映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

女性を監視するだけの簡単なおしごと 映画『監視者 のぞき穴』ネタバレあらすじと感想

監視者 のぞき穴

コメディ度:1/10

グロ度:1/10

感動:1/10

リアリティ:5/10

人に勧めやすいか:3/10

満足度:7/10

目次

作品情報

www.youtube.com

2015年製作/オーストラリア/上映時間86分

原題:Observance

監督:ジョセフ・シムズ=デネット

脚本:ジョセフ・シムズ=デネット、ジョシュ・ザミット

撮影:ロドリゴ・ビダル・ドーソン

音楽:エイドリアン・セルゴビッチ、ハイドン・ウォーカー

編集:チャールズ・アイボリー

出演:ステファニー・キング、リンゼイ・ファリス、クリスチャン・ウィリス、ベネディクト・ハーディ、トム・オサリバン

あらすじ

パーカーは雇われて一人の女性を監視していた。監視を続けて1日に1回電話で様子を伝えるだけで大金が貰える割の良い仕事だったが、徐々にその様子はおかしくなっていく。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

モノクロで海に面した岩場の様子が映される。崖の様に切り立った岩場には裸足の足が。

男パーカーが女性をストーキングしている。彼女が家に帰るとパーカーは電話線を弄って盗聴を開始。そして彼は指示された通り128オーバールック通りの一室に潜伏を始めた。

1日目。パーカーは窓から向かいの建物に住むターゲットの女性を盗撮していた。雇用主から電話がかかり、様子を聞かれた。彼は毎日同じ時間に電話をかけるという。
用意された部屋は壁一面に新聞が張られ、ペンキ缶が置いてある。暗くなったので明かりを点けた。彼は寝具を用意して眠りにつく。モノクロの海が映り、フジツボ、虫と不快なイメージが切り替わる夢を見た。


2日目。ターゲットの部屋はカーテンが閉められていたので盗撮ができない。彼女はキャスゲート研究所という場所に電話をかけた。パーカーはそれを盗聴する。ブレット・ブキャナン博士に体調不良で休むことを伝えた。
パーカーはネットでキャスゲート研究所を検索すると、載っていた電話番号に電話をかけた。そして女性について聞こうとしたが電話を切られる。
義理の弟チャーリーが部屋に差し入れを持ってきた。彼とはこの仕事のことと喧嘩中の婚約者レイチェルについて話した。どうやらパーカーはこれが初めての監視ではないらしい。期間は数日とのこと。チャーリーは去り際に請求書を渡した。ルーカス小児病院からのもので額は1100万円。パーカーの子供だろうか、死亡したとも書かれている。

チャーリーが帰った後、パーカーは何者かにブレットと父親ジョージのことを調べてくれと電話で依頼。出来上がった資料を通りまで持ってきてくれと頼んだ。

その晩、女性はドレスを着込んでおり、部屋には同じく礼服を着た男性が。2人は揉めている様子で男性が手をあげた。カメラに気づいたのかパーカーとばっちり目が合う。
パーカーは依頼主に話をさせろと電話で雇用主に頼んだが断られた。彼はキャスゲート研究所について調べた結果を伝えるが、女だけに集中しろと注意される。
女性が外に出たのでパーカーも急いで外に出た。しかし彼女は外出を取り止めて部屋に戻る。セットした髪を解くと着替えのためかカーテンを閉めた。
パーカーは良い機会だと夕食を用意する。キッチンの窓硝子に張られた目張りが外れていたので修繕。足元に置かれたペットボトルにはヒルのような生き物が泳いでいた。次いでシャワーを浴びると突然高温になって背中を火傷する。

パーカーはその晩も奇妙な夢を見た。岩場に彼と小さな少年が居るのだが、少年は目と口から血を流していた。


3日目。撮った画像を確認しているとターゲットの女性ではない女の人影を見つけた。それについて考えていると、雇用主から電話がかかる。監視の日数を増やして欲しいとのことで、金につられた彼は承諾。
女性が電話を始めた。どうやら相手は友人らしく、他愛ない会話をしている。「シャワーに行くわ」と電話を切ったのでパーカーは大胆な行動に出た。彼女の家に侵入すると隠しマイクを設置。そこに電話がかかり危うく姿を見られそうになったが脱出した。
その晩、またも男性と喧嘩していたが音割れがひどく内容は分からない。しばらくすると男は帰っていった。
パーカーは仕事が延長になったので誕生日会には行けないとチャーリーに留守電を残す。
ブレットについての資料を受け取りに外へ出た。通りには一台の車が停まっていて、中には老人が乗っている。彼はブキャナン一家について興味深いことを教えてくれた。ブレットの父は昔、伴侶を亡くしていた。一家の留守中に管理人ウェルター・ムーアの手によって絞殺されたらしい。その後、捕まった管理人は自殺した。未発表の資料だから扱いに気をつけろと警告を受ける。
その晩も彼は夢を見た。殺されたブレットの母と性交するもの。


