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チリ大震災で脱獄した男の話 映画『デストロイ8.8』ネタバレあらすじと感想

デストロイ8.8

コメディ度:1/10

グロ度:1/10

感動:2/10

リアリティ:8/10

人に勧めやすいか:5/10

満足度:4/10

目次

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作品情報

2011年製作/チリ/上映時間82

原題:El ano del tigre

英題:The Year of the Tiger

監督・編集:セバスチャン・レリオ

脚本:ゴンサロ・マサ

製作:パブロ・ラライン、ファン・デ・ディオス・ラライン

撮影:M.I. Littin-Menz

音楽:クリストバル・カルバハル

出演:ルイス・ドゥボ、セルヒオ・エルナンデス、ビビアナ・エレラ

あらすじ

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

20102月のチリ地震で実際に起きた話に基づく物語。

 

マヌエルという男が刑務所に服役していた。ある日、妻のマルセラが面会にやって来て、娘のタチアナが最近どうしているなどの話をした。その後2人は茂みに隠れて性交。それを終えると彼女は帰った。

その晩、マヌエルが寝ていると突然刑務所が揺れ始める。それは大きな地震で、彼をはじめとした囚人は飛び起き、刑務所が崩れるかもしれないとパニックに陥った。そして大勢で力を合わせて牢を破壊し、彼らは解き放たれた。地震のおかげで脱獄に成功したマヌエルは必死で走り出し、気が付けば朝となっている。

 

彼は自宅にたどり着いたが家は海の近くに立っており、津波のせいで倒壊。妻子の姿も見当たらず、妻の鞄を抱えて途方に暮れた。

途中で車が通りかかり、マヌエルは荷台に乗せてもらう。

荷台から降りた彼は再び歩き始め、一軒の家に入った。それは彼の母親の家で、奥に入ったマヌエルは母親の死体を発見。彼は椅子で窓硝子を割る憂さ晴らしを始める。冷静になったマヌエルは母親の遺体をそこら辺の布で包み、外に穴を掘って埋めた。遺体を包むのに使っていた布を体にかけ、マヌエルは眠りにつく。

 

朝になりマヌエルは寒さで目を覚ます。彼は川辺で上着を手に入れた。その時、獣が唸るような声が辺りに響いた。声のする方へ向かい、川に踏み入ったマヌエルは檻の中に閉じ込められているトラを見つける。彼は檻の入り口を破壊し、トラを逃がそうとした。トラは唸り声を上げるだけで動こうとしない。彼はトラを出すことを諦めて歩き続けた。

津波で流されたマットレスを手に入れ、そこそこ綺麗な状態の他人の家に向かう。すると先ほどのトラがうろついていたため、彼は家の影に隠れた。トラをやり過ごしたマヌエルはマットレスを引きずって歩き、その上で眠りについた。

人々がマヌエル、グロリア、カルメンなどと名前を呼んでいる。彼らは脱獄囚を探している様子で、見つからないように身体を隠した。ここにいては見つかってしまうと、再び歩き始めたマヌエルは倒れ伏しているトラを見つける。トラの体には銃弾の痕があった。

 

歩き続けたマヌエルは、農場にたどり着いた。干してあったデントコーンにかじりついていると、農夫に銃を向けられる。マヌエルは彼に、空腹だったから食べてしまったと謝罪した。老人は何があったのか尋ねる。マヌエルは津波が来て大勢死んだことを告げ、南の方にいる親族に会いに行く途中だったと話した。納得した老人は食べ物が欲しいなら働けと言い渡した。マヌエルはガレキの撤去の手伝いを始めとして、様々な仕事をやらされ、その間まともな食事にありつけた。

2人は食事中に地震が起きたときの状況を語り合った。マヌエルは囚人だったことを明かしていないので、自宅にいる時に地震が発生して家族は津波で流されたと嘘をつく。テレビのニュースで地震と津波により多くの人が亡くなったと知らされた。テレビのバッテリーが切れたため、農夫は家族の話をし始める。マヌエルもまた妻子のことを語った。しかし農夫から家族が死んだという現実を突きつけられ、マヌエルは不機嫌に。

さらに農夫は昨晩、トラを撃ち殺したことを自慢げに話した。

農夫は酒を飲んで酔っ払う。妻と子供に暴力を振るっていた彼は神様が家族を引き離したのは自業自得だとし、「苦しい試練を終わらせて俺を殺してくれ」などと言い始めた。

マヌエルは眠りについた老人を床に寝かせる。彼は外に出て鋭利なガラス片を拾った。マヌエルはそれを持って農夫の元へと向かうと、眠る彼の腹に深く突き刺した。そして農夫のブーツを奪い、農場を後にする。

 

歩き続けたマヌエルはやがて崩壊した街にたどり着いた。街中を目的なく進んでいたマヌエルは教会の人だかりに気付く。そこでは牧師が演説を行っており、聞き終えたマヌエルは再度街を歩き回った。

 

軍隊が救出作業のため、街中を見回っている。それを見たマヌエルは、転がっていた子供用の自転車を手に取ると何度も壁に打ち付ける奇行に走る。彼は異常者として軍隊に取り押さえられ、護送車に乗せられた。

感想

本当に被災地で撮影してるのかなってくらい街の崩壊具合がリアル。チリ大震災をモチーフにした作品は他にもイーライ・ロス監督の アフターショック Blu-rayがあるけれど両者に言えるのはこんな作品、日本では作れないだろうなって。実在する震災を元にしたスリラーなんて絶対に叩かれる。

本作の主人公マヌエルは何で刑務所にいたのか明かされていないから、中盤までは家族思いの善人に見える。それが農夫を躊躇いなく殺してしまうから観ていてショッキングだった。もちろん殺す理由は描かれているけれど。農夫に会うまで一人旅であまり言葉を発さないから内心が分らないというのも大きい。

ラストで自ら再び牢屋に戻ったのは色々な感情が織り混ざった結果と思われる。一番はトラが銃殺されたことではないだろうか。マヌエルには檻に入れられたトラと牢屋に入れられていた自分が重なって見えた。こうして自己投影したトラが殺されたのはまるで自分もこうなると示された気になったのでは。あとは妻子が死んだことを知りたくなかったことも考えられる。他にも考えられる理由があるかも知れないが、僕は少なくとも農夫を殺した罪悪感ではないと考えている。

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