映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

映画をより楽しむための「初心者向けドラッグ講座」

映画をより楽しむための「初心者向けドラッグ講座」

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映画を観ていて、とくに洋画だとドラッグを使用するシーンがたびたび現れますよね。その度に私たちは置いてけぼりにされたような疎外感を味わいます。「アッパーとかダウナーって何だよ」、「ナニを鼻から吸ってナニを注射で打ってんねん」と。

この記事ではそうした疎外感から脱するための最低限な知識を提供します。

※本記事を書くにあたって様々な書籍、サイトを参考にしました。私の実体験ではないので悪しからず。

目次

用語の解説

アッパー/ダウナー

言葉の通り使用したことによって興奮するのか、抑制されるのかを指しています。分類の1種なのですが、これらに属さないものとして幻覚剤があります。

例)

アッパー:覚醒剤、コカイン、エクスタシー(MDMA)

ダウナー:ヘロイン、チャイナ・ホワイト、アルコール、睡眠薬

アッパーかつダウナー:マリファナ、ハシシ

幻覚剤:LSD、メスカリン、マジック・マッシュルーム、ケタミン

 

ハード/ソフト

心身に対する障害の重さによる曖昧な分類です。主にマリファナ、ハシシだけがソフト・ドラッグと呼ばれています。

 

ナチュラル/ケミカル

マリファナやガマの油など自然界にある状態のものをナチュラルと呼びます。それに対して化学処理をしたもの、化学合成したものをケミカルと呼びます。

 

OD(オーバードース)

医薬品の過剰摂取のことを指します。自殺のイメージが強いですが、ものによっては多幸感が得られたり、幻覚作用をもたらすこともあります。また麻薬を過剰摂取することもODといいます。

 

プッシャー/ドラッグディーラー

両方とも麻薬密売人を意味しますが作品内で明確に呼び分けられていた場合は、異なる役割を持っています。このときプッシャーはドラッグを広める役割を持っており、新規開拓を試みます。そして新しく顧客になった相手にドラッグディーラーが薬物を売るのです。

 

主な使用方法

経口投与

直接口に含むのはもちろんのこと、ジュースに混ぜたり調理したりと使用するドラッグによって様々な意味を持ちます。

経口投与でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン、エクスタシー、マリファナ、ハシシ、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、睡眠薬、LSD、メスカリン、マジック・マッシュルーム、ケタミン

 

喫煙

こちらも様々な吸い方があり、煙を発生させる方法のことを大きく喫煙と呼びます。アルミホイルに乗せて炙るといった簡易的なものからタバコ状にしたり、グラビティボングを使用したりと多岐に渡ります。

喫煙でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン※、マリファナ、ハシシ、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

※通常コカインは喫煙しませんが、コカインの純度を上げたドラッグである“クラック”は一般的に喫煙によって摂取されます。

 

スニッフィング

粉末の鼻孔吸入を指します。ドラッグの使い方と言われて多くの人がイメージするのはこれではないでしょうか。

まず結晶を細かく砕き、粉末状にします。それを一列に並べ、ストローや丸めた紙幣で鼻から吸い込みます。

スニッフィングでキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン※、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

 ※クラックはスニッフィングしません

静脈注射

二の腕を縛ったら静脈に針を打ち込みます。その後注射器内に少し血を吸い込むのですが、この行為を“Frag”または“Resistor”といいます。これは血管に刺したことを確認するほかに、最後までブツを使い切る意味があります。

静脈注射でキマる主なドラッグ:覚醒剤、コカイン、ヘロイン、チャイナ・ホワイト、ケタミン

 

映像作品に頻出するドラッグの詳細

覚醒剤

【成分】メタンフェタミン、アンフェタミン他

【使用法】結晶を水に溶かして静脈注射、加熱して煙を吸う、粉末にしてスニッフィング、液体の溶かして飲む、粘膜への塗布

【作用】疲れや不安が無くなって陽気になる。皮膚感覚が鋭敏に。考え事が出来なくなるが、単純作業が楽しくなる。

【副作用】眠れなくなり、動き回る。効果が切れると強い脱力感に襲われる。連用すると猜疑心、攻撃性が増して錯乱状態に陥る。食欲減退。

作品例:ブレイキング・バッド ブルーレイBOX 全巻セット復刻版 [Blu-ray]

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コカイン

【成分】コカイン(コカイン塩酸塩)

【使用法】粉末にしてスニッフィング、水で溶いて静脈注射、クラックの場合はパイプで喫煙、粉末を歯茎に塗り込む

【作用】覚醒剤に似ているがこちらの方が陽気に。集中力が著しく低下する。作用時間が30分以内と短い。

【副作用】鼻血。効果が切れると気落ちする。進行すると幻覚や掻痒感が生じ、さらに進むと精神分裂的症状を発現。効き目が短いので反復使用に陥りやすく、短期間で心身が壊れる。

作品例:スカーフェイス 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray]

ウルフ・オブ・ウォールストリート [Blu-ray]

 

エクスタシー

【成分】MDMA(メチレンダイオキシン・メタンフェタミン)

【使用法】一粒1g程の錠剤を経口投与。耐性を生じやすいのでインターバルをとる必要がある。服用前には胃を空にしておく。

【作用】服用から40分ほどで胸に熱い感触がこみ上げ、その後2~4時間の間、多幸感と愛に満たされる。

【副作用】筋肉の緊張、あごの震え。吐き気、嘔吐、目の乾燥、食事の困難など。深刻な副作用は分っていない。

作品例:LORO 欲望のイタリア [DVD]

 

マリファナ/ハシシ

【成分】THC(テトラヒドロカンナビノール)