4日目。Tシャツを脱ぐと火傷あとがくっついていて痛みを伴った。いつも首にかけていたペンダントが無いことに気づく。マットレスを裏返して探すと中には腐ったネズミの死骸が。ビニール袋に入れて捨てに行くと女性の部屋にいた男性と接触。彼はパーカーに「帰ってくれ。君には分からない」と話しかけて去っていった。
部屋に戻ったパーカーは、電話で雇用主に相談するも監視を続けるよう言われた。依頼主は彼でないとも。
彼は再び謎の女性が映る画像を見て、あれは反射した自分ちの台所の窓だと気づく。そしてカメラをビデオモードにし、台所の新聞をはがした。その後映像を確認すると、剥がしたはずなのに窓はそのまま。そして異音がしたので別室に移動した。ベッドルームにあった黒いヘドロの詰まった瓶が落ちたらしい。そちらに向かうと今度はキッチンから音がする。キッチンの窓でがっつりターゲットと目があってしまった。彼はとにかく眠った。

夢なのか現実なのか、床に散らばった瓶の中身は黒いヘドロと眼球。彼は眼球を足で踏みつける。


5日目。雇用主からの電話に対してなにも問題ないと答える。パーカーの右手にはヘドロが。手を洗おうと向かった洗面台で彼は口から大量のヘドロを吐き出した。食あたりかと思った彼は冷蔵庫の中身を全てゴミ袋に詰めた。
パーカーは録音ファイルを確認。チャーリーに風邪薬を買ってきてくれと留守電を残す。音声のなかに「見るのをやめて」という囁きが入っていてパーカーは驚愕。急いで雇用主に電話をかけたが出ない。
いつの間にか寝てしまい息子の夢を見た。息子は前回と同様に目、口、耳から黒い液体を流している。一言「あれがいる」と発したところで目を覚ました。


6日目。レイチェルに留守電をいれた。今度の金は病院に入れると。
パーカーはシャワーを浴びながら手首を切った。その瞬間血だらけの女性が鏡に映り、驚いた彼は転倒。チャーリーと岩場で釣りをしている様子が映る。やがてチャーリーは死んだ様に倒れて動かなくなった。「奴らの標的はあの女だ」といつのまにかそばに立っていたムーアが言う。続けて「奴らのせいで俺は切られた」と発した。

目を覚ましたパーカーは冷蔵庫の中身を詰めたごみ袋を捨てに行った。近くのごみ捨て場からハエの羽音がするので扉を開けると中には獣の死体が。そしてパーカーの無くしたペンダントが吊るされていた。
彼は急いで部屋に戻り、雇用主に電話で辞めると宣言。雇用主は止めようとしたが、パーカーが「本当の目的は何だ」と聞くと電話を切った。
部屋の扉が何者かに叩かれる。ドアを開けると顔の崩れた女性が立っていてこっちに向かって来た。パーカーは別の部屋に逃げ込み、扉を閉めてやり過ごした。
電話の着信音が鳴り響き、彼はおそるおそる部屋を出る。荷物をまとめて玄関のドアを開けると海の岩場に繋がっていた。仕方なく部屋に戻り受話器を取ると、相手はターゲットの女性だった。彼女が何を言っていたのかは分からないが、ピーターはいいえと答える。
女性の部屋の外で男性が泣きながら電話をしていた。「彼女は納得しない。なぜ彼女なんだ」と相手と揉めている様子。
彼は電話を終えると彼女の部屋に入り、「テニール、なぜまだここにいるんだ。ここから離れよう」と声をかける。女性はそれを拒み、「ブレット、やめて」と言う。どうやらさっきの電話相手は父親らしい。彼女はブレットを追い出した。
向かいに潜伏するパーカーの撮影に気付き、窓を見ると下で倒れているブレットが目に入った。
彼女は警察の取り調べを受ける。彼に会いたいと訴えたが、警察はブレットの親に止められていると彼女を制止。


