映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

ゾンビパウダー求めてハイチに降り立つ 映画『ゾンビ伝説』ネタバレあらすじと感想

ゾンビ伝説

コメディ度:1/10

グロ度:3/10

感動:2/10

リアリティ:4/10

人に勧めやすいか:6/10

満足度:7/10

目次

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作品情報

1988年製作/アメリカ/上映時間98分
原題:The Serpent and the Rainbow

監督:ウェス・クレイブン

製作総指揮:ロブ・コーエン、キース・バリッシュ

脚本:リチャード・マクスウェル、アダム・ロッドマン

原作:ウェード・デイビス

音楽:ブラッド・フィーデル

撮影:ジョン・リンドリー

編集:グレン・ファー

出演:ビル・プルマン、キャシー・タイソン、ゼイクス・モカエ、ポール・ウィンフィールド、ブレント・ジェニングス

あらすじ

学者のデニスは製薬会社から依頼を受け、ゾンビを作り出す方法を求めハイチを訪れる。秘密警察が闊歩する中、デニスはやっとのことで人をゾンビに変える薬を手に入れたのだが...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

この話は実話から着想を得ている。


1978年ハイチ。職人が棺桶を赤く塗っていると、銃を持った数人の男がやって来て奪い去っていった。棺桶は船に乗せられてどこかに運ばれる。
その晩、病院の前に骸骨姿の彼らが現れると、先ほどの棺桶に火を着けて放置。
病院ではクリストフが臨終した。医者は目の下に針を刺し、反応がないことから死亡を確認。
後日クリストフは埋葬された。彼の妹は何度も彼の名を呼び掛ける。棺桶の中でクリストフの遺体は涙を一粒溢していた。

 

1985年アマゾン。ヘリコプターに乗って、デニスがアマゾン一の霊媒師に会いに来た。霊媒師に渡された飲み物を飲むと彼は卒倒。ジャガーと戯れ、地面から生えた手によって地下に引きずり込まれる夢(幻覚?)を見た。
目を覚ました彼は森で倒れており、村に戻っても人気がない。ヘリに戻るとパイロットが座っていたが死んでおり、顔にはムシが這っている。
彼はとにかく遠くに逃げた。夢に出てきたジャガーの後を追うと村を発見。ジャガーは彼の守護精霊。

 

製薬会社のスクンバッカー教授に呼ばれてボストンに帰国したデニス。

スクンバッカーと製薬会社の会長はゾンビ化現象について話し始めた。ハイチでクリストフと言う男がが死んでから甦ったという。彼らはこの現象が未知の麻酔によるものだと考えていた。そして2人はデニスにゾンビを作り出す秘薬を持ってきて欲しいと依頼。

 

ハイチに降り立ったデニスは情報提供者のデュシャン医師と接触。彼女は自らの勤める病院に案内した。ハイチの治安はとても悪く、看護師の数も足りていないため病院はせわしない。

彼女はマルガリートという女性を紹介した。マルガリートは15年前に病死して埋められた記録があり、デュシャン曰くゾンビだそう。彼女の手はズタズタで傷が治らない様子。英語で話しかけても反応がなかったが、アマゾンで得た言語で話しかけると驚愕したような表情を浮かべた。

 

病院を後にし、ブードゥー教の神官でナイトクラブ経営者のルシエンに話しを聞きに行った。だが彼はクリストフのことを聞いても答えない。クラブに秘密警察のボスであるペイトロウがやってきた。彼は黒魔術を使う恥さらし、彼に注意しろとルシエンが言う。
ペイトロウは席に着くとコップをスプーンでリズミカルに叩きだした。するとダンサーが急に暴れ始める。ルシエンがダンサーに布を被せることで事態は収束。ペイトロウはその様子をにやにやと見つめていた。

 

翌朝、クリストフの村へ。村人はみんなクリストフに関して沈黙を貫いたが、彼の妹だけは墓地にいると教えてくれた。

その晩、デニスとデュシャンは墓地で彼を探す。デニスはゾンビの存在を信じておらず、デュシャンが病院の資金を集めるために流したデマだと考えている。しかし、クリストフが姿を見せた。彼は顔色こそ悪いものの英語を話す。

彼は死後、ボコールという霊界の番人にムチ打ちにされ、魂を抜かれた。その後、他人の夢の中に送り込まれて苦痛を与えられたという。

死人が生き返るはずが無い。2人は彼が死んだと思わされているのではと考えた。次の被害者を生まないようにと何が起きたのか聞いた。彼は皮膚から吸収される謎の粉のせいだと答えた。

 

