映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

ゾンビの弱点は頭 映画『吸血ゾンビ』ネタバレあらすじと感想

吸血ゾンビ

コメディ度:1/10

グロ度:1/10

感動:1/10

リアリティ:3/10

人に勧めやすいか:4/10

満足度:4/10

目次

作品情報

www.youtube.com

1965年製作/イギリス/上映時間90分
原題:The Plague of the Zombies

監督:ジョン・ギリング

脚本:ピーター・ブライアン

製作:アンソニー・ネルソン・キーズ

撮影:アーサー・グラント

音楽:ジェームズ・バーナード

美術:バーナード・ロビンソン

編集:クリス・バーンズ

出演:アンドレ・モレル、ダイアン・クレア、ブルック・ウィリアムズ、ジャクリーン・ピアース、ジョン・カーソン、アレックス・デイヴィオン

あらすじ

イギリスの片田舎コーンウォールで謎の疫病が発生。村の医師ピーターは恩師ジェームズに助けを求めた。ジェームズは快諾し娘を連れて調査を行う。解剖のため墓を掘り起こすと中身は空っぽ。どうやらただの疫病ではないらしい...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

洞窟で儀式が行われている。半裸の男性らが太鼓を叩いていると白装束を着た教祖らしき人物が現れた。彼は女性を型どった人形を手に持ち呪文を唱える。それに呼応するかのようにどこかで眠っていた女性が飛び起きた。右腕からは血が流れている。

 

ある屋敷に手紙が届いた。娘シルヴィアが父ジェームズの元に手紙を届ける。ジェームズは医大で教授をしている。内容は教え子ピーターからのもので、コーンウォールという村で謎の疫病が流行っているから助けて欲しいとのことだった。ジェームズは行くのを渋ったが、その村には娘の友人アリスが住んでおり、シルヴィアが行きたいというので向かうこととなった。

 

村に向かう馬車の途中、若者たちが狩りでキツネを追っていた。シルヴィアはその行為を残酷に思い、キツネを探す彼らに嘘の方向を教える。

村に着くと葬式が執り行われていた。そこに先ほどの若者らが馬に乗って現れ、棺桶をひっくり返す。リーダー格の男はシルヴィアに嘘をつかれ怒っていた。彼らが去ると棺桶に入っていた男の弟であるマーティナスも2人に突っかかる。

 

ジェームズとシルヴィアはピーターの診療所に到着。アリスはピーターの妻である。ジェームズはアリスの腕に包帯が巻かれていることに気が付いた。傷を見せるように言うと彼女は拒絶。
家の中は散らかっており、穏やかでない様子。ジェームズはアリスの相手をシルヴィアに任せ、村の様子を視察しに出た。

 

酒場でピーターがマーティナスを筆頭に村人らから詰められていた。「今月に入り12人が謎の病により病死した。医者ならどうにかしろ」と無責任な言葉を掛けられる。ピーターはそれに対し、解剖をさせないからだと反論した。喧嘩が始まりそうになったとき、ジェームズが止めに入る。彼は言葉巧みに村人からピーターを連れ出した。

ピーターはジェームズが来てくれたことを喜んだ。ディナーの後、ピーターとジェームズは疫病について話した。ジェームズは解剖を行っていないと聞いて驚く。話によるとこの村には検死官すらいないらしい。地主のハミルトンが全てを牛耳っているとのことだった。

 

アリスがシルヴィアにハミルトンの話をする。彼女はハミルトンをべた褒めしており、シルヴィアに是非会うといいわと勧めた。シルヴィアはその言葉を不審に思う。

 

ジェームズは遺体に触れるのはハミルトンの許可がいると聞かされたので、無断で行うことにした。

 

シルヴィアが寝仕度をしていると窓の外にフラフラと歩くアリスの姿を見つけた。後を尾けると森の近くの古い採掘場に到着。彼女の姿はなく、探していると馬に乗った若者たちがやってきた。彼らはシルヴィアを拉致すると屋敷に連れ込む。強姦する順番を決め、行動に移そうとするとハミルトンが現れた。若者たちはハミルトンの友人だった。ハミルトンは若者を殴りつけ、シルヴィアを開放。シルヴィアが警察に言うわと脅すと、それは困ると口止めを頼んだ。シルヴィアが屋敷から去った後、ハミルトンは若者を呼びつけて儀式を始めようとする。

