映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

やること全てが裏目 映画『デッド/エンド』ネタバレあらすじと感想

デッド/エンド

コメディ度:2/10

グロ度:2/10

感動:4/10

リアリティ:6/10

人に勧めやすいか:8/10

満足度:7/10

目次

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作品情報

2013年製作/アメリカ/上映時間86分

原題:Scenic Road 

監督:ケヴィン・ゴーツ、マイケル・ゴーツ

脚本:カイル・キレン

製作総指揮:ジョシュ・デュメアル、ポール・グリーン、キース・レドモン

撮影:ショーン・オディー

音楽:マイケル・アイジンガー

編集:キンドラ・マッラ

出演:ジョッシュ・デュアメル、ダン・フォグラー、ミラクル・ローリー、クリスティ・バーソン

あらすじ

ミュージシャンになる夢を諦め、社会人となって成功を収めたミッチェルには作家志望で現在無職のカーターという友人がいる。彼らは身分に差が生じてしまい長いこと疎遠になっていた。ある日カーターから誘いがあり2人で旅に出ることに。しかし、彼らを乗せた車は砂漠の真ん中で故障してしまう...。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

男2人が砂漠で殴り合い。モヒカンの男が松葉杖でもう一方の頭を殴り勝利を収めた。

 

足を怪我して松葉杖をつくミッチェルと太っちょのカーターが砂漠を走行。途中で車が故障。携帯の電波も入らず2人は他の車が来るのを待ちながら会話する。
やがて待っていてもらちが明かないとミッチェルが歩きだす。2人は大学の友人。ミッチェルはミュージシャンになるのを諦めサラリーマンとなって結婚もした。カーターは売れないライターで車暮らし。
そこに一台の車が通り、ミッチェルが駆けつけて止める。乗っていたのは親切な老人で町まで送ってくれるという。カーターはそれを制した。実は車の故障は全くの嘘で彼はミッチェルと話がしたかった。
それを知ったミッチェルが怒りだし2人は口論に。ミッチェルは全てに妥協して今の生活を手に入れ、カーターにとってはそれが許せなかった。好きだった女性に振られた直後に今の嫁ジョアンと結婚、アレルギー持ちなのに犬を飼い、やりたくもない仕事を毎日しているとカーターが責めた。
険悪なムードで車に乗るが今度は本当に故障。次はミッチェルがカーターの人生について批判を始める。30にもなってまともな職に就かず夢を追うのがそんなに偉いのかと。
カーターは車に乗り、ミッチェルは外で過ごした。


夜になり気温が下がってミッチェルが車に戻った。カーターはミッチェルの家族を貶したことを謝った。ミッチェルは謝るべきは車の故障だと答える。2人は互いに言われたことを噛みしめ納得していた。
ミッチェルはこの間浮気をしたことを話し始めた。今ではこの生活に慣れてしまいジョアンに対する愛などないと。次いで彼は長年の夢を語り始める。タクシードライバーのトラヴィスに憧れており、ずっとモヒカンにしてみたいと思っていた。しかし、子供のころは親が怖くて出来ず、大人になると社会の目が気になって出来なかった。モヒカンの人間にろくなやつはいない。話を聞いたカーターは十徳ナイフのハサミを取り出してミッチェルをそそのかす。ハサミとカミソリを使い、彼は念願のモヒカンになれた。その後あまりにも喉が乾くのでウォッシャー液を飲み、眠りにつく。


翌朝老婦人の乗った車が横を通り、ちょうど目を覚ましたカーターが必死に助けを求めた。ミッチェルはウォッシャー液を飲んだせいで嘔吐が止まらない。彼もまた、婦人の車に助けを求めたが髪型がモヒカン。危険を感じた彼女は車を急発進させて逃げてしまった。
残された2人はまたも喧嘩勃発。お前が脅さなければ助かっていた。それに対し、誰のせいでこんな場所にいるんだ。
やがて足を負傷しているミッチェルを置いてカーターは町に向かおうとする。町までは100キロメートル。彼はミッチェルに対し浮気のことをバラしてやると挑発。ミッチェルはその後ろ姿めがけて石を投げつけた。しかしそれは頭に命中し、カーターの後頭部から出血。まさかそんなにうまく当たると思っていなかった彼は謝ろうとしたが遅く、カーターが突進してきて冒頭のシーンに。2人は殴り合い、その末にミッチェルは偶然カーターを殺してしまう。