【使用法】大麻を乾燥させたのがマリファナ、樹脂を練り固めたのがハシシ。どちらも喫煙が主だが、バターでTHCを抽出することにより料理に使用できる。

【作用】内面には気分の高揚、活動欲求の向上が起こるが、身体が重くなり眠気が誘発される。そのためアッパーともダウナーとも言い難い。食欲増進、味覚、嗅覚、皮膚感覚の鋭敏化。穏やかな幻覚、幻聴。

【副作用】目の充血、心拍数上昇、悪寒、嘔吐、判断能力の低下。心身に与える害は少ないが、喫煙の際に発がん物質であるタールが発生する。

作品例:テッド

スモーキング・ハイ [Blu-ray]

 

ヘロイン

【成分】ヘロイン(塩酸ジアセチルモルヒネ)

【使用法】静脈注射、スニッフィング、タバコや大麻にまぶしての喫煙、経口投与。またコカインや覚醒剤との同時摂取をスピードボールという。

【作用】全身が心地よく弛緩。精神のマイナス要素が全て消え去り、安堵と静寂に満ちた究極の多幸感が得られる。

【副作用】食欲減退、嘔吐、便秘、皮膚のかゆみ、痛覚の鈍化、他多数。多量の摂取で鼻血が出ることも。連用に伴って有効量が急激に増える。禁断症状は重い風邪の症状に酷似しており、発熱、悪寒、鼻水、全身の激痛に苦しむ(映画トレインスポッティングに詳細なシーンあり)。

作品例:トレインスポッティング [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

 

LSD

【成分】LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)

【使用法】4~10mm四方の紙片や極小錠剤(マイクロ・ドット)を経口投与。舌下に挟んでおくと粘膜から吸収されるので効きが早くなる。効果は1時間で現れ、薬理学的には効果消失まで8~12時間を要す。LSDは酸素と光によって分解され、効果を失ってしまう。そのためラップとアルミホイルで密閉し、冷蔵庫にしまっておくのがベター。

【作用】主な症状は幻覚、聴覚や皮膚感覚の鋭敏化、超越意識の発現。生理学的には興奮剤にあたるため、それらの症状も呈する。

【副作用】不眠、動揺、興奮、発汗など。粗悪品や高濃度なものにあたると錯乱や昏睡となる。しかし、副作用は無いに等しいというのが定説である。

作品例:CLIMAX クライマックス Blu-ray 通常版

 

マジック・マッシュルーム

【成分】シロシビン、シロシン

【使用法】マジック・マッシュルームを調理して食す。乾燥したものをそのまま食べることも。成分をアルコールで抽出する手法もとられる。

【作用】4~6時間にわたり色彩豊かな幻覚を生じる。夢と現実世界を繰り返し往復する感覚で、気持ちが高ぶる。

【副作用】吐き気、虚脱感、幻聴、口の渇き、発汗、興奮、不眠など。錯乱に陥る事もあるが直接命に関わることはない。

作品例:カリスマ [DVD]

 

応用編:ドラッグで紐解くパルプ・フィクション

クエンティン・タランティーノ監督の名作”パルプ・フィクション”にはドラッグにまつわるシーンが多く登場します。そしてドラッグに馴染みの無い人にとって本作はやや難解です。ここまでの解説でドラッグについて知り、再度本作を鑑賞するとより楽しめると思います。

パルプ・フィクション [DVD]

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  • 発売日: 2012/02/08
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※以下ネタバレ注意

 

パンプキンとハニー・バニーがレストランで強盗を行うシーンから切り替わって、ビンセントとジュールスが乗る車内の様子が映されます。ここで早速ビンセントがアムステルダムのマリファナ・バーについて話し始めました。

アムステルダムはオランダの首都で、現在でもソフトドラッグの使用が黙認されています。ただし合法ではありません。ハードドラッグが裏で流行るよりかは比較的安全なソフトドラッグを黙認するという苦肉の政策です。アムステルダムでは認可されたコーヒーショップからソフトドラッグを購入することが可能です。

 

ビンセントはドラッグディーラーのランスからヘロインを購入しました。この際、ランスは小分けにしたヘロインを入れる風船を切らしており、ビンセントに袋で良いかと許可を取りました。

コカインとヘロインは見た目が似ているので、誤用を防ぐためにヘロインは通常風船に詰めて渡されます(Heroin Baloon)。つまりこのシーンではコカインの袋にヘロインが詰められて渡されたのです。

ヘロインを受け取ったビンセントがその場で静脈注射を行います。このとき注射器に血液が入り込みますが、これが先述したFragというものです。

 

ビンセントがミアを訪ねて屋敷に入ったとき、彼女は結晶をクレカで砕いてスニッフィングしていました。ヘロインの常用者であることが明かされているビンセントに対し、ミアが何を嗜んでいるのかは明言されません。しかし、後の展開からコカインであることが明らかになります。

 

ミアとビンセントはディナーに向かいます。そこのトイレで再びスニッフィングを行ったミアは見るからに陽気になりました。これはコカインの特徴的な作用です。そしてこの後のツイストコンテストでは、2人で対照的な踊りを披露します。ミアが激しい動きをし、ビンセントがおとなしく踊っていることからコカインとヘロインを表しているという説もありますが、あのダンスシーンは即興とのことなので真偽は分りません。

 

屋敷に帰ったビンセントはトイレに入りました。その際に彼の上着を羽織っていたミアは、ポケットからコカインの袋を見つけます。まさかヘロインが入っているなんて思わない彼女は、コカインの感覚でスニッフィングします。その結果ODしてしまい、鼻血を流して嘔吐、気絶しました。

ドラッグの知識無しで観ると突然ミアが倒れたようにしか見えませんよね。実は冒頭からいくつかの伏線が張られていたのです。

本作に限らず、ドラッグの知識は様々な映画の理解を深めます。この記事があなたの役に立てば幸いです。

 

 

 

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