翌朝、ホテルに帰ったデニスだったが部屋が荒らされているのに気づく。さらに廊下から刃物を持った人影が近寄って来ており、彼は即座にベランダから飛び降りて逃げ出した。
その後、デュシャンと共に結婚式の最中だったルシエンを問い詰めに行った。彼からパウダーを作っている人間について尋ねる。

彼らはルシエンの情報を元に酒場に赴き、モーツァルトと接触。粉などないと言う男だったがルシエンの名を出すと態度は急変。店の奥に連れていくとパウダーを見せ、500ドルで売り付けた。しかし、デニスはパウダーを信用せず疑う。するとモーツァルトは子羊を持ってきてパウダーを食わせた。子羊はすぐに死んだ。その際、デニスはこっそりと子羊の蹄に傷をつけ、金を払うのはゾンビになるのを見てからだと店を出た。

 

ホテルに戻れない彼は巡礼に紛れることに。多くの住民たちがロウソクを片手に山を登る。その晩、巡礼者らは森で野宿。デニスは白装束姿のゾンビの口から蛇が飛び出て彼の顔に噛みつく悪夢を見て飛び起きた。
翌朝到着したのはハイチの大聖堂。小さな滝のある美しい場所だった。デニスとデュシャンはそこの裏にある洞窟で愛し合った。

彼らが町に戻った頃、ハイチの情勢は大きく変わっていた。デモが過激化し、そこら中に秘密警察が溢れている。デュシャンと車に乗っていたデニスだったが、彼だけ下ろされると署に連行された。署ではペイトロウから尋問を受ける。ペイトロウはデニスがアメリカのスパイだと睨んでおり目的を尋ね、多少脅してから解放。

 

翌朝、デニスとデュシャンは酒場に向かう。モーツァルトが見せたヤギには傷が付いていない。彼は粉が偽物だと気づき店を出た。モーツァルトは観念し、本物を作るから協力しろと言った。
その晩、彼らは墓荒らしに向かった。パウダーには新鮮な人骨が必要らしい。掘り起こした死体は彼が巡礼中に夢で見た白装束の女性だった。

 

デュシャンとデニスが家に戻ると秘密警察が待ち構えていた。デニスは拉致され、ペイトロウに拷問された。股間に釘を打たれる。
それ以上の事はされずに解放され、デュシャンの家の前に転がされた。彼はデュシャンの家で数日間の療養。諦めて帰るわけにもいかずモーツァルトに作り方を教わりにいく。

パウダーの素材は複雑で多様。新鮮な人骨、ヒキガエルの毒、毒性を増すためのとある海虫、フグ、あらゆる毒草や鉱物を焼いて粉末にして魔術をかける。作業は三日三晩続いた。そしてそれを遺体と共に埋める。

モーツァルトはデニスに、拷問を受けてまでなぜ製法を知りたがるんだと聞いた。今までは許せない奴がいると嘘をついていたが、今回は新たな麻酔薬の開発のためだと正直に答える。すると彼は自分の名前が世界に知られると思い喜んだ。

24時間後にまた来いと言われ、デニスはデュシャンの家に戻った。デュシャンと寝ていると、棺桶に入れられてペイトロウに埋められる悪夢を見て飛び起きる。横にいるデュシャンに話しかけるが、そこに彼女はおらず、首を切られたクリストフの妹が死体となって転がっていた。それに気づいて声をあげた瞬間、壁を蹴破って秘密警察が押し寄せる。彼は殺人事件の犯人に仕立てられてしまった。

再び署内の地下室に連行されたデニスは殺されるのを覚悟している。ペイトロウはその部屋で自慢げに今まで殺してきた魔術師達の魂が閉じ込められた壺を見せた。一通り話した後、何故かデニスは釈放されることに。ペイトロウは去り際、「今日は棺桶に入れられて埋められる夢を見ただろう。俺もそこにいたんだ。君が瞼を瞑る度、俺は目の前に現れる。」と脅した。
デニスは銃を突き付けられながら旅客機に詰め込まれる。飛行機のなかにはモーツァルトがおり、絶対に俺の名を広めろと言って粉を渡してくれた。

 

帰国したデニスは粉を分析にかける。ヒヒを使って実験したところ、腕に粉を塗ってから20分で死亡。しかし、脳の知覚や思考を司る箇所はその間も生きていた。そして12時間後に元通りになる。


ある日デニスは製薬会社の会長の家に成功を祝して招かれていた。デニスにはもやもやとした感情が残る。その頃ハイチでは儀式が行われていた。
会食の最中、彼はスープから朽ちた手が伸びる幻覚を見た。次いで会長の妻が乾杯の際にワイングラスを噛み砕いたと思いきや、ナイフを持ってデニスに襲いかかる。どこにいても逃げられないと分かった彼は再びハイチに飛んだ。

 

