。

 

OD(オーバードース)

医薬品の過剰摂取のことを指します。自殺のイメージが強いですが、ものによっては多幸感が得られたり、幻覚作用をもたらすこともあります。また麻薬を過剰摂取することもODといいます。

 

プッシャー/ドラッグディーラー

両方とも麻薬密売人を意味しますが作品内で明確に呼び分けられていた場合は、異なる役割を持っています。このときプッシャーはドラッグを広める役割を持っており、新規開拓を試みます。そして新しく顧客になった相手にドラッグディーラーが薬物を売るのです。

 

主な使用方法

経口投与

直接口に含むのはもちろんのこと、ジュースに混ぜたり調理したりと使用するドラッグによって様々な意味を持ちます。

経口投与でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン、エクスタシー、マリファナ、ハシシ、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、睡眠薬、LSD、メスカリン、マジック・マッシュルーム、ケタミン

 

喫煙

こちらも様々な吸い方があり、煙を発生させる方法のことを大きく喫煙と呼びます。アルミホイルに乗せて炙るといった簡易的なものからタバコ状にしたり、グラビティボングを使用したりと多岐に渡ります。

喫煙でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン※、マリファナ、ハシシ、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

※通常コカインは喫煙しませんが、コカインの純度を上げたドラッグである“クラック”は一般的に喫煙によって摂取されます。

 

スニッフィング

粉末の鼻孔吸入を指します。ドラッグの使い方と言われて多くの人がイメージするのはこれではないでしょうか。

まず結晶を細かく砕き、粉末状にします。それを一列に並べ、ストローや丸めた紙幣で鼻から吸い込みます。

スニッフィングでキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン※、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

 ※クラックはスニッフィングしません

静脈注射

二の腕を縛ったら静脈に針を打ち込みます。その後注射器内に少し血を吸い込むのですが、この行為を“Frag”または“Resistor”といいます。これは血管に刺したことを確認するほかに、最後までブツを使い切る意味があります。

静脈注射でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

 

映像作品に頻出するドラッグの詳細

覚醒剤

【成分】メタンフェタミン、アンフェタミン他

【使用法】結晶を水に溶かして静脈注射、加熱して煙を吸う、粉末にしてスニッフィング、液体の溶かして飲む、粘膜への塗布

【作用】疲れや不安が無くなって陽気になる。皮膚感覚が鋭敏に。考え事が出来なくなるが、単純作業が楽しくなる。

【副作用】眠れなくなり、動き回る。効果が切れると強い脱力感に襲われる。連用すると猜疑心、攻撃性が増して錯乱状態に陥る。食欲減退。

作品例:ブレイキング・バッド ブルーレイBOX 全巻セット復刻版 [Blu-ray]

日本で一番悪い奴ら Blu-rayスタンダード・エディション

 

コカイン

【成分】コカイン(コカイン塩酸塩)

【使用法】粉末にしてスニッフィング、水で溶いて静脈注射、クラックの場合はパイプで喫煙、粉末を歯茎に塗り込む

【作用】覚醒剤に似ているがこちらの方が陽気に。集中力が著しく低下する。作用時間が30分以内と短い。

【副作用】鼻血。効果が切れると気落ちする。進行すると幻覚や掻痒感が生じ、さらに進むと精神分裂的症状を発現。効き目が短いので反復使用に陥りやすく、短期間で心身が壊れる。

作品例:スカーフェイス 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray]

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エクスタシー

【成分】MDMA(メチレンダイオキシン・メタンフェタミン)

【使用法】一粒1g程の錠剤を経口投与。耐性を生じやすいのでインターバルをとる必要がある。服用前には胃を空にしておく。

【作用】服用から40分ほどで胸に熱い感触がこみ上げ、その後2~4時間の間、多幸感と愛に満たされる。

【副作用】筋肉の緊張、あごの震え。吐き気、嘔吐、目の乾燥、食事の困難など。深刻な副作用は分っていない。

作品例:LORO 欲望のイタリア [DVD]

 

マリファナ/ハシシ

【成分】THC(テトラヒドロカンナビノール)

【使用法】大麻を乾燥させたのがマリファナ、樹脂を練り固めたのがハシシ。どちらも喫煙が主だが、バターでTHCを抽出することにより料理に使用できる。

【作用】内面には気分の高揚、活動欲求の向上が起こるが、身体が重くなり眠気が誘発される。そのためアッパーともダウナーとも言い難い。食欲増進、味覚、嗅覚、皮膚感覚の鋭敏化。穏やかな幻覚、幻聴。

【副作用】目の充血、心拍数上昇、悪寒、嘔吐、判断能力の低下。心身に与える害は少ないが、喫煙の際に発がん物質であるタールが発生する。

作品例:テッド

スモーキング・ハイ [Blu-ray]

 

ヘロイン

【成分】ヘロイン(塩酸ジアセチルモルヒネ)

【使用法】静脈注射、スニッフィング、タバコや大麻にまぶしての喫煙、経口投与。またコカインや覚醒剤との同時摂取をスピードボールという。

【作用】全身が心地よく弛緩。精神のマイナス要素が全て消え去り、安堵と静寂に満ちた究極の多幸感が得られる。

【副作用】食欲減退、嘔吐、便秘、皮膚のかゆみ、痛覚の鈍化、他多数。多量の摂取で鼻血が出ることも。連用に伴って有効量が急激に増える。禁断症状は重い風邪の症状に酷似しており、発熱、悪寒、鼻水、全身の激痛に苦しむ(映画トレインスポッティングに詳細なシーンあり)。

作品例:トレインスポッティング [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

 

LSD

【成分】LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)

【使用法】4~10mm四方の紙片や極小錠剤(マイクロ・ドット)を経口投与。舌下に挟んでおくと粘膜から吸収されるので効きが早くなる。効果は1時間で現れ、薬理学的には効果消失まで8~12時間を要す。LSDは酸素と光によって分解され、効果を失ってしまう。そのためラップとアルミホイルで密閉し、冷蔵庫にしまっておくのがベター。

【作用】主な症状は幻覚、聴覚や皮膚感覚の鋭敏化、超越意識の発現。生理学的には興奮剤にあたるため、それらの症状も呈する。

【副作用】不眠、動揺、興奮、発汗など。粗悪品や高濃度なものにあたると錯乱や昏睡となる。しかし、副作用は無いに等しいというのが定説である。

作品例:CLIMAX クライマックス Blu-ray 通常版

 

マジック・マッシュルーム

【成分】シロシビン、シロシン

【使用法】マジック・マッシュルームを調理して食す。乾燥したものをそのまま食べることも。成分をアルコールで抽出する手法もとられる。

【作用】4~6時間にわたり色彩豊かな幻覚を生じる。夢と現実世界を繰り返し往復する感覚で、気持ちが高ぶる。

【副作用】吐き気、虚脱感、幻聴、口の渇き、発汗、興奮、不眠など。錯乱に陥る事もあるが直接命に関わることはない。

作品例:カリスマ [DVD]

 

応用編:ドラッグで紐解くパルプ・フィクション

クエンティン・タランティーノ監督の名作”パルプ・フィクション”にはドラッグにまつわるシーンが多く登場します。そしてドラッグに馴染みの無い人にとって本作はやや難解です。ここまでの解説でドラッグについて知り、再度本作を鑑賞するとより楽しめると思います。

パルプ・フィクション [DVD]

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  • 発売日: 2012/02/08
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※以下ネタバレ注意

 

パンプキンとハニー・バニーがレストランで強盗を行うシーンから切り替わって、ビンセントとジュールスが乗る車内の様子が映されます。ここで早速ビンセントがアムステルダムのマリファナ・バーについて話し始めました。

アムステルダムはオランダの首都で、現在でもソフトドラッグの使用が黙認されています。ただし合法ではありません。ハードドラッグが裏で流行るよりかは比較的安全なソフトドラッグを黙認するという苦肉の政策です。アムステルダムでは認可されたコーヒーショップからソフトドラッグを購入することが可能です。

