パラサイト・バイティング 食人草
コメディ度:2/10
グロ度:4/10
感動:1/10
リアリティ:2/10
人に勧めやすいか:5/10
満足度:6/10
目次
2008年製作/アメリカ/上映時間91分 監督:カーター・スミス 脚本:スコット・B・スミス 原作:スコット・スミス 製作:スチュアート・コーンフェルド、ジェレミー・クレイマー、クリス・ベンダー 製作総指揮:ベン・スティラー、トリッシュ・ホフマン、ゲイリー・バーバー、ロジャー・バーンバウム 撮影:ダリウス・コンジ 音楽:グレーム・レベル 編集:ジェフ・ベタンコート 出演:ジョナサン・タッカー、ジェナ・マローン、ショーン・アシュモア、ローラ・ラムジー、ジョー・アンダーソン メキシコのリゾート地へバカンスにやってきた2組のアメリカ人カップル。現地で知り合った青年らに誘われてマヤ遺跡の探検に出かけるが、それは恐怖の始まりだった...。 以下ネタバレあり 汚れてやつれた女性が暗い穴の底のような所で怯え、助けを求めている。彼女は携帯のボタンを何度も押すが反応は無い。すると周囲の暗闇から人の笑い声がして、何者かに闇の中へと引きずり込まれた。 メキシコのリゾートホテルでバカンス中だったアメリカ人カップルの二組、医学生のジェフとエイミー、ステイシーとエリックは、ひょんなことで知り合ったドイツ人のマティアスに誘われ、地図に載っていないマヤの遺跡に行く事になった。参加するのは彼らの他に、マティアスの友人ディミトリと別動隊で行くディミトリの友人のギリシャ人2人。すでにマティアスの弟ハインリヒは考古学者の彼女と向かっている。 彼らはその晩、海辺のパーティーで浮かれてジェフは悪酔いしたエイミーを気に掛けながらも先に帰った。酔ったエイミーはマティアスに近づくが、ステイシーがそれを制止。 翌朝エイミーはひどい二日酔いだったが、ジェフに説得され同行する事に。マティアスは別動隊のギリシャ人たちに地図を書き写し、浜辺に寝転ぶ彼らの頭の下に挟み込んだ。 彼ら4人とマティアス、ディミトリはバスで近くの町に出たが、ハインリヒと連絡がつかない。やむなく現地のタクシーで向かった。 タクシーが着いたのはジャングルの中で携帯電話は圏外。使えるのはマティアスが持っている衛星電話だけ。マティアスがハインリヒの車を見つけた。 6人が小川で休憩した際、遠い岩場から見つめるマヤ人に気づき、スペイン語で呼びかけたが無反応。途中で道がなくなりマティアスは悩むが、地図の通りの草むらをかき分けると、道を隠すようにカモフラージュされているだけだと発覚。ついに遺跡にたどり着いた。それは拓けた場所に建つツタに覆われた台形の大きな遺跡で、頂上にはハインリヒの物と思しき黄色いテントが見える。 彼らは写真を撮ったりして浮かれるが、そこに険しい顔をしたマヤ人たちが馬でやってきて、いきなり彼らを怒鳴り始める。しかし彼らの言葉はスペイン語でもなく、誰も理解できなかった。 頂上には黄と青の2張りの一人用テントがあり、あとは滑車とライトが付いた発掘機材のような物が立っていた。 彼らは逃げるのを諦め、別動隊で来るギリシャ人たちを待つことに。その時、遺跡内部へと続く穴の中から携帯の着信音が聞こえてきた。 マティアスは、弟の衛星携帯に間違いないと言い、身体にロープを巻いて穴の底に降りていったが千切れて落下。惨い音が響いた。しかしうめき声が聞こえるので死んでいない様子。ジェフとエリックがロープの巻き上げを担当し、女性らに降りるよう頼んだ結果、ステイシーが行く事に。 穴の壁はびっしりとツタに覆われ、辺りからは凄まじい異臭がする。 一方頂上では、ジェフとエリックがテントを裂いてロープを継ぎ足し、担架を作ってマティアスを吊り上げて救出しようと準備を始める。しかしエイミーは無茶だと騒ぐばかりで、マヤ人を説得して助けてもらうと叫ぶと遺跡を降り始めてしまう。