 

ハミルトン邸からの帰り道、シルヴィアは異変を感じて採掘場に近づいた。すると建物の屋根に皮膚がただれ、白目を剥いた男がアリスを抱いて現れる。男はアリスを放り投げた。シルヴィアはアリスに駆け寄ったが流血しており、とても助かりそうにない。再び屋根の方を見上げると男の姿はなかった。

 

ジェームズとピーターが墓を掘り起こしていると警察に見つかった。警察は死体窃盗罪だと言って2人を咎める。一か八かジェームズが棺桶を開いた。すると中に死体などなく、棺桶は空っぽだった。これには警察も驚き、調査に協力してくれるように。実は巡査の息子も謎の疫病で亡くなっていた。ピーターと警察で墓を埋め直し、ジェームズは先に帰ることとなった。
家に帰る途中、シルヴィアが気絶するのを見て介抱。

 

翌朝、ジェームズはアリスが死んだとピーターに伝えた。
巡査を呼んで死体の元に向かう。アリスの遺体の側には酔っ払ったマーティナスが寝ていた。

アリスの遺体を森から持ち帰るとジェームズは解剖を執り行った。遺体は不思議なことに死後硬直していない。さらに口から垂れる血液を調べていると人間のそれと異なっていた。

 

マーティナスが警察から取り調べを受ける。彼は死んだはずの兄を見たと証言。巡査はジェームズを呼びマーティナスと面会させた。ジェームズは彼の話を信じる。

 

警察署から帰宅したジェームズはシルヴィアに何があったのか再び尋ねる。彼が動く死人を見たのかと聞くとようやく口を割った。死人を見たのは古い採掘場だと。しかし、アリスの遺体が発見されたのは森の中である。

 

ジェームズはピーターと巡査を連れ、採掘場へと向かった。そこはスズを掘っていたが大量の死者が出たため、先代の地主により封鎖されたという。ハミルトンはそのとき海外におり、帰国してからは友人らに金をばらまいているとのこと。

 

シルヴィアが一人残された家にハミルトンがやって来た。アリスの死を弔いたいという。ハミルトンは差し出されたグラスを落として割った。シルヴィアが拾おうとして指を怪我する。ハミルトンは指の治療をするフリをし、血液を小瓶に入れて持ち帰った。

シルヴィアはアリスの腕にあった傷を思いだし、もしかしたらと考える。

 

後日、アリスの葬式が執り行われた。ハミルトン邸では儀式が開かれている。ハミルトンが人形にシルヴィアの血液を垂らすと彼女は体調を崩してしまった。怪我した指から血が垂れる。

 

ジェームズは牧師から魔術にまつわる書籍を借り、ブードゥーに行き着いた。ピーターに生き返った死体の正体はゾンビだと説明する。またジェームズはアリスもゾンビにされてしまうのではと考え、牧師と共に墓を見張ることにした。ジェームズはピーターに最悪の結果を見せたくないと言ったが、彼も見張ることに。

 

ジェームズが見張りの交代で牧師と代わる。牧師が去っていった方から悲鳴が聞こえた。牧師は仮面を着けた白装束の男に襲われたのだった。ジェームズとピーターは駆けつけて介抱すると、これは罠に違いないと急いで墓へ戻った。
墓は何者かによって掘られており、棺桶が開かれていた。そこに眠るアリスが目を覚ます。上体を起こすと2人にジリジリと歩み寄ってきた。ジェームズは足元にあったスコップを拾い、アリスの頭に振り下ろす。アリスの頭は胴体と切り離され、動かなくなった。

安心する間もなく、墓地から他の死体が這い出てくる。ピーターはゾンビに囲まれた。その伸びた手が触れた瞬間、ピーターは夢から目覚めた。


悲鳴を聞いてジェームズと神父がやって来る。どうやら彼はアリスのゾンビを見て気絶したらしい。アリスの死体は埋め直したと2人に聞かされた。

 

翌日、墓地の墓を全て掘り起こすと棺桶の中身は全部空だった。ジェームズは巡査に頼みマーティナスとの面会に向かう。ところが牢の中に彼の姿はなかった。来客は昨日きたハミルトンだけだという。会話の内容は分からないが、ハミルトンがグラスを割り、マーティナスが指に怪我をしたとのことだった。