 

ビンセントはドラッグディーラーのランスからヘロインを購入しました。この際、ランスは小分けにしたヘロインを入れる風船を切らしており、ビンセントに袋で良いかと許可を取りました。

コカインとヘロインは見た目が似ているので、誤用を防ぐためにヘロインは通常風船に詰めて渡されます(Heroin Baloon)。つまりこのシーンではコカインの袋にヘロインが詰められて渡されたのです。

ヘロインを受け取ったビンセントがその場で静脈注射を行います。このとき注射器に血液が入り込みますが、これが先述したFragというものです。

 

ビンセントがミアを訪ねて屋敷に入ったとき、彼女は結晶をクレカで砕いてスニッフィングしていました。ヘロインの常用者であることが明かされているビンセントに対し、ミアが何を嗜んでいるのかは明言されません。しかし、後の展開からコカインであることが明らかになります。

 

ミアとビンセントはディナーに向かいます。そこのトイレで再びスニッフィングを行ったミアは見るからに陽気になりました。これはコカインの特徴的な作用です。そしてこの後のツイストコンテストでは、2人で対照的な踊りを披露します。ミアが激しい動きをし、ビンセントがおとなしく踊っていることからコカインとヘロインを表しているという説もありますが、あのダンスシーンは即興とのことなので真偽は分りません。

 

屋敷に帰ったビンセントはトイレに入りました。その際に彼の上着を羽織っていたミアは、ポケットからコカインの袋を見つけます。まさかヘロインが入っているなんて思わない彼女は、コカインの感覚でスニッフィングします。その結果ODしてしまい、鼻血を流して嘔吐、気絶しました。

ドラッグの知識無しで観ると突然ミアが倒れたようにしか見えませんよね。実は冒頭からいくつかの伏線が張られていたのです。

本作に限らず、ドラッグの知識は様々な映画の理解を深めます。この記事があなたの役に立てば幸いです。

 

 

 

いかがだったでしょうか。当ブログは引き続き映画に関する記事を更新ます。よろしければ読者登録、Twitterフォローのほどよろしくお願いします。

歪んだ愛とゾンビと 映画『雨あがりの君 Rain For The Dead』ネタバレあらすじと感想

雨あがりの君 Rain For The Dead

コメディ度:1/10

グロ度:3/10

感動:1/10

リアリティ:5/10

人に勧めやすいか:3/10

満足度:4/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2014年製作/日本/上映時間70分

監督・撮影・脚本:ビショップ小山

原作・製作総指揮:氏賀Y太

助監督:甲斐藤雄

音楽:北村歩

コンセプトデザイン・特殊メイク:ゼライ直井

出演:足立昌弥、小野まりえ、近松仁、高塚玄、ラビオリ土屋

あらすじ

死者の徘徊する街で、1人生き残った洋二郎。やがて彼は雨が自分の臭いをかき消し、ゾンビに襲われなくなることに気付く。

洋二郎にはかつて恋人がいた。彼はゾンビと化した恋人を諦めきれず、自室で監禁している...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

ニット帽を被った男が人気の無いコンビニに足を踏み入れる。外はどしゃ降りで雨音が絶えず続く。明かりもなく、物の散乱する店内で男は乾電池を手に入れた。店の奥で2人の少女が1人の遺体を貪っている。男は用事を済ませて外へ出た。

 

街は荒廃しており、至るところに死体が転がっている。そして何体ものゾンビが闊歩していた。男はその間を何事も無いかのように通り抜け、アパートの自室へと到着した。

家には1体のゾンビが鎖に繋がれていた。男はそのゾンビを真美と呼び、外から調達してきた臓物を皿に出して与えた。

 

男は昔のことを思い出した。彼の名前は洋二郎。真美とは恋人関係にあった。ある日2人は買い物がてら公園で昼食をとっていた。アパートに帰ると隣人のトメダがおり、2人は茶化された。

 

いつの間にか寝てしまっていた洋二郎が目を覚ます。傘をさし、バット片手に外へ出た。部屋の外にはゾンビと化したトメダがいる。

雨の日にはゾンビが襲いかかって来ない。降りしきる雨が生者の匂いをかき消すからだ。これは食料の尽きた洋二郎が仕方なく外出した際に発見したことである。他にもゾンビは死肉も食うが、新鮮なものの方が好みであること。生前の習慣に従って行動することが分かっている。ゾンビの弱点は頭であり、潰すことで倒せるがコツがいる。

洋二郎はある一軒家へと入っていった。リビングでは血だらけのアイロンの傍ら、頭の割れた老人が伏している。それを一瞥すると2階に上り、写真の入ったオルゴールと真美の服を持って帰宅した。アパートに着いた彼はゾンビとなった真美を着替えさせ、皿に盛った臓物を差し出す。

 

洋二郎は昔のことを思い出した。真美の誕生日にレストランでディナーをとった。真美はお返しに洋二郎の誕生日には自分が料理を振る舞うと約束したが、それが成されることはなかった。

ある日、夜道を歩いていた洋二郎はトメダと出くわした。軽く挨拶を済ませて別れると、トメダが女性のゾンビに襲われた。洋二郎が助けに入ったが、首筋を噛まれた後だった。あれは何だったんだと話していると何台ものパトカーが横を通り過ぎて行く。後日トメダの様子が徐々におかしくなっていった。

別の日、真美が凄い形相で部屋に上がり込んできた。感染の疑いがある父親に噛まれてしまったという。

 

洋二郎は真美の家から持ち帰ってきたオルゴールを彼女に聞かせるが反応はない。

 

噛まれて衰弱した真美を洋二郎は必死に看病した。彼女は彼に、私がゾンビになったら一思いに殺してくれといった旨の話をした。

日が進み真美の容態はますます悪化。肌にはできものが現れ、口からは血を吐き出す。洋二郎は危険を察知し、自室に監禁できる空間を作り上げた。手足を縛り、首輪を着けて壁に設置した金具に繋ぐ。

 

洋二郎は幻覚を見た。オルゴールを持ってきたことで昔の真美を怒らせてしまう。彼は飛び起きて外に出た。ところが外に待ち構えていたトメダに襲われ、手を噛まれてしまう。洋二郎は急いで部屋に戻り手を切断しようと考えたが、嫌気がさした彼は真美に食われることにした。洋二郎は「ごめんな、もっと早くこうすれば良かった」と言い残して絶命。

 

部屋が明るくなり、真美がデートの迎えに来た。2人は手を繋いで外へと出掛ける。それはゾンビと化した洋二郎の見る世界だった。

彼は真美の物と見られる千切れた手首を持って、フラフラと街を歩いている。

感想

猟奇漫画家、氏賀Y太先生の初となる実写映画。僕は本作品の原作を読んでいないので映画のみの感想を綴っていく。

予告やタイトルからも想像していたとおり、主たる要素は恋愛だった。崩壊した世界で暮らす洋二郎のパートよりも、ゾンビになる前のカップルを描くパートの方が長い。正直回想に移る度に退屈で仕方なかった。カップルの会話は面白みがない上に不自然で、応援したくなる2人ではない。ゆえにゾンビと化した真美を部屋に監禁する流れも違和感がある。

洋二郎が雨の日に街を歩くシーンはとても良かった。本作はゾンビや死体のメイクが凝っていて強いこだわりが感じられる。ただそういったシーンはとても短い。頭の潰れたゾンビ、ポールの刺さった死体は10秒と画面に映らなかった。

逆に比較的長時間映っていたゾンビ化した真美の出来は微妙だったように思える。一応ヒロインという位置づけだから小綺麗なのかも知れないが、もっと汚くあって欲しい。

出てくるゾンビは”アイアムアヒーロー”のモノと同じく生前と同じ動きをする。そして最後明らかになるのだが、本人はゾンビになったことを分っていない。これもアイアムアヒーローと類似していた。異なる点は生者の臭いが雨でかき消されるということ。安全な時間帯があるという設定は新しいし面白いと思う。ただ緊張感は無くなるけれども。現に作中でゾンビに襲われるシーンは極めて少ない。