ミッチェルは現実を受け止めきれず死体となったカーターに話しかける。きっと婆さんが警察を呼んでくれるから早く起きろ。帰ったらやらなきゃいけないことが沢山あるんだ。

やがて彼は死体を埋める穴を堀り始めた。十分な深さを堀り終え、埋めるために彼を引きずると息を吹き返した。目を覚ました彼は記憶喪失になっており、なんで自分がここにいるのかさえ分かっていない。彼は俺を殺してここに埋める気だったのかとミッチェルにナイフを突きつけ、まともに話を聞かずにどこかへ去ってしまった。
残されたミッチェルは車に座ってこの日も通りかかる車両を待った。


その晩、彼はあまりの寒さで墓穴に転がって寝ることにした。するとようやく落ち着いて戻ってきたカーターがなぜ墓穴で寝ているのか尋ねる。ここの方が暖かいと聞いた彼は横に収まった。


翌朝車が通りかかったが気付かずに寝過ごしてしまう。極限まで喉の乾いた2人は喋ることさえ容易でない。
その晩、なにか逃げ出す方法はないかとミッチェルが地図を見る。すると町ではない場所に点が打ってあるのを見つける。そこは現在地から48キロメートルと行けない距離ではない。彼は反対するカーターを説得し、2人でそこを目指すことに。
しかし、歩きだしてすぐレッカー車がきて車を持っていった。声をあげて手を振ってもレッカー車は気付かず。落胆したした2人は仕方なく地図上の点を目指す。その日の晩、ミッチェルは死肉を貪るコヨーテに遭遇。彼はコヨーテから肉を奪い取った。

 

翌朝、点の箇所に到着。そこは廃村だった。水だけはあるが他に何もない。水を汲んでまた出発しようとすると電話が鳴った。確認するのを忘れていたがここには電波が通っていたのである。2人は笑い合い、救急車を呼んだ。

 

退院したミッチェルはカーターを自分の家の一室に住まわせる事にした。カーターに渡されたCDを聞いて昔の自分を思い出す。ミッチェルは仕事を辞め、家族で世界中を回る旅に出る。カーターは家に残り小説を書き続けた。
ある日の深夜、ミッチェルがカーターに電話をかける。あまりにも幸せすぎる。もしかして自分はまだ砂漠におり、夢を見ているのではないか。それに対してカーターはもしこれが夢なら今書き上げた作品も空想上の物かとジョークで返した。カーターが作品の結末を話そうとした瞬間プツリと電話が切れる。
ミッチェルはケータイを放った。すると着信音が鳴り始める。彼が拾い上げると液晶にはさっきまでなかった砂漠の時と同じ傷が付いている。彼は怖くなってベッドに戻った。廃村の光景を映し出され、その後彼の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

感想

僕は現在就活中で本作序盤の言い合いが自分の事のように沁みた。端から見ればカーターの言っていることや起こしたことは単なる嫉妬に思えるが、彼からすると裏切られた気持ちになるのも理解できる。そして苦労して手に入れた物を否定されたミッチェルがキレるのも当然のこと。やはり収入に差が出来たら関わらなくなるのが互いにとって良いことなのだろうかと考えさせられた。

本作はまるで「ミスト」のようにやることなすこと全てが裏目に出る。しかもその全てが良くなるためにしたことだから面白い。ウォッシャー液を飲んで体調を崩し、モヒカンにしたせいで車から逃げられ、墓穴で寝たことで車に気付かず、助けを求めて歩き出すとレッカー車が通って行き違い。そもそもカーターがミッチェルの目を覚まさせようと旅に誘わなければこうはならなかった。まるで脚本が彼らに嫌がらせしているよう。

本作のラストは観る人によって捉え方が変わると思う。2人は助かったのか否か。

自分なりのラストの解釈はこうだ。2人は廃村で寝ている間に死亡した。終盤の幸せな日々は全てミッチェルが死ぬ間際に見ている夢。でないと割れた液晶の説明がつかない。カーターとの電話が作品のオチを言う前に切れたのも夢であることを意味している。と言うのも人は自分が考えられる範囲のことしか夢に出ない。カーターと疎遠になっていたミッチェルには彼がどのような作品を書くのか分らなかったのでは無いか。ミッチェルは夢を見ていることに気付き、涙を流したが目を覚ますことを拒んだ。

夢の中で助かるきっかけになった着信も脚本の嫌がらせ。2人は序盤こそ電波を捜して歩いていたが中盤からは携帯の存在を忘れていた。もしも廃村で彼らが電波を探していれば助かっていたという観客へのメッセージだと感じた。

パッケージや予告からは想像の付かないしっかりとした内容。久々に当たりを引いた。

デッド/エンド(字幕版)

デッド/エンド(字幕版)

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