彼女はジェフが必死で止めようとする中、下手なスペイン語で説得を試みるが状況は変わらず。苛ついた彼女はツタをもぎ取って男たちに向かって投げつけた。 ツタはマヤ人の子供に当たり、子供は泣き出した。周囲の大人が彼に銃を向け、躊躇いなく発砲。2人はその様子を見て慌てて遺跡を駆け上がった。 マヤ人たちは自分らがツタに触れた事を怒っているらしいと気づく。穴の底で再び携帯が鳴りだした。ステイシーが辺りを探すも光量が足らず見当たらない。 間もなく担架が出来てエマティアスは助け出された。彼らはテントや荷物の中から鎮静剤と毛布を探してマティアスに与え、手回しの発電機で穴のライトを点ける。その際エイミーはハインリヒのリュックから車のキーを見つけた。夜になり男性2人が交代で見張りに立つことに。 翌朝、ツタには不気味な赤い花が咲き、ジェフはツタの中に腕時計と朽ちた死体を見つける。また、テントで寝ていたステイシーの傷にツタが入り込み、外で担架に固定されていたマティアスの下半身もツタで覆われていた。一同はパニックになり、必死になってツタを剥がした。 その時再び、穴の底の携帯が鳴りだす。ジェフはエイミーとステイシーに松明を持たせ、穴の底を探索するように指示した。2人は怯えながら着信音を頼りに奥へと進んでいく。 2人はようやく人らしきものを見つけて声を掛けたが、それは干からびた女性の遺体。その手には携帯電話が握られていたが壊れている。しかし着信音は止まない。実はこの音を出していたのはツタの花だった。それに気付くと同時、ツタはまるで動物のように動きだし、2人に襲いかかる。何とかぎりぎりのところで脱出に成功。 エリックはマヤ人の目を盗んで何とか逃げだそうと提案するが、ジェフはアメリカ人が4人も失踪すれば誰かしら助けに来ると現状維持を押し通す。 翌朝、4人は残りの食料を一口ずつ食べたが、マティアスは水を含むのがやっとの状態。ステイシーはツタが体内に残って動いてると訴えている。 ジェフはマティアスの足を切らなければ敗血症で死ぬと言い出し、エリックやエミリーと対立。それを聞いていたマティアス本人が両足切断を望んで処置を行うことに。ジェフはエリックに押さえつけさせ、まず骨を砕くために石を叩きつける。次にナイフで足を切り落とすと、熱したフライパンで傷口を焼いた。その横でツタが動き出し、マティアスのそばに転がる切断された足を持ち去って行く。4人はただ愕然とその様子を見ていた。 その夜のステイシーは、テントにこもって携帯を開け閉めしては泣くばかり。懸命に励ましていたエリックは諦めて外に出た。外にはエミリーがおり、彼は泣いている彼女を慰めるため抱き寄せる。しかし、テントで横になっていたステイシーは泣き声をあえぎ声と勘違いし、寄り添う2人を見て浮気をしたと思い込む。3人が揉めているのに気付いたジェフが駆けつけた。エミリーがマティアスと浮気したと聞いて彼の方を見た瞬間、マティアスがツタに襲われている事に気づき駆け寄る。ツタは身動きできないマティアスの口や鼻から体内に這い込んでいて、懸命に引きずり出したものの絶命。 ステイシーは、ツタが体の中にいると叫んでナイフを取り上げ、自分の体を切ろうとしたがエリックが止めに入った。 すると周囲にあったツタの花が一斉に震えて彼女の声マネを始める。ツタが体の中にいる。ツタが体の中にいる。一同は耳を塞いだ。 翌朝エミリーは、マティアスとは何も無かったと言い出し、そんな事を言っている場合かとジェフに諭された。 テントから出てきたエリックが2人を呼ぶ。ステイシーの体の中には本当にツタが入り込んでおり、腰や腿の皮膚の下で線虫の様に蠢いていた。ジェフは焼いたナイフで彼女の太腿と腰を切開し、ツタの切れ端を掴み出した。それでも彼女はまだ頭の中にいる気がすると訴えたが、ジェフはもういないとなだめた。 