 

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パッケージを見て分るようにゾンビメイクはリアリティがある。このおじさんは作中で特に重要人物でも何でも無い。

 

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ポストカード3枚入り。原作イラストのカードには乳首が映っていたので隠しました。真美の顔が作中と印象大分違う。

撮られたら死ぬいわく付きカメラ 映画『ポラロイド』ネタバレあらすじと感想

ポラロイド

コメディ度:1/10

グロ度:2/10

感動:1/10

リアリティ:4/10

人に勧めやすいか:7/10

満足度:4/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2019年製作/アメリカ/上映時間88分
原題:Polaroid
配給:ギャガ

監督・原作:ラース・クレブバーグ

製作:ロイ・リー、クリス・ベンダー、マイケル・マホニー

脚本:ブレア・バトラー

撮影:ポール・ウルビック・ロクセット

音楽:フィリップ・ギフィン

編集:ピーター・グボザス

出演:キャスリン・プレスコット、タイラー・ヤング、サマンサ・ローガン、ミッチ・ピレッジ、ハビエル・ボテット、ケイティ・スティーブンス、マデリン・ペッチ

あらすじ

冴えない女子高生バードは、アルバイト先のアンティーク店で年代物のポラロイドカメラを入手した。友人に誘われたパーティにそのカメラを持って行き、人々の写真を撮るバード。ところがそれらの写真にはあるはずのない人影が写っていて...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

女性2人が母親の遺品の入った箱を漁る。中にはラブレターと共に一台のポラロイドカメラが入っていた。話の流れで下着姿の写真を撮ることに。
せっかくなのでポラロイドカメラを使用した。写真を撮り終えると友人リンダにメッセージが届き、彼女は家に帰った。


家主の女性はリンダを送りに玄関へ向かったが、踵を返すと部屋からカメラの撮影音が聞こえた。音は確かにカメラから鳴っており、横に置かれた写真には先ほどまで無かった人影が浮かんでいる。それに気づくと同時、気味の悪い音が鳴り響いて電気が消えた。

女性は誰かいるのではと家中を回る。やがて梯子の掛けられた天井裏からボールが落ちてきて、彼女は導かれるように梯子を登った。上に着いた瞬間に物音が鳴り、驚いて梯子を倒してしまう。屋根裏の奥に蠢く何かを目にした女性は手を伸ばすが、青白い手が伸びてきて掴まれてしまう。驚いた彼女は後退り、出入り口の穴から落下しそうになったが踏みとどまった。切り裂くような音の後、女性は天井裏から落下した。

 

ローカスト・ハーバー高校で学校年鑑の写真撮影が行われた。バード・フィッチャーはいつもスカーフを巻いており、同級生からバカにされる。彼女は帰る際に意中の男子生徒コナーが目に入り盗撮。気付かれそうになって慌てる。


バードは友人タイラーの叔父が経営するアンティーク店でアルバイトしていた。タイラーからガレージセールのお土産だと、冒頭のポラロイドカメラSX-70を貰う。カメラにはR・J・Sと刻印が入っていた。
バードはさっそく彼を撮影。写真が現れるまでの間にタイラーはキスを迫ったが拒否。バードはカメラを持って慌てて店を後にする。タイラーが同時に買っていたケースには冒頭の写真が。


バードが家に帰ると母親が出掛けようとしていた。彼女の家は母子家庭らしく、母親はよく仕事で家を空ける。バードがスカーフを脱ぐと首には大きな傷跡が。部屋に帰ったバードはさっそく愛犬ネッドをポラロイドで撮ろうとするが、やけに怯えて撮影できなかった。そこに友人のケイシーがやって来て今夜のパーティーに誘う。

 

バードは承諾し、その夜にカップルのミーナとデヴィン、ケイシーの乗った車が迎えに来た。車に乗り、鞄のなかを探っているとタイラーの写真が目に付く。彼の横には人影が写っていた。

 

その頃タイラーは叔父に頼まれた写真の値付け作業をしていた。映写機で投影しているとスクリーンの裏に人影が浮かび上がる。怯える彼はトンカチを握りしめスクリーンを剥がした。何もなく安心していると突然、何者かが現れてタイラーを襲った。

 

会場に着いたバードらは主催で家主のエイヴリーと挨拶を交わす。皆が楽しむなかバードは壁際で突っ立っていた。するとコナーが話し掛けてくる。

「写真の出来は」と聞かれたバードは咄嗟にカメラテストをしていただけだと否定した。2人は会話を始め良いムードになっていたがカップルが乱入。皆で写真を撮ろうと言うのでバードはせっかくならとポラロイドを取り出した。

シャッターを切る瞬間、ケイシーがパッと入り込んだ。フラッシュの光がいるはずの無い人影を表した。バードは不審に思ったが写真にその影は写り込んでいない。何が起きたと考えているとエイヴリーがカメラに興味を持って話し掛けてきた。彼女はポラロイドで自撮り。写真が表れる前に警察がやって来てパーティーは中断となった。

 

警察はバードを訪ねて来た。署に連行され、保安官のペンブロークから用件を伝えられる。内容はタイラーが死んだことに対する聞き込みだった。ペンブロークはバードの父を知っているようで君は立派だったとバードに告げる。

 

家に帰り、涙するバードは母に慰められた。部屋で撮った写真を確認しているとタイラーの写真に写っていた人影が消えているのに気付いた。その人影はエイヴリーの写真に写っている。バードは彼女にその事を伝えようか悩んだが止めた。

 

パーティーが終わり、ひとり屋敷の掃除をするエイヴリーは何かの気配を感じて怯えていた。カーテンから緑色の人が現れ、彼女を襲う。一度は逃げたものの、再度捕まってしまった。

 

朝食を食べるバードにケイシーから電話がかかった。エイヴリーが階段から落ちて死んだという。それを聞いたバードは急いで写真を調べたが、やはりエイヴリーの写真にあった人影は消えていた。人影は4人の写真に移動している。ようやく事態に気付いたバードはカメラを壊そうと試みたが衝撃波によって彼女は吹っ飛ばされた。

 

学校は追悼モード。バードは写真に写る4人に説明を試みたが誰も信じようとはしない。そんな写真なら燃やしちまえとデヴィンがライターで火を点けた。すると写真は燃え始め、同期するようにミーナの腕が発火。焦りつつも消火器を噴射したが一向に消える気配はない。もしかしたらとバードが写真の火を消すとミーナの腕も鎮火した。写真の燃えた箇所は再生し元に戻った。

 

ミーナは火傷を負ったため病院に運ばれる。バードはケースに手懸かりがあるかもと封鎖中のアンティーク店に不法侵入。コナーに車で送ってもらった。

車内で待つコナーは、例の写真に反射でバードも写っていたことに気付く。バードは店内で人影に襲われた。ケースを持って何とか脱出しようとする彼女をコナーが助ける。

 

病院でミーナが目を覚ます。傍らにはデヴィンが座って見守っていた。突然部屋の明かりが点滅したので彼は看護師を呼びに行ったが、ナースセンターには誰もいない。
ミーナにバードからの着信が入る。「何者かに襲われた。危ないから1人にならないで」とのこと。恐怖したミーナはデヴィンの元に向かおうとしたが襲われてしまった。病室に戻ったデヴィンは彼女の首吊り死体を発見する。

 

バードとコナーが病院に着くとデヴィンが取り調べを終えたところだった。バードの顔を見たデヴィンはお前のせいだと激昂。コナーがなだめ、バードはその場から逃げ去った。

角で泣いているバードにコナーが話しかけると彼女は昔話を始めた。「パパは地元紙の記者だった。12歳のときお泊まり会へ送ってもらう途中、寄り道をしようとパパが言った。私は友達の家に早く行きたくてそれを拒んだ。それでパパが車を切り返したら突っ込まれた。いつだって私が悪いの」と。
コナーは「パパなら君は悪くないと思っている」と返した。バードは「パパなら真相を追求するわ」と言い、カメラケースを調べ始めた。ケースの隙間に”殺人 証拠品 1974年10月28日”と書かれたタグが挟まっているのを見つける。

