ピンク・フラミンゴ
コメディ度:10/10
グロ度:2/10
感動:3/10
リアリティ:1/10
人に勧めやすいか:1/10
満足度:10/10
目次
1972年製作/アメリカ/上映時間107分 原題:Pink Flamingos 監督・製作・脚本・撮影:ジョン・ウォーターズ 出演:ディバイン、デビッド・ローチャーリー、メアリー・ビビアン・ピアース、ミンク・ストール、エディス・マッセイ ”この世で最も下劣な人間”の称号が与えられた女性ディバイン。その称号を狙うマーブル夫妻と互いのプライドをかけた戦いの火蓋が切られた。 以下ネタバレあり “世界一下劣な人間”の称号を持つ女性ディバイン。彼女はマスコミを避けるためバブスという偽名を使い、母のイーディ、息子のクラッカー、親友のコットンと共にボルチモア郊外のトレーラーハウスに住んでいる。 同じくボルチモアに暮らすコニーとレイモンドのマーブル夫妻は赤ん坊の人身売買で生計をたてていた。夫妻は若い女性を誘拐しては手下のチャニングに子供を作らせ、生まれた子供を売りさばいている。自分らこそ“世界一下劣な人間”に相応しいと思っている夫妻はディバインが妬ましい。 ある日、ディバインはイーディの世話をコットンに任せ、車に乗って街へ買い出し。イーディは卵が大好きで他の物は食さず、ベビーベッドから出ることはない。ディバインは肉屋で購入したステーキ肉を股に挟み、自己流の味付け。 自宅兼事務所で仕事をしていたコニーはタブロイド誌に記載されていたディバインの記事に憤慨。コニーは外出中のレイモンドの帰りを待つ。そのころレイモンドは町で若い女性に対する露出行為を楽しんでいた。 クラッカーは、ガールフレンドのクッキーを車に乗せて家へ帰った。クッキーはマーブル夫妻がディヴァインを偵察するために雇ったスパイ。彼女はクラッカーに接近しディバインについて探るよう命令を受けていた。 クラッカーはコットンとイーディにクッキーを紹介。クラッカーはクッキーを家の裏の小屋に連れ込み、ニワトリを交えての性交。正常位の体勢で互いの腹の間にニワトリを挟む。雑に捕まれて振り回されたニワトリはバタバタと暴れた後に絶命。白い羽毛に赤い血が滲む。コットンは小窓からその様子を覗いて自慰行為。意味不明な行動に恐れをなしたクッキーは小屋を逃げ出した。 その夜、マーブル夫妻は人身売買に利用する女を物色するため、街を車で走っていた。夫妻は一人の若い女に目をつけ、車に押し込み拉致。誘拐された女は夫妻の自宅地下牢に運ばれ、意識の無いままチャニングによって妊娠させられる。チャニングは潔癖症で自らの精液を注射器で女性に注入。 夫妻のもとにクッキーから電話がかかってきた。夫妻はディバインが現在はバブス・ジョンソンという偽名を使っていること、郊外のトレーラーハウスに家族と住んでいること、近々ディバインの誕生パーティーが開催されることを知らされる。 ディバインが家族と夕食をとっているところへ、マーブル夫妻からの小包が届く。差出人は不明。綺麗に梱包された箱の中には人糞が入っていた。ディバインは自分の称号を妬む者達の仕業だと考え、犯人探しを始める。 マーブル夫妻の留守中、チャニングはコニーの服で女装してレイモンドの真似をして遊んでいた。予定より早く帰ってきた夫妻はチャニングの奇行を目にして激怒。チャニングをクローゼットに閉じ込めた。 ディバインの誕生パーティーがトレーラーハウスで開催され、多くの下劣な友人達が集まった。マーブル夫妻が様子を探りに森の中にやってくる。メインの見世物は男性がケツの穴をパクパク開閉する芸。あまりにも品性を欠くパーティーを目にし、耐えられなくなったマーブル夫妻は街へ引き返した。2人は警察に匿名の電話をかけ、パーティーを通報。 