ジェームズはシルヴィアの指にも怪我があったことを思いだす。帰宅した彼はピーターにシルヴィアの見張りを頼んだ。

 

ジェームズはハミルトン邸へと赴いた。呼び鈴を鳴らすとハミルトンの友人が出る。彼にハミルトンを呼びに行かせている間、ジェームズは窓の鍵を開けた。
ハミルトンに対し、死体の話を持ちかける。ブードゥーの呪術について触れると隠れていた若者たちがぞろぞろと現れ、ジェームズに威嚇した。ジェームズは大人しく帰る。

 

屋敷が暗くなり、玄関に誰も居なくなったことを確認してジェームズは先ほど開けた窓から屋敷に侵入。

 

採掘場の地下ではゾンビらが若者に鞭を打たれ、スズの採掘を行っている。その横でハミルトンは人形を手に持ち儀式を始めた。彼が人形に対し呪文を唱えるとシルヴィアも同じ言葉を発する。そして、”来い”と命令するとシルヴィアは家の外に歩きだした。

 

ジェームズは書斎の引き出しで儀式に使われる人形を発見。

 

シルヴィアが古い採掘場に到着。1体のゾンビが待ち構えていた。

 

ジェームズは人形を鞄に詰めて逃げようとした。ところが若者の1人がそれに気付き、襲いかかる。揉み合いの末、ジェームズが勝利するも若者の衣服に暖炉の火が移って火事となった。部屋は外から鍵がかけられ、逃げることが出来ない。すると火事に気づいた使用人が様子を見にきた。ジェームズは彼を脅し、ハミルトンが採掘場にいることを知る。

 

シルヴィアはゾンビに抱かれて地下室に連れられた。台の上にのせられナイフを突き立てられる。そこに彼女を追っていたピーターが乱入。さらにジェームズが人形を燃やしたことにより、ゾンビらの体からも炎が上がった。これをきっかけにゾンビが謀反を起こし、ハミルトンらに襲いかかる。
ピーターがシルヴィアを連れてエレベーターに向かうとタイミングよくジェームズが乗って降りてきた。3人はそのままエレベーターで脱出。
採掘場からは火柱が上がる。

感想

イギリス初のゾンビ映画。多分明確にゾンビを倒すシーンが映されたのは本作が初だと思う。ここからゾンビの弱点は頭という共通認識が生まれた。

邦題は「吸血ゾンビ」なのだが食人シーンは一切無い。原題は「The Plague of the Zombies」で、直訳するとゾンビの疫病。なぜこんな邦題になったのかは分らないが推測するに、当時日本で馴染みのなかったゾンビでは売れないと考え、同製作会社(ハマー・フィルム・プロダクション)のヒット作「吸血鬼ドラキュラ」をもじったのではないかと思われる。

本作のゾンビはブードゥーの儀式で誕生し、基本的に術者が操作する。ゾンビを作るには相手の血液を入手し、儀式を行って人形にそれを垂らす。何度か繰り返し、操れるようになったら殺害。しばらくするとゾンビとなって蘇る。作中にゾンビパウダーは登場せず、ゾンビの作成難度が高く思えた。

儀式だったりゾンビの設定・演出は素晴らしいのだが、ゾンビマスターであるハミルトンに魅力が無い。友人らとの関係性もよく分らないし、女性のゾンビを作る理由が明かされなかった。アリスやシルヴィアに恋心を抱いているとは思えない。彼がゾンビを作るのはスズの採掘をさせるためであり、女性よりも男性の方が向いているはずだ。現に採掘場に女性のゾンビは居ない。あとゾンビにする対象との繋がりも明らかにされていない。今までのゾンビ映画なら敵対する人間をゾンビに変えて支配下に置いたり、手の届かない女性をゾンビ化して身近に置いたりと人間らしい面があったのだが、ハミルトンにそういった属性はなかった。なんだか薄っぺらい人間に感じる。

逆にジェームズのキャラクターは魅力的だった。言動・容姿共に老紳士といった印象で有能っぽさがあふれ出ている。ジェームズはかなり強引に疫病の正体はゾンビであると決めつけるのだが、彼が言うならそうなのだろうと納得してしまう。脚本の出来の悪い部分を上手く隠している人物だった。

今観るとさすがに古く感じるし、展開が悠長で退屈に思う。ただ当時はこの作品が先進的だったと思うと感慨深い。

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