 

2人は図書館で当時の新聞記事を読み漁った。すると1つの事件に行き着く。1974年、若者3人が拉致されて殺された。犯人はローカスト・ハーバー高校で写真を教えていたローランド・ジョセフ・セイブル。ポラロイドに刻まれたR・J・Sは彼の名に違いない。

 

4人はレストランに集まり話し合う。バードは襲われたときの様子から人影は光や熱に弱いのではと仮説をたてた。取り敢えずローランドの元邸宅に身内が住んでいるのではと考え、調べてみるが現在はアン・ファラデイという人物が暮らしていることが分かった。

これからどうしようかと悩んでいるとデヴィンがカメラを手に取った。何かしでかすのではと考えたコナーは奪い取ろうと揉み合いに。その際、事故でデヴィンの写真が撮られてしまう。すると人影は4人の写真からデヴィンの写真へと移動を始めた。

激怒したデヴィンはバードの写真を撮ろうとするが、ケイシーが彼の写真に鉛筆を刺した。デヴィンの手のひらに穴が空き、彼は更に激昂。取っ組み合いになりそうなところを警察が止めに入るも、カッとした彼は警官を殴ってしまう。

 

デヴィンは留置され、バードとコナーは彼の身を案じてペンブロークに説明を試みた。しかし都市伝説だと信じてもらえず、さらに元ローランドの邸宅に近づいたらお前らも捕まえると脅された。デヴィンはバードに言いすぎたと謝る。

 

2人が警察署に行っている間、ケイシーはローランドの元邸宅についてさらに調べていた。そしてアン・ファラデイがローランドの妻レナ・セイブルの改名した名だと突き止める。このことを聞いたバードはコナーと共に邸宅を訪れることに。

 

アンは始め私はセイブルでないと言ったが、カメラを持っていると聞いた彼女は態度を変えた。R・J・SのRはレベッカであり、娘の名だという。

 

留置されたデヴィンは部屋のなかで大きな刃物に貫かれ死亡した。

 

セイブルは2人をレベッカの部屋に案内した。レベッカはすでに亡くなっており、セイブルが昔のことを話し始める。
レベッカはとても内向的だったが、プレゼントされたカメラを気に入り、常に持ち歩いていた。すると学校でからかわれ始める。ある晩レベッカは4人のクラスメートに呼ばれ、なにも警戒せずに付いていった。酔った彼女はハレンチな写真を撮られ、後日学校中にばらまかれる。レベッカは恥ずかしさのあまり自殺してしまった。全容を知ったローランドは娘の仕返しをするため、それらの生徒を拉致。高校の暗室で痛め付けているところを警察に射殺された。3人は殺したものの1人を取り逃したという。そしてその1人の写真をセイブルがバードに差し出した。
話を聞きながらコナーは写真を確認し、デヴィンが死んだことに気付く。

 

2人は急いで家を出て高校に向かい、電話でケイシーも呼び出した。学校年鑑で写真を照らし合わせると取り逃した最後の1人がペンブロークだったと判明。そこに後を尾けてきたペンブロークがケイシーを連れて現れた。

バードは彼を殺せば事態が収束すると考え、カメラを向けるが良心からシャッターを押すことが出来なかった。それを見かねたコナーがカメラをぶんどり、ペンブロークの写真を撮る。
ペンブロークも事件のことを語った。しかし、彼の証言はセイブルの物とまるで違っている。4人はレベッカを助けようとしていた。ハレンチな写真を撮ったのはローランドで、彼らは警察にそれらの写真を虐待の証拠として提出し、助け出すつもりだった。ところがローランドは逆上しレベッカを殺したうえ、拉致事件まで起こした。セイブルは全てを知っていたにも関わらず、自分に都合のいい話をでっち上げたという。

 

話を終えると人影が姿を現す。ペンブロークが拳銃で応戦するもあまり効いている様子はない。人影はペンブロークの写真を拾い上げると真っ二つに引き裂いた。

3人はコナー1人、バードとケイシーの2人に分かれて逃げ出す。バードとケイシーはシャワー室に到達。お湯を出すことで人影が入れない空間を作った。バードはケイシーをそこに置いてコナーを探しに向かう。

コナーと合流したバードはカメラを探しに行ったが、その途中コナーが捕まってしまう。バードは咄嗟に自撮りし、自分の元に向かわせた。

首を掴まれ、持ち上げられたバードだが、力を振り絞って人影の写真を撮影した。そして出てきた写真を折り曲げる。人影はその通りに体が折り畳まれたが、写真にはバードの右手も写っていたため、彼女も痛みを伴った。

倒したかと思ったが写真が開くと人影は復活。次いで彼女は写真に火を点け、人影を消し炭に変えた。

 

バードは2人と合流。彼女はその足で海に向かいポラロイドカメラを投げ捨てた。

感想

なんか勿体ないなと思う作品だった。ポラロイドカメラが題材の作品で、タイトルが出るまでの冒頭映像は面白かったのだがそこから雑になっていく感じ。

人影が初めは得体の知れない存在で恐ろしさもあったが、最後に出てきたのはただ単に人。ホラー演出が徐々に剥がれ落ちて無が残る。

ポラロイド写真に人影が写る設定は面白いと思うが、写真を一目見ただけで嫌になるような嫌悪感がない。特に後半死に方がダイナミックになっていくので小物だけでも怖がらせて欲しかった。

途中でバードがカメラを破壊しようと試みるシーンがあるのだが、断念する理由が衝撃波っていうのは気に入らない。雑すぎやしないだろうか。写真が破損して復活するも何だかなってなる。

倒し方も好かないな。これでいけるっていう根拠もなく写真を撮ってそれが成功するんだから腑に落ちない。熱だったり光で倒す方が筋通っていたような。

日本公開に向けてグロいシーンがカットされてるのかも知れないけど、本当にそういうシーンがなさ過ぎて残念だった。デヴィンの手に大穴空いたのに出血無しは寂しい。ペンブロークが真っ二つになるシーンもカメラが外れるし。

冒頭は正統派ホラーって感じで最高だった。冒頭がピークだからそこで微妙に思ったら観るの止めて良いかもしれない。

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ポラロイド(字幕版)

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強迫性障害患者の異常な日常 映画『八つ』ネタバレあらすじと感想

八つ

コメディ度:1/10

グロ度:2/10

感動:1/10

リアリティ:10/10

人に勧めやすいか:4/10

満足度:6/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2016年製作/オーストラリア/81分

原題:Eight

監督・脚本:ピーター・ブラックバーン

撮影:ブラッド・フランシス

音楽:ライアン・ウォルシュ

編集:ジョー・ランカスター、グレアム・ヤング

出演:リビー・マンロー

あらすじ

強迫性障害に苦しむ女性は外出を目指して日々闘病していた。本作はある一日の朝を捉えた作品である。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

目覚まし時計が鳴り響き、ベッドに横たわる女性サラが目を覚ます。目覚まし時計を止めて8回ボタンを押すとようやく起き上がった。腕の皮膚が爛れている。

スリッパを履く際に周りを囲うように素足で叩いた。途中でずれてしまいやり直し、やっと履き終えた彼女はトイレに向かった。

壁には大量のポストイットが規則的に貼られている。用を足してトイレットペーパーを千切ったが8つ折りに失敗してやり直した。

トイレから出たサラは異常なほど手を洗う。石けんを泡立てては水で流しを計8回。手の皮膚が爛れているのはこのせいかと思われる。
スリッパを定位置に置いてシャワーを浴び始めるが、体を洗う力が強すぎて身体は傷だらけ。浴室からはジョリジョリと似つかわしくない音が漏れていた。シャワーを終えたサラは再び周りを叩いてからスリッパを履く。


ベッドシーツを剥がして交換するが黒いシミが付いている。彼女は苛立った表情を浮かべ、新たなシーツと交換。シワを伸ばすために8回撫で付けた。
6:15分に電話が鳴った。主治医とみられる女性からの伝言で「自信を持って」とのこと。サラは電話に出ずにベッドメイクを続けている。