連絡を受けた警察官達がパーティーを止めようとトレーラーハウスに急行したが、ディバイン達はそれを返り討ちにして皆で食べてしまった。 エッグマンがイーディに求婚。承諾したイーディは、エッグマンの家へ越していった。 後日、小包を送った犯人を突き止めたディバインとクラッカーはマーブル夫妻の家に侵入。2人は家の中のあらゆる物を舐め回して仕返しをする。こうすることで家に2人の神性が宿るとのこと。盛り上がったディバインはクラッカーの性器をくわえこんだ。果てる直前、人の声がして行為は中断。声の主はチャニングだった。2人はクローゼットに閉じ込められているチャニングを発見。チャニングはマーブル夫妻が人身売買を行っていることを話した。夫妻の所業を知ったディバインは地下牢に囚われている女達を解放。自由になった女達はチャニングに襲いかかって性器を切り取って殺した。ディバインとクラッカーはその様子を笑いながら見ていた。 帰宅し燃え盛るトレーラーハウスを目にしたディバインは泣き叫びながらマーブル夫妻への復讐を誓う。 帰宅して世界一の称号を手に入れたと喜ぶマーブル夫妻だったが、家の家具が反乱を起こす。ソファや机が勝手に暴れ出した。2人はチャニングが何かをしたと疑い、クローゼットを覗くが姿はない。おそるおそる地下牢に行くと女達がおらず、性器の切り取られたチャニングが転がっていた。2人は女達に通報される前に逃げようとした。そこに待ち伏せしていたディバイン、クラッカー、コットンが姿を現わす。3人はマーブル夫妻を縛り上げトレーラーハウスの前に連れて行った。 ディバインはマーブル夫妻の公開処刑を決定。ディバインはゴシップ系のタブロイド誌の記者達に連絡をし、公開処刑の前に記者会見を開く。 裁判と称する茶番の後、ディヴァイン達は夫妻を森の奥へ連れて行き、木に縛り付けた。記者達はこのとき本当に殺すなんて思っていない。しかし、ディバインは最初にレイモンド、続けてコニーを射殺。ディバインは記者達に確実に記事を掲載するよう脅した。 一件落着した一家はアイダホ州のボイシに引っ越すことを決める。 後日、街に繰り出したディヴァインが出来たてほやほやの犬の糞を食べてEND。 これほど好き嫌いがはっきりと分かれる作品も他に無いのではないだろうか。食人、獣姦、人身売買と一般にタブーとされるシーンが半ば強引にねじ込まれている。さながらやってはいけないことの見本市。 本作にも一応ストーリーがあるがインパクトの強いシーンが多すぎるせいか頭に残らない。一番の原因はラストの食糞だろう。ディヴァインが目の前を歩く犬のした糞を食べるのだがこのシーンは他よりも圧倒的にキツいし、突拍子もなく必要性は感じない。役者も一瞬嫌な顔をするし糞を少しはき出してしまう。しかしその後は役に戻り、糞を咀嚼しながらカメラにウインク。役者魂とはこういうことだろうか。 演技が素晴らしいのはディヴァインだけでない。ニワトリを交えた性交シーンやディヴァインとの戯れ、妊婦の吐くゲロ等と演じたくないシーンが多々あっただろうが観客に何の違和感も与えさせない役作りはあっぱれとしか言い様がない。 僕が本作で最も印象に残っているシーンは食糞でなく、誕生パーティーのケツの穴パクパクする出し物。初見の際、腹がよじれるほど笑った。次点でマーブル夫妻の家を舐めるシーン。意味わかんねえなと思いながら観ていたのだが、後に観た監督のコメンタリーによると彼自身にも意味が分らないらしい。最初は舐めるではなく触るだったそうな。舐めるに変えて大正解だと思う。 この作品はとにかく癖になる。僕は年に3回ほど観たくなる瞬間が訪れ、その都度必ず観ている。鑑賞後、不思議と元気が出てくる映画だ。作品情報
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ストーリー
感想