しかしその晩、3人はステイシーが酒を飲んだとき、彼女の額の下で動くツタを見てしまった。3人とも目を逸らしたがエミリーは察する。 3人はステイシーのうめき声で目覚め、外で自らの顔や身体を切り刻んでいる彼女を止めようと近づく。しかし彼女は切るのを止めず、手を差し伸べたジェフは振り向きざま手の平を切られた。その後エリックは同じムーブで胸を刺され、息絶える。そしてエリックの遺体はツタに引きずられ始めた。 ステイシーはエイミーの腕に抱かれながら、殺してと懇願。ジェフはエリックの胸に突き刺さったナイフを抜き、2人にゆっくりと近づく。 ジェフが囮となってエミリーを逃がす作戦を決行することにした。エミリーにステイシーの血を塗りつけ、車のキーを渡し、後ろを振り向かずに全力で走れと言い聞かせる。間もなくジェフは血だらけでぐったりしたエミリーを抱えて遺跡を降り、彼女を地べたに降ろすとキスをした。マヤ人も多少は心打たれている様子。 そして彼女からゆっくりと遠ざかりながら、自分の半生をマヤ人らに英語で語りかけた。彼の動きに合わせ、マヤ人はぞろぞろとついて歩いて武器で威嚇する。ジェフがエイミーと叫んだ瞬間、男たちはジェフに弓矢を放ち、エイミーは起き上がって森に走り出した。 エイミーはすぐ追われ始めた。 数本の矢に射抜かれたジェフは、自分を見下ろすマヤ人のリーダーを見つめる。ツタがゆっくりと彼に這い寄っていた。リーダーはツタがジェフに触れる寸前に彼を射殺。 その銃声を聞いたエイミーは一瞬立ち止まるが、弾や矢が飛んでくるのですぐに走り出した。彼女はハインリヒのジープに辿り着き、なんとか追手をまくことに成功。 ディミトリの仲間のギリシャ人2人が、遺跡を発見。大声でディミトリを呼びながら近づいて行く。 思ってたのと違う。食人草なんてタイトルなのにツタが実際に人を食べるようなシーンは無い。一応ツタが体に入り込むシーンはあるのだが、これは食べていると言えるのだろうか。僕が期待していた、体が溶かされるといったシーンは見受けられない。 もっと現実的というか、ツタの生態が徐々に明らかになるような作品を想定していた。実際はホラー映画の幽霊が植物に置き換わったようなもので、植物である必要性は感じられなかった。植物が振動して声真似するのはさすがにやり過ぎ。 植物よりも銃を持ったマヤ人の方が怖くなってしまっている。序盤は植物が危険であることを知らないのだからマヤ人の方を恐れるのは分る。ただ本作は逃げられない理由を全てマヤ人に投げているので、ラスボスが常にマヤ人のまま。 遺跡の設定も生かせているとは思えない。内部にいる時間がやけに短く、これも想像と異なっていた点。まさかほとんどの時間をただ上で過ごすだけとは。 あと生き残りの人選が嫌。一番役立たずでトラブルメーカーなエイミーが生き残ったので胸糞悪い。浮気するわ、軽率な行動でディミトリ死なせるわ、これといって活躍しないわでろくな奴じゃ無い。 ここまで長々と悪い点を挙げてきたが良い点もある。グロテスクなシーンをしっかりと写していたので好感が持てた。マティアスの両足切断はなかなかの見応え。あとはステイシーが自分の体を切りつけるとこ。射殺シーンもわざわざカメラが死体に寄ってて良い感じ。 コメディの要素は薄いんだけど、意図してない面白さがちょくちょくある。マティアスの両足が引き込まれていくのはシュールだったし、ステイシーの額の下で動くツタを見て見ぬふりするシーンは間がお笑いのそれ。何よりエリックが死ぬシーン。直前に止めに入ったジェフが手のひらを切りつけられ、同じように止めに入ったエリックが胸を刺される。テンポ良く天丼芸みたいな光景が広がった。 わざわざ買ってまで観る程の作品では無いが、借りて観るなら普通にありって感じ。作品情報
原題:The Ruinsあらすじ
ストーリー
感想