ポールに吊るされた衣服の左から8番目を選択すると歯を磨く。一ヶ所に付き8回擦った。洗面所の汚れに気づいた彼女はゴム手袋をはめると洗剤とブラシ、布巾で清掃を開始。それはシャワールームにも及んだ。

清掃を終えた彼女は再びシャワーを浴び、執拗に体を洗う。そして痛みからうめき声を上げた。洗い終えた彼女は体を拭くが吐き気が込み上げて再びシャワーに戻る。号泣しながら体を洗った。使ったタオルをゴミ袋に捨てていると娘ベルからの着信が入ったが父親ダニエルとみられる男性がそれを切ってしまった。ベルはサラと話したがっていた。


再度電話が鳴り、サラはすぐに受話器を取ったが相手はジャニスという女性だった。6:15に電話をかけた女性と同じだろうか、「どこまでいけた?」と尋ねてくる。


サラは泣きながらベルのベッドに横たわった。壁にはサラとダニエルのツーショット写真が貼られている。しばらくすると立ち上がり、ごみ捨て作業に戻った。タオルのみならず清掃に使用した洗剤、ブラシ、布巾も袋に入れた。ガウンの下に下着を着ると手を洗う。


ゴム手袋をはめてグラスを用意するとペットボトルの水を少量ずつ8回注ぐ。薬を用意して水を8回に分けて飲み干した。


着替えを試みるが先ほど用意した服が気に入らないのか、適当な場所に戻して再び左から8番目の衣服を取り出す。


着替えを終えて湯を沸かしているとドアの外からベルの声が聞こえた。ベルはサラにとても会いたがっているが、サラに扉を開ける勇気が出ない。ダニエルがやって来てベルを車に戻し、サラに「何とか会えないか、彼女には母親が必要なんだ」と頼む。どうやらサラは突然こうなってしまった様で、ある程度理解のあったダニエルもそろそろ限界な模様。サラは玄関で泣き崩れながらそれを聞いていた。


ダニエルが去った後、サラは再びシャワーを浴びそうになるがポストイットに”何度もシャワーを浴びる必要はない”と書き込んで逃れた。


ジャニスからもうすぐ家に着くわと電話が入った。サラが着替えていると来客が訪れる。ジャニスかと思って返事をしたが相手は宅急便だった。業者はサインを求めるがサラは階段に置いといてと頼んだ。サインを貰えないと渡せないとのことで業者は郵便局に戻ってしまった。


サラは朝食を作ろうと卵を割るが、8回叩かないといけないので上手く作れない。
ジャニスが家にやって来た。サラはおそるおそる扉を開けて彼女を招き入れる。
ジャニスはサラが外出できるように手助けしているが、今日はいつもより酷いらしく「明日こそ頑張りましょう」とすぐに帰ってしまった。以前は着替えすらも出来なかったらしく、治療の効果は現れている様だ。


ジャニスが帰った後、サラは手を洗って外に出る。外にはジャニスが待っていて、サラは彼女と握手すると逃げるように家へ戻った。

 

感想

全編長いカットで構成されており、没入感が凄まじい。台詞が少ないものの起きていることが明確でダイレクトに届く。日常の一コマを描いた作品なので山場など存在しないが、役者の迫力ある演技が退屈させない。

僕は本作を下手なホラー映画よりも恐ろしく思った。本作がどれほど実際の病状を参考にしているかは分らないが、レビュー等で共感の投稿が多く寄せられていたことからかなりリアルなのだろう。

確かに強迫性障害を患っているサラの苦悩は読み取れるのだが、それ以上に客観的に見た様子があまりにも恐ろしい。端から見て些細な事に対し、執着してしまうのが主な病状なのだろうがそこに合理性は見当たらず、ただただ異常に映る。

随所に散りばめられた8にまつわる儀式行為に目がいきがちだが、不潔恐怖症の方が深刻に思えた。事ある毎に手を洗い、シャワーを浴びているせいで皮膚が爛れてしまっている。やらなければいけないと思い込んで行為に及んでしまうのだろうが、そこに理性が働いているとは思えない。

薬を飲むときにゴム手袋をはめるのに対して、卵を割るときに手袋をはめないのは何故なのか。

身の回りのことをきっちりとしているようで、服を乱雑に脱ぎ捨てたり、サイズの合っていないゴム手袋をはめたりとどこか気になる箇所がある。自分はそっちの方が嫌だなと思う点が疎かにされているのを見ると、引っかかるというか気持ちが悪い。価値観の違いというか何というか。

いつ自分が患うかも分らない強迫性障害への恐怖はもちろんだが、強迫性障害の患者に対しても恐怖を覚えてしまった。Twitterやアマプラのレビューで共感したと勧める文章が見受けられたが、本作を人に勧めるのはどうかと思う。

八つ

八つ

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海外のレジャーはスケールがデカい 映画『テリトリー・オブ・ザ・デッド』ネタバレあらすじと感想

テリトリー・オブ・ザ・デッド

コメディ度:6/10

グロ度:3/10

感動:2/10

リアリティ:3/10

人に勧めやすいか:3/10

満足度:5/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2018年製作/イギリス/上映時間85分
原題:Killer Weekend

監督・編集:ベン・ケント

脚本:ベン・ケント、ジョエル・ウィレニアス

製作:ジョナサン・バーソン、マイケル・ハミルトン、アントニー・ペトロー

撮影:ユアン・マリガン

音楽:サッシャ・パットナム

出演:マーク・ヒープ、ショー・ベリー、ダニー・キレイン、デヴィッド・モメーニ、ティモシー・ルノーフ、ユウェン・マッキントッシュ

あらすじ

結婚式を控えた新郎サムは、悪友の企画したバチェラーパーティーに参加。彼らの企画は森の中で襲いかかるゾンビをペイントボールで倒していくゾンビ・サバイバルゲーム。ところがそのゾンビ役は道中で揉めた相手で...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

新婚のサムを悪友トビー、エリック、マイルズがパーティ会場に送る。車内は朝食もまともにとってないサムにビールをイッキ飲みさせて大盛り上がり。サムは義父で元軍人のジェラルドと上手くいってないらしい。更に式にはジャンキーで旧友のチーズも来るという。

 

彼らは結婚式前に男性参加者らを集めてバチェラーパーティーを開くことにした。ダイナーに参加する旧友らチーズ、太ったつまらない男アル、サムの妹ミシェルの彼氏ブランドン、義父のサムが集まっていた。


食事を終えエリックが企画を告げる。森の中で次々と襲いかかる元軍人の演じるゾンビをペイントボールで倒すゾンビ・サバイバルゲーム。店を出る際、マイルズが店のコーヒーにケチをつけて現地の客とトラブった。

 

一同はゲーム会場に到着。エリックはやたらと熱が入っていて、自前のサバイバルキットを持参。大振りのナイフをズボンに隠しいれた。


ゲームマスターのマーシャル軍曹から装備を支給される。警棒とペイントガン。但し頭は撃つなと忠告を受けた。その後ゾンビ役が出て来てデモンストレーションが始まったが、相手はダイナーで揉めた男だった。

 

車両に乗って森へ移動。2手に分かれる際、サムは義父となるジェラルドに同じチームになりましょうと提案したが断られる。結局サムはいつもと同じ面子トビー、エリック、マイルズと行動することに。目的地は地図にマークされた燃料保管庫。

 

別チームではジェラルドとサムを仲良くするためにチーズが昔の話をするが逆効果。

 

マイルズは排便のため仲間と分かれて茂みに向かう。残された3人は昔に戻って女の話で盛り上がっていた。

マイルズの悲鳴が聞こえ、彼らは後を追う。ところがサムは今朝の酒のせいで走れずにはぐれてしまった。そこにダイナーで揉めたゾンビがやって来る。何かされると感じたサムは咄嗟に落ちていた木の棒を突き立てて応戦してしまう。棒はゾンビの腹部に突き刺さった。


