映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

歪んだ愛とゾンビと 映画『雨あがりの君 Rain For The Dead』ネタバレあらすじと感想

雨あがりの君 Rain For The Dead

コメディ度:1/10

グロ度:3/10

感動:1/10

リアリティ:5/10

人に勧めやすいか:3/10

満足度:4/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2014年製作/日本/上映時間70分

監督・撮影・脚本:ビショップ小山

原作・製作総指揮:氏賀Y太

助監督:甲斐藤雄

音楽:北村歩

コンセプトデザイン・特殊メイク:ゼライ直井

出演:足立昌弥、小野まりえ、近松仁、高塚玄、ラビオリ土屋

あらすじ

死者の徘徊する街で、1人生き残った洋二郎。やがて彼は雨が自分の臭いをかき消し、ゾンビに襲われなくなることに気付く。

洋二郎にはかつて恋人がいた。彼はゾンビと化した恋人を諦めきれず、自室で監禁している...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

ニット帽を被った男が人気の無いコンビニに足を踏み入れる。外はどしゃ降りで雨音が絶えず続く。明かりもなく、物の散乱する店内で男は乾電池を手に入れた。店の奥で2人の少女が1人の遺体を貪っている。男は用事を済ませて外へ出た。

 

街は荒廃しており、至るところに死体が転がっている。そして何体ものゾンビが闊歩していた。男はその間を何事も無いかのように通り抜け、アパートの自室へと到着した。

家には1体のゾンビが鎖に繋がれていた。男はそのゾンビを真美と呼び、外から調達してきた臓物を皿に出して与えた。

 

男は昔のことを思い出した。彼の名前は洋二郎。真美とは恋人関係にあった。ある日2人は買い物がてら公園で昼食をとっていた。アパートに帰ると隣人のトメダがおり、2人は茶化された。

 

いつの間にか寝てしまっていた洋二郎が目を覚ます。傘をさし、バット片手に外へ出た。部屋の外にはゾンビと化したトメダがいる。

雨の日にはゾンビが襲いかかって来ない。降りしきる雨が生者の匂いをかき消すからだ。これは食料の尽きた洋二郎が仕方なく外出した際に発見したことである。他にもゾンビは死肉も食うが、新鮮なものの方が好みであること。生前の習慣に従って行動することが分かっている。ゾンビの弱点は頭であり、潰すことで倒せるがコツがいる。

洋二郎はある一軒家へと入っていった。リビングでは血だらけのアイロンの傍ら、頭の割れた老人が伏している。それを一瞥すると2階に上り、写真の入ったオルゴールと真美の服を持って帰宅した。アパートに着いた彼はゾンビとなった真美を着替えさせ、皿に盛った臓物を差し出す。

 

洋二郎は昔のことを思い出した。真美の誕生日にレストランでディナーをとった。真美はお返しに洋二郎の誕生日には自分が料理を振る舞うと約束したが、それが成されることはなかった。

ある日、夜道を歩いていた洋二郎はトメダと出くわした。軽く挨拶を済ませて別れると、トメダが女性のゾンビに襲われた。洋二郎が助けに入ったが、首筋を噛まれた後だった。あれは何だったんだと話していると何台ものパトカーが横を通り過ぎて行く。後日トメダの様子が徐々におかしくなっていった。

別の日、真美が凄い形相で部屋に上がり込んできた。感染の疑いがある父親に噛まれてしまったという。

 

洋二郎は真美の家から持ち帰ってきたオルゴールを彼女に聞かせるが反応はない。

 

噛まれて衰弱した真美を洋二郎は必死に看病した。彼女は彼に、私がゾンビになったら一思いに殺してくれといった旨の話をした。

日が進み真美の容態はますます悪化。肌にはできものが現れ、口からは血を吐き出す。洋二郎は危険を察知し、自室に監禁できる空間を作り上げた。手足を縛り、首輪を着けて壁に設置した金具に繋ぐ。

 

洋二郎は幻覚を見た。オルゴールを持ってきたことで昔の真美を怒らせてしまう。彼は飛び起きて外に出た。ところが外に待ち構えていたトメダに襲われ、手を噛まれてしまう。洋二郎は急いで部屋に戻り手を切断しようと考えたが、嫌気がさした彼は真美に食われることにした。洋二郎は「ごめんな、もっと早くこうすれば良かった」と言い残して絶命。

 

部屋が明るくなり、真美がデートの迎えに来た。2人は手を繋いで外へと出掛ける。それはゾンビと化した洋二郎の見る世界だった。

彼は真美の物と見られる千切れた手首を持って、フラフラと街を歩いている。

感想

猟奇漫画家、氏賀Y太先生の初となる実写映画。僕は本作品の原作を読んでいないので映画のみの感想を綴っていく。

予告やタイトルからも想像していたとおり、主たる要素は恋愛だった。崩壊した世界で暮らす洋二郎のパートよりも、ゾンビになる前のカップルを描くパートの方が長い。正直回想に移る度に退屈で仕方なかった。カップルの会話は面白みがない上に不自然で、応援したくなる2人ではない。ゆえにゾンビと化した真美を部屋に監禁する流れも違和感がある。

洋二郎が雨の日に街を歩くシーンはとても良かった。本作はゾンビや死体のメイクが凝っていて強いこだわりが感じられる。ただそういったシーンはとても短い。頭の潰れたゾンビ、ポールの刺さった死体は10秒と画面に映らなかった。

逆に比較的長時間映っていたゾンビ化した真美の出来は微妙だったように思える。一応ヒロインという位置づけだから小綺麗なのかも知れないが、もっと汚くあって欲しい。

出てくるゾンビは”アイアムアヒーロー”のモノと同じく生前と同じ動きをする。そして最後明らかになるのだが、本人はゾンビになったことを分っていない。これもアイアムアヒーローと類似していた。異なる点は生者の臭いが雨でかき消されるということ。安全な時間帯があるという設定は新しいし面白いと思う。ただ緊張感は無くなるけれども。現に作中でゾンビに襲われるシーンは極めて少ない。

 

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パッケージを見て分るようにゾンビメイクはリアリティがある。このおじさんは作中で特に重要人物でも何でも無い。

 

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ポストカード3枚入り。原作イラストのカードには乳首が映っていたので隠しました。真美の顔が作中と印象大分違う。

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