飛行機から降りてすぐに秘密警察に取り押さえられたが、彼らはルシエンの仲間で偽装しながら助け出してくれたのだった。
ルシエンによると、デュシャンは無事だそうだがモーツァルトが危ないらしい。デニスはルシエンのアジトで奴らの攻撃から身を守る装飾をしてもらった。これからの戦いはこの世では無く、魂での戦いだという。

その頃モーツァルトはペイトロウの指示のもと斬首されていた。ペイトロウがモーツァルトの血を飲み干す。それと同時、ルシエンが血を吐いて倒れた。口からはサソリが這い出て来る。そこに突如として1人の男が現れるとデニスの顔に粉を吹き掛けた。

デニスは病院に運ばれて医師から死亡宣告を受ける。彼には端から見て死んでいるものの意識があった。そこにペイトロウがやって来ると強引に身柄を引き取る。

ペイトロウはデニスに、「今夜デュシャンを斬首する」と言いながら棺桶にクモを入れ、墓地に埋めた。
しばらく経ち、デニスは生き返って悲鳴をあげる。それを聞き付けたクリストフが助けてくれた。

 

その頃、テレビで政権交代のニュースが流れて町中でデモが発生。秘密警察の地位が危うくなっている。

デニスは署に潜入し、デュシャンを助け出そうとした。署に入ると同時、ペイトロウに次々幻覚を見せられた。拷問椅子に追いかけられ、死んだはずのルシエンが首に掴みかかる。

何とか地下室に到達するも、さっきまで死んでいたデニスでは魔術の強化を受けたペイトロウに適わない。

ペイトロウの注意がデニスに向いた隙を突いて、デュシャンはルシエンの魂が閉じ込められた壺を破壊。壺から出た魂はデニスに乗り移った。デニスはこれによりパワーを得て、ペイトロウと互角以上に戦えるようになる。そして他の壺を破壊した。壺から出た魂は1つの大きな炎となってペイトロウを燃やし尽くす。2人は彼を倒したので、脱出しようとした。

途中で拷問部屋にある因縁の椅子を破壊しようとしていると、ペイトロウの霊が現れた。お前も地獄に道連れだとペイトロウが言うが、明らかに弱体化しておりデニスは彼をあっさり倒す。そして拷問椅子に座らせ、自分がやられたように股間に釘を打ち込んだ。ペイトロウは叫びながら地中に消えていく。
2人は署から脱出した。

感想

実話から着想を得たなんて言ってるけど本当にごくわずかだと思った。もちろんゾンビはクラシックゾンビなうえ、どちらかと言えばゾンビでは無くブードゥー呪術を取り扱ったような感じ。クラシックゾンビを題材にした映画ではゾンビが添え物になっていることが多くあったけど、本作はそれらに比べてもとっちらかった印象を受ける。

気になった点はまず最初の方、アマゾンでの話が説明不足に思える。アヤワスカを飲んでトリップしたかと思うと村人もパイロットも消えた。主人公が絶体絶命のピンチに陥って、面白くなりそうだと思ったら急に話がボストンへ。繋げ方が残念すぎた。

あと全体的にブードゥー教、特にペイトロウとの魔術が強力過ぎると感じたな。ゾンビの設定が現実的というかエセ科学で説明づけられている分、人を操ったり夢の中に侵入する魔術は浮いている気がする。特に製薬会社会長の嫁さんを乗っ取るのはやり過ぎ。そんなん出来たら何でもやれるじゃん。さらに終盤では魂が集まってペイトロウを燃やしたりと物体として現れ始めちゃうからなんか萎えた。

一番はペイトロウの目的が分らないこと。彼ほどの能力者なら誰を殺すのだって容易に思えるし、わざわざ他人を泳がせる理由が知れない。悪役として魅力が感じられなかった。

良かった点はゾンビについてそれっぽく説明していること。ゾンビの製法に着眼しているのでゾンビパウダーを作るシーンにはそれなりに詳しく描かれていた。パウダーを使う作品は数あれど、作る作品は珍しいのでは無いだろうか。パウダーで仮死状態になっているときに意識があると言う設定も気に入った。

本作を観てて既視感があるなと思ったんだけど「レイダース/失われたアーク」だな。構成が似ているように思えた。主人公が向こう見ずな学者、良い関係になる協力者女性、上手くいきそうになると入る邪魔、そして最後は超常現象。もちろん面白さやテンポの良さに圧倒的な差があるけどね。だとすると本作はアドベンチャー映画かな。ドキュメンタリーと巷で言われているけどそんな筈はない。

ゾンビ伝説 (字幕版)

ゾンビ伝説 (字幕版)

  • 発売日: 2014/02/01
  • メディア: Prime Video
 
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