そこにマイルズ、トビー、エリックが合流。どうしようかと狼狽えているとゾンビが目を覚まして助けてhelpと言った。しかし、brainと言ったと思い込んだエリックがナイフでゾンビを殺してしまう。


マイルズは埋めて隠すことを提案。息子を持つトビーは反対したが結局加担することに。スマホと財布を盗んで死体を埋めた。スマホが指紋認証だったので指を切り取る。名前がスティーブだと判明し、身寄りもなく死んでも誰も気づかないことが分った。

ゾンビらは休憩に入り、マーシャルは帰ってこないスティーブを心配していた。

 エリックがスティーブのアカウントでtinderみたいなアプリを楽しんでいるとマーシャルからどこにいるとメールが届いた。マイルズが気分が乗らないから帰ると返信。それに対し、また来週会おうと返信が来た。一同はバレなかったと喜ぶ。その後ろでエリックはオリジナルのスラング”激ヤバ玉”を送っていた。

別部隊、チーズとジェラルドが親しくなっている。

サムの部隊は不自然なキャビンを見つけて侵入。空き家だと思って物色していると家主が帰って来た。怒鳴り散らす家主にトビーが逆ギレし、更に怒りを買ってしまう。

家主は包丁を取り出したが、突然苦しみだして倒れた。倒れた先に立つ包丁が刺さって死亡。
一同は死体をマットで包み、車に乗せて走り出した。しかし、マイルズの速度超過がたたって飛び出てきたゾンビを轢き殺してしまう。

その死体も車に積んで湖に突き落とした。

ゾンビの待機場ではマーシャルが2人もゾンビ役が帰ったことに不信感を募らせている。

サムらは目的地の燃料保管庫に到着。中にはすでに着いていたジェラルドらが待っていた。そこではチーズがジェラルドにドラッグを吸わせている。ジェラルドの勧めでサムも吸うことに。


するとマーシャルがストリッパーを携えてやって来た。エリックがサムのために呼んだらしい。プレイが行われている最中、ゾンビらはマーシャルの指示でスティーブともう1人のゾンビを捜索していた。

やがて湖に沈められた車が発見され、マーシャルに連絡が入る。マーシャルが誰の仕業かと考え込んでいるとエリックが激ヤバ玉と発した。
ストリッパーが帰った後、マーシャルはジェラルドを人質にとって尋問を始める。クスリの入ったサムは全てを吐いてしまった。マーシャルは警察に通報するつもりなんて無い。元軍人の仲間を呼び寄せて直接殺そうと考えている。


ジェラルドの首を絞めながら電話しようとするマーシャルにサムがナイフを投げようとする。しかし、ジェラルドはサムを信用しておらずそれを止めた。制止を聞かずにサムはナイフを投げ、見事ジェラルドの右足に命中。マーシャルはチーズが倒した。

マーシャルを捕らえた一同は、ジェラルドの指揮のもと、元軍人らと戦うことを決意する。


建物に籠城していたが、元々この作戦に乗り気じゃなかったブランドンが寝返ろうとした。彼は入り口を教えたのち、ボウガンで眼球を貫かれて死亡。


一同は建物の更に奥の部屋に逃げ込んだ。そこでアルがゾンビメイクをした軍人に手を噛まれる。噛まれたアルはもうお仕舞いだと言って敵に向かって行った。その隙に他の皆が逃げていく。
チーズはその途中栽培されたマリファナを見つけて有頂天。


トビー、エリック、マイルズは元軍人に襲われて一瞬ピンチに陥るが、不意打ちでそれらを倒す。


サムはジェラルドと共に外へ逃げるも、マーシャルに捕らえられた。マーシャルは元軍人とジェラルドのタイマン勝負を提案。ジェラルドが勝てば無罪放免。負ければサムが殺される。

ジェラルドは自身をSBS出身と言っていたがそれは嘘にすぎず圧倒的な差で敗北した。
やられそうになったとき、サムが落ちていたナイフを拾ってマーシャルを殺害。そして元軍人の喉元に噛みついて彼も殺した。


サムとジェラルドは建物から出て、仲間たちに迎えられる。

これからどうしようかと考えているとマイルズに考えが浮かんだ。

感想

騙されてはいけない。この映画は”テリトリー・オブ・ザ・デッド”なんて邦題のくせにゾンビが出てきやしない。そもそも原題は”Killer Weekend”である。配給会社は少しでもゾンビ要素があればゾンビ映画として売って良いと考えているらしい。実際に僕は釣られて鑑賞してしまったのだが。

ゾンビ映画だと思って本作を視聴した場合はあまりのひどさに落胆するだろうが、ちょいグロコメディを求めて観るなら楽しめる。

下手な”タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら”みたいな感じ。いや、敵味方のぐだぐださを考えると”グリーンルーム”に近いかも知れない。少なくともその2作が刺さる人なら本作もきっと気に入るだろう。

本作は明らかに主人公サイドが間違いを犯しているのにヘラヘラしている様子が不快に映った。加害者が被害者ぶってるのを間近で見せられているような。そういった意味でも感情移入できないし、ただ単に馬鹿を見て笑うための映画なのだと思う。ただテンポがあまり良いとは言えず、観ていて退屈になるシーンが多い。

僕は鑑賞後に予告編を観たのだが完成度の高さに驚いた。重要な要素が詰め込まれていて、無駄なシーンがなくテンポがいい。ミスリードを促すような表現もあって予告編として完璧に思えた。

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類似作

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ハロウィンにぴったり!!子供向けモンスター映画7選

10月に入り、ハロウィンが近づいてきました!

この記事では小学校低学年のお子様でも楽しめる、主に流血無し、センシティブな内容を含まない作品を紹介します!

ハロウィンに向けてと言うことでクリスマスっぽい映画は省きました

個人的に対象年齢が低いなと思った順に並んでいます

目次

1. スクービードゥー2 モンスターパニック

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アメリカで長年愛されるテレビアニメの実写映画2作目です。個性的なモンスターと分かりやすいコメディ要素はハロウィンに相応しいでしょう。

1にモンスターはあまり登場しないのでハロウィンならば2を観ることをオススメします。重要な繋がりはないので1を観ていなければ楽しめないなんて事はありません。

 

あらすじ

モンスター退治で大活躍なミステリー社の4人と1匹は、自らの功績を称えた犯罪学博物館のセレモニーに出席。

ところが会場に仮面の男とモンスターが乱入し、ミステリー社の面々はテレビの前でメンツ丸潰れ。彼らは新たに立ちふさがったミステリーにどう立ち向かうのか?

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 2. アダムス・ファミリー

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こちらも人気アニメが映画化された作品です。一家の様子や不思議な屋敷はハロウィンそのもの。

一応続編がありますが一部センシティブなシーンがあること、サマーキャンプのシーンが多くて本作の魅力であった屋敷でのシーンが少ないことからオススメはしません。

 

あらすじ

ある街の外れに一軒の巨大な屋敷が建っている。そこに住むのは一見して奇妙なアダムス一家。

実は一家の当主には兄がいたのだが、喧嘩別れしてしまい現在消息不明。しかし、ある日突然兄が帰ってくるが様子がおかしく...。

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 3. グースバンプス 呪われたハロウィーン

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本作は児童向けホラーアンソロジーを原作としています。序盤は怪しげな腹話術人形のくだりで退屈に思うかも知れませんが後半、モンスター達が現れてからのハロウィン感はピカイチです。

一応前作からの続編なのですが重大な繋がりはありませんし、本作の方がハロウィンらしいのでこちらをオススメします。

 

あらすじ

2人の少年はハロウィンの前日、廃屋で怪しげな本と腹話術人形を発見。家に持って帰ると人形は喋り出すわ、念力を使うわで2人は大興奮。ところが腹話術人形にはある企みがあって...。

 4. ホーンテッドマンション

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ディズニーランドの人気アトラクションを映画化した作品です。ディズニー制作と言うことでストーリーが面白いのは当然な上、エディ・マーフィのコミカルな演技の光る一作です。