7日目。目を覚ましたテニールは買い物に出掛ける。ふと、パーカーの家のドアをノックしたが彼は出ない。買い物から帰るとパーカーの部屋の新聞が剥がれていてカメラがあらわとなっていた。文句を言うため、再びノックするが鍵が開いていたので侵入。パーカーは奥の部屋で熊の頭部の前に立ち、壁を黒く塗っていた。驚いたテニールは逃げ出そうとするが玄関のドアが開かない。彼女は仕方なくパーカーに話しかけようとしたが、彼は彼女を見るなり襲いかかって撲殺した。そして颯爽と扉を開けて外に出ていく。
死体の手にはペンダントが握られていた。
部屋から出たパーカーは電車に乗り込む。彼の腕時計に血液が一滴垂れ落ちた。

感想

じめっとしたホラー映画でなかなかの良作なのではないだろうか。不快感を出すためのグロテスクな演出やスッキリとしない終わり方が気に入らない方もいるとは思うけど僕は好きだった。

結局依頼主は誰だったのか、その目的が何だったのかといった事の答えは提示されず、さらに細々とした謎も多く残る作品で見終わった後のモヤモヤもまた心地よい。こういうことに違いないと答えを提示することは誰にも出来ないが、自分なりの考えを書いていく。

まず、なぜテニールが狙われていたのか。これはブレットと結婚を考えていたからとしか考えられない。彼の母親の事件とも重なるのでこれは間違いないだろう。ただ結婚後に殺された母とテニールでは関係性に大きく違いがあるのは否めない。

ブレットの母を殺した管理人のムーアは、パーカーが浴室で気絶した際に見た夢の中で何かを監視しているようだった。彼も母の監視を請け負っていたのかも知れない。話の流れから考えても、ムーアの役割をパーカーがやらされていると考えるのが妥当だろう。

問題は両者が一体誰に依頼されたのかだ。ムーアに関しては考察の余地がないが、考えられるのはブレットの父が命じた可能性。ただそれより前の情報が無いので彼が始めたことなのか、代々行われてきたものなのかは分らない。

パーカーは誰に依頼されたのか。単純に考えるとブレットの父ではないだろうか。ブレットは電話で父と揉めている様子だったし、テニールを逃げさせようとしていた。彼は父の計画を知っていて、ここにいると危険であると知っていたから彼女と逃げようとした。憶測に憶測を重ねるようだが、家の女性を殺すことはブキャナン一家の儀式だったのではと考えられる。ブレットは父との電話で「彼女は納得しない。なぜ彼女なんだ」と言っていた。これは結婚後に殺された母とテニールの妻と彼女という関係性の違いについて言っているのではないか。

正直パーカーの身に起きたことについては考えようがない。彼は監視を始めてから徐々におかしなものを見るようになった。その原因はもしかしたらチャーリーの持ってきた食料にあるかも知れない。チャーリーもまた、ブレットの父に依頼されて何らかの薬品や魔術の掛かった食料を運ばされていた可能性がある。そう思った一番の理由はチャーリーが音信不通になったことだが、他にも請求書の件もある。パーカーとその妻レイチェルとの子にかかった治療費だが、額は1000万を越えておりとても返しきれる額ではない。さらにパーカーはレイチェルへの留守電で「今度の金はきちんと病院に払う」とも言っていた。今まで払ってこなかったのだから義弟のチャーリーから見てやっかいな存在だったのではないか。

ペンダントや瓶に入ったヘドロと眼球、熊の死体に関しては深い意味は無いのではと思う。もしかしたら呪術的なアイテムの可能性はあるが。

長々と書いたけど要約はこうだ。何らかの理由でブレットの恋人を殺害する必要があったブレットの父は、犯人役としてパーカーを用意。さらにパーカーに異常をきたすため、彼の義弟であるチャーリーを使って細工のある食料を食べさせた。最終的にブレットの抵抗空しく、テニールは策略通りパーカーに殺害された。

あくまで僕が思った考察だから他の人は別の解釈をするかも知れない。本作は説明が少ない分、様々な捉え方が出来ると思う。それを楽しめるかどうかで評価が変わりそうだなと思った。

監視者 のぞき穴(字幕版)

監視者 のぞき穴(字幕版)

  • 発売日: 2020/04/15
  • メディア: Prime Video
 

 虚実分らなくなる映画

ジェイコブス・ラダー [Blu-ray]

ジェイコブス・ラダー [Blu-ray]

  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: Blu-ray
 
サイレントヒル [Blu-ray]

サイレントヒル [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/08/17
  • メディア: Blu-ray
 
ブラック・スワン [Blu-ray]

ブラック・スワン [Blu-ray]

  • 発売日: 2012/03/16
  • メディア: Blu-ray
 
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村