人骨やミイラが登場しますがアトラクション以上の過激な演出は無いので安心です。

 

あらすじ

不動産業を営むジムとサラの元に「屋敷を売りたい」という電話が入った。しかし、指定された日は子供と湖に行く約束をしていた日。

夫妻は子供を連れて屋敷で打ち合わせをしてから湖に向かおうとするが、突然の大雨で足止めを食らう。当主の好意で屋敷に一晩泊めて貰うことになったのだが...。

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 5. ビートルジュース

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ティム・バートン監督初期の作品。ビートルジュースの濃いキャラクターはもちろん、脇を固めるサブキャラクターらも個性豊かで飽きない作品です。

ただ、吹き替えの関西弁が何を言っているのか分らないほど早口で、元々無かったダジャレが大量に追加されているため好みが分かれるかも知れません。字幕で観る場合は問題ないのですが。

 

あらすじ

田舎町に住む夫婦は車の事故で死亡。ところが夫妻は自分たちが死んだ事に気付かないでいた。というのも幽霊となってしまい、家にとらわれているのである。

やがて家には一家が引っ越してくるが夫婦はそれが気に入らず、追い出すために試行錯誤を繰り返した。しかし、家を出て行く気配はないので夫妻は霊界一のトラブルメーカー”ビートルジュース”に依頼した。

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 6. ゴーストバスターズ 

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観たことは無くてもタイトルとレイ・パーカー・ジュニアの歌う主題歌を知ってる人は多いのではないでしょうか。一大ブームを巻き起こしたSFコメディ映画です。

ゴーストと一口に言いますがその姿は千差万別。中でもマシュマロマンのインパクトは格別ですね。

 

あらすじ

超能力や幽霊を研究していた3人の博士は、勤め先の大学から研究費を打ち切られてしまう。

しかし、これを機に彼らは夢だったお化け退治業者”ゴーストバスターズ”を設立。始めこそ相手にされなかったが、あるホテルの幽霊を退治してからはひっきりなしに仕事が舞い込む。

そんな中、ニューヨークには絶大な力を持つ破壊神ゴーザが接近しており...。

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 7. エボリューション

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隕石に付着していたのは超高速で進化を進めるエイリアン。そんな素っ頓狂な設定のSFコメディ映画で、監督がゴーストバスターズと同じです。

容姿が恐竜の様でハロウィンらしくはないですが、子供向けモンスター作品としてオススメです。

 

あらすじ

アリゾナ砂漠の真ん中に落下した隕石には、地球上に存在しない生物のDNAが付着していた。発見者は大喜びしたが、その生物はたった1ヶ月で46億年分の進化を遂げる化け物だった。

そして恐ろしい最終形態へと姿を変えるのだが、人間に立ち向かう術はあるのだろうか?

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いかがだったでしょうか。今回はハロウィンに向けて子供向けモンスター映画を紹介しました。

また機会があればこういった記事も書いていきたいと思います。

では、良いハロウィンを!

怪物、結婚? 映画『フランケンシュタインの花嫁』ネタバレあらすじと感想

フランケンシュタインの花嫁

コメディ度:3/10

グロ度:1/10

感動:2/10

リアリティ:1/10

人に勧めやすいか:5/10

満足度:4/10

目次

作品情報

1935年製作/アメリカ/上映時間75分
原題:The Bride of Frankenstein

監督:ジェームズ・ホエール

脚本:ウィリアム・ハールバット

原作:ジョン・L・ボルダーストン、ウィリアム・ハールバット

撮影:ジョン・J・メスコール

美術:チャールズ・ホール

音楽:フランツ・ワックスマン

出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライブ、バレリー・ホブソン、エルザ・ランチェスター、エルザ・ランチェスター、アーネスト・セジガー

あらすじ

前作「フランケンシュタイン」には続きがあった。死んだと思われていた怪物は生きており、再び市内は恐怖に包まれる。さらに二度と怪物を作らないと決めたヘンリーの元にある博士が現れ...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

屋敷で会談するバイロン卿は、シェリー夫人に彼女の著作『フランケンシュタイン』を絶賛していた。夫シェリーは終わりかたがあっけないと不満を述べるが、夫人は「物語には続きがあるの」と返答して物語の続きを語り始める。


前作で燃やされた風車小屋の火が消えかけ、市長は解散を告げた。娘マリアを殺されたハンスは妻の制止を振りほどき、怪物の死を見届けるために焼け跡に入ったが地下水道に落ちてしまう。怪物はその中で生き延びていた。ハンスは頭を押さえつけられて溺死。次いでハンスの妻も怪物に投げ飛ばされて死亡した。
メイドのミニーはその場に居合わせ、屋敷に戻ると「怪物が生きていた」と叫ぶが、執事のハーミットは「見間違いだろう」と相手にしない。

 

フランケンシュタイン邸にヘンリーの遺体が運ばれる。しかし、彼は生きていた。
ヘンリーは怪物が創れたのだから不老不死も実現出来るのではと考え初めていた。エリザベスはもう研究しないでと大袈裟に怯えて見せる。
そこにプレトリアス博士が訪ねてきた。彼はヘンリーと組みたいという。プレトリアスも生命の創造に関心があり、長年研究を重ねていた。彼はヘンリーに面白いものを見せると自宅に招待。


プレトリアスは小人を作り出すのに成功していた。次は実寸大のものを創ってみたいとヘンリーに声をかけた。しかし、ヘンリーは「これは科学ではない、黒魔術だ」と拒否。するとプレトリアスは怪物の伴侶を創ろうと言い出す。ヘンリーが少し興味を持った。


怪物は森にいた。彼は自身の容姿にコンプレックスを持っており、水面に映る自分を見て苛立つ。その様子を通りすがりの女性が見て悲鳴を上げた。彼女は驚いて川に落下。怪物が助け出したが、触らないでと悲鳴を上げられる。それを聞き付けた猟師が発砲。逃げる怪物を深追いはせず、市長に報告した。

群衆が怪物を探して森に入る。すぐ市民らに捕まった怪物は、警察署の地下牢に監禁されるが鎖を引き千切って脱走した。その過程で何人か殺した。


怪物は森の中でバイオリンの音に導かれ、一軒の小屋にたどり着いた。そこに住むのは盲目の老人で、怪物を友として受け入れた。初めて自分を受け入れてくれる人間に出会い喜ぶ。老人は夕飯をご馳走し、怪物を眠りにつかせた。老人も盲目のせいで今まで孤独な生活をしており、自分と同じ境遇と分かった怪物は涙を流す。

翌日から老人は怪物に言葉を教え始めた。2人は楽しく共同生活を送る。そこに迷子になった猟師がやって来る。乱闘の末、事故で小屋は全焼。


再び荒んだ怪物は墓地の地下に逃げ込んだ。そこに犯罪者を連れたプレトリアスが現れ、少女の墓を荒らし始めた。プレトリアス1人になって怪物が話しかける。プレトリアスは彼に食べ物を恵み、君の女友達を創ってやると語った。


ヘンリーの元に再びプレトリアスが訪れる。エリザベスはヘンリーと共に村を出ようとしているところだった。ヘンリーは協力を拒んだが、プレトリアスは助手を呼ぶと言って怪物を連れてきた。怪物にやれと言われてもヘンリーは首を縦に振らない。怪物はエリザベスを誘拐した。
ヘンリーは彼女を返して貰うため実験に協力することに。
今回も雷を利用して創造が行われた。実験は成功し、怪物の花嫁が誕生。

しかし、花嫁は怪物の姿を見て悲鳴を上げる。これに絶望した怪物は塔を爆破しようとした。そこに囚われたエリザベスの声が響く。怪物はヘンリーに彼女を連れて逃げろと言い、プレトリアスには残れと言った。
そして2人が逃げ終わった頃、怪物は泣きながら塔を爆破。ヘンリーとエリザベスは崩れる塔を遠くから見つめた。

感想

原作者メアリ・シェリーの語りから話が始まったので驚いた。しかもこれ以降1回も出てこないし。

前作よりもコメディの要素が強くなった印象。そのために不要な登場人物が増えた。僕はキャンキャン喚くだけのキャラクターが嫌いなので本作のミニーは本当に駄目。いなくても話は進むしうるさいだけだった。

プレトリアスがボトルに入った小人を見せるシーンでなんかどうでも良くなっちゃた。フランケンシュタインの魅力はぎりぎりありそうなライン上にいる事だと思っていて、小人はさすがにリアリティー無いな。しかもつぎはぎとかでもなくモスラの小美人みたいな感じで世界観が崩れてる。何でもありじゃん。

創られた花嫁に怪物が拒絶されるシーンは笑えたな。こんなに引っ張ってやっぱり駄目なのかよって。そのあと絶望して塔を爆破するのもなかなか良かった。ただヘンリーとエリザベスを逃がすのは違うかなと思う。生存するのは構わないんだけど怪物に情が芽生えたみたいなのはいらなかった。

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思いの外ポップな作風 映画『フランケンシュタイン』ネタバレあらすじと感想

フランケンシュタイン

コメディ度:2/10

グロ度:1/10

感動:1/10

リアリティ:2/10

人に勧めやすいか:8/10

満足度:6/10

目次

作品情報

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1931年製作/アメリカ/上映時間70分
原題:Frankenstein

監督:ジェームズ・ホエール

脚色:ギャレット・フォート、フランシス・エドワーズ・ファラゴー

原作:メアリー・シェリー

撮影:アーサー・エディソン

美術:ダニー・ホール

出演:コリン・クライブ、メエ・クラーク、ジョン・ボールズ、フレデリック・カー、エドワード・バン・スローン、ボリス・カーロフ、ポーリン・ムーア、ドワイト・フライ

あらすじ

科学者ヘンリーは助手フリッツと死体を集め、蘇らせる研究に没頭していた。ある日実験は成功。しかし、生み出された怪物は彼の手に負えるものではなかった。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

墓場で葬儀が行われ、棺が埋められた。その様子を2人の男ヘンリーとフリッツが見ている。墓守が居なくなるとすぐに2人は掘り起こした。帰り道に首吊り死体を見つけ、これも持って帰る。しかし首が折れており脳は使えそうにない。


後日、大学で健常者の脳と犯罪者の脳を見比べる講義が行われた。フリッツは講義が終わると講義室に侵入し、脳のサンプルを盗み出す。健常者の脳を盗もうとしたが落として割ってしまい、仕方がなく犯罪者のものを盗み出した。


ヘンリーの友人ヴィクターがエリザベスの屋敷を訪れた。彼女の家にヘンリーから手紙が4ヶ月ぶりに届いたという。内容は「信じてくれ、エリザベス。君より大事な仕事がある。夜は風が山に吹き、ここには誰もいない。秘密を守らなければ...。ゴルドスタッド近くの見張り塔にいる。私と助手の2人だけだ」とのこと。ヘンリーはエリザベスの婚約相手だったが、式の前日に重大な発見をしたと言ってどこかに消えていた。ヴィクターも彼が研究に専念していたことは知っていたが、何をしているのかは教えてもらえなかった。ヴィクターは医学部のワルドマン博士なら何か知っているのではと相談することを勧める。


ヴィクターとエリザベスは早速博士の元を訪れた。ヘンリーは生命の創出に没頭して大学を辞めたという。彼の野望は死者蘇生だった。エリザベスの頼みで博士も同行し、ヘンリーの元を目指すことに。


嵐の夜ヘンリーとフリッツは運び出した死体、脳を使い実験を行っている。ワイルドマン、エリザベス、ヴィクターがやって来た。雨宿りをさせてくれという彼らを迎え入れる。ヘンリーは3人を椅子に座らせ、実験の概要を説明した。ワイルドマンは出来っこないと否定する。やがて雷が強くなり好機と感じたヘンリーは装置を起動。死体は実際に動き出した。


後日ヘンリーの父親にヴィクターとエリザベスが説明を行った。父親はヘンリーが浮気をしていると考えており、2人は否定したが納得しなかった。市長が訪ねて結婚式の日程を聞く。父親はヘンリーを連れ戻しに向かった。


ワイルドマンはヘンリーに怪物を閉じ込めろと言う。博士は使われた脳が殺人者のものだと知っていたから。だがヘンリーは自惚れており聞く耳を持たない。
2人の話す部屋に怪物がやって来た。怪物はヘンリーの歩け、座れの命令を聞く。フリッツが松明を持って近づくと怪物が暴れだした。ヘンリーは鎖で繋ぐと独房に投獄。
独房に入った怪物をフリッツは面白がって松明で虐めた。すると怪物は彼を殺してしまう。それを見たヘンリーはワイルドマンと協力し、怪物を倒すことに。ヘンリーが囮となっているうちにワイルドマンが鎮静剤を注射した。
そこに父親とヴィクター、エリザベスがやって来た。ヘンリーは気疲れで倒れてしまう。怪物を産み出してしまったこと、フリッツを死なせてしまったことを後悔していた。ワイルドマンは怪物の処分は私に任せろと言い、ヘンリーを家に帰らせた。


ワイルドマンが怪物を殺そうとすると薬の効果が切れ、彼は起き上がった。そしてワイルドマンを殺すと塔から逃げ出す。


ヘンリーとエリザベスは結婚式を開いた。父親フランケンシュタイン男爵は相当な権力者で市中がお祭り騒ぎ。屋敷に市民が押し掛ける。


そのころ怪物は郊外の一軒家に住むマリアという少女に出会った。彼女は臆さずに怪物に話しかけ、2人は一緒に花を池に浮かせて遊ぶ。すると怪物はおもむろに少女を持ち上げ、池に投げ込んでしまった。


パーティーの最中、エリザベスはヘンリーを呼び出して不安を打ち明けた。ワイルドマン博士が来ていないこともあり、直感的に危険が迫っていることを察していた。
2人の話す部屋に焦った様子でヴィクターがやって来た。ワイルドマン博士の死体が見つかったうえ、山間部で怪物が見られたという。エリザベスを部屋に閉じ込め、ヴィクターとヘンリーは怪物の捜索に向かう。

するとすぐにエリザベスのいる部屋から悲鳴が聞こえた。幸いエリザベスは無事だったが、怪物の存在にひどく恐怖していた。


郊外の一軒家に住む男が娘マリアの亡骸を抱いて屋敷に向かった。それに触発され鬱憤の溜まった市民が押し寄せる。
ヘンリーはエリザベスをヴィクターに任せ、捜索に乗り出す。集まった市民らは殺人鬼を見つけて殺そうと意気揚々。
ヘンリーは怪物が犯人と知っていたが何も告げずに市民を率いる。

怪物は山の岩場にいた。ヘンリーは1人はぐれて怪物と対峙。気絶させられた彼は怪物に風車小屋へと運び込まれる。気づいた市民らが追いかけるが小屋の入り口が開かない。目を覚ましたヘンリーは怪物との揉み合いの末、高所から落下。市民は彼を屋敷に運び、風車小屋に火を点ける。怪物は逃げ出せず小屋は全焼。


ヘンリーは屋敷で寝かされ、療養を受けている。

感想

メアリー・シェリーの原作と大分違った。まあそれは外観から大きく異なるから分っていたことなのだが。

原作からフランケンシュタイン博士の蘇生という設定だけを借りた別物と思った方がいい。上映時間も短いので原作通りにはいかなかったのだろう。怪物が言葉を発さずまんま怪物なので必然的に内容は薄いが、エンタメ作品として楽しめる。

なにより造形が素晴らしい。現在多くの人がフランケンシュタインと聞いて思い浮かべるのは本作の背が高く、デコが広くてボルトの刺さったものだと思う。実際はフランケンシュタインとは博士の名前でモンスターの方に名前は無く、怪物などと言われているのだが。

因みにロッテン・トマトの評価は100%。

フランケンシュタイン(字幕版)
 
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