映画に逃げた

観た映画について書きますがホラー比重重め

カーペンターのクトゥルフ映画『マウス・オブ・マッドネス』ストーリーと感想※ネタバレあり

マウス・オブ・マッドネス

コメディ度:2/10

グロ度:2/10

感動:4/10

リアリティ:4/10

人に勧めやすいか:8/10

満足度:10/10

目次

www.youtube.com

作品情報

1995年製作/アメリカ/上映時間95分
原題:In the Mouth of Madness

監督:ジョン・カーペンター

脚本:マイケル・デ・ルカ

製作:サンディ・キング

音楽:ジョン・カーペンター、ジム・ラング

撮影:ゲイリー・B・キッビ

出演:サム・ニールユルゲン・プロフノウ、デビッド・ワーナー、ジュリー・カーメン、ジョン・グローバーチャールトン・ヘストン、バーニー・ケイシー

 

あらすじ

人気ホラー作家サター・ケーンが発表した最新作。そこには読者を文字通り狂気に追いやるほど、恐ろしい内容が描かれていた。あるとき彼は不可解な失踪を遂げ、出版社社長は特別調査員ジョン・トレントを雇い、行方を追わせる。やがてトレントケーンの本の中にのみ存在する架空の街へと吸い寄せられ、いつしか事実と虚構が入り交じった、出口のない恐怖の世界に迷い込んでゆく。

ストーリー

以下ネタバレあり

 

 

 

精神病院に成人男性トレントが送り込まれ、暴れながら独房のような部屋に収監された。

しばらくすると部屋の明かりが点滅し始め、ガラス窓を細長い腕がノックする。いつの間にか背後にいた黒い影に、こんなラストがありえるかと訪ねると、影はそんなもんじゃ終わらない、本をよく読めと言った。

トレントは黒のクレヨンを要求し、壁、床、体の至るところに十字架を書き始めた。

ウレン博士がトレントの話を聞きに来る。彼はなんとかしてトレントを外に出してやろうと提案するが、彼はこの部屋にいたがった。分裂症患者のトレントはなぜこうなったのかを話し始めた。

 

 

トレントはフリーの保険調査員。事の発端は行方不明になったサター・ケーンの調査だった。

ある日トレントは保険金詐欺を暴き、保険会社の偉い人とカフェで食事を取っていた。保険会社がトレントを引き抜こうとしていると、カフェの正面にあった本屋から斧を持った男がやって来る。彼には瞳孔が2つあり、ケーンを読むかとジョンに訪ねる。斧を振りかざそうとしたとき、その場に居合わせた警官が射殺した。

アーケイン社、社長ハーグロウのオフィスに呼びだされる。二週間前に原稿が送られて以来、怪奇小説家のサター・ケーンが行方不明になっていた。彼はこの出版社の稼ぎ頭、ハーグロウはケーンに生命保険をかけており、死んでいれば保険金を、生きていれば原稿を持って来いというのが今回の依頼だった。

今までケーンとは代理人を通して仕事していたが、先ほど斧を持って襲いかかった男こそその人であり、連絡の手段がない。ケーンの作品は時に人に影響を与える。ケーン本人も一年前から自分の作品は現実だと言い、常軌を逸していたという。

 

町ではケーンの作品”ホブの町の恐怖”の読者が暴動を起こしていた。トレントはただの集団ヒステリーと断定している。さらにケーンの失踪も保険金をだまし取るための計画的ものと推理していた。取りあえずトレントケーンの作品を1から読んでいくことに。初めは毛嫌いしていたが途中からは楽しんだ。

いつの間にか寝落ちしていたようで悪夢を見た。彼はお前に会う。斧を持った代理人がそう言うと周りにいた人間が斧で滅多うちにした。

ケーンの本を読んでいるうちに表紙にメッセージがあることに気づいた。彼はニューハンプシャーのある場所にいる。

 

翌日アーケイン社に報告すると女性社員リンダと行動を共にするよう言われた。地図の場所へ車で向かう。

リンダが暗い夜道を運転していると、自転車に乗った白髪の老人を跳ねてしまう。老人は逃げられないとだけ告げ、何事もなかったかのように自転車にまたがって去ってしった。不思議に思いながら運転していると今度は違う場所を走っているような幻覚を見て、一瞬で朝になった。

たどり着いたのはホブの町。リンダは超常現象を目にしたが、トレントは寝ていたので気付いていない。

町には人の気配がないが、リンダは犬を追う大勢の子供を見かけた。リンダは来たこともないのにこの町の全てを分っていた。なんとこのホブの街はケーンの書いたホブの街と瓜二つだったのだ。

取りあえずピックマン・ホテルに泊まることに。本ではこの建物に黒い化け物が現れたはずだが、そのような様子はなかった。

リンダは本の世界に入ってしまったと主張するが、トレントは否定する。

本を片手に町を巡った。教会に向かうと何台もの車がやってきた。リンダは銃を持った町の者がケーンを追ってやってくると言い、隠れた。

実際にケーンは子供を誘拐して教会に隠れており、取り返しに来た住人は銃を持っていた。ケーンの合図と共に大量のドーベルマンが現れて村人たちを襲う。

こんなシーンはホブの街にないとトレントが言うと、リンダは新作の原稿に同じシーンがあったという。

トレントはこの街全てがケーンの作品を模したアトラクションで、自分がモニターにされていると考えた。帰ろうとするとリンダは車を奪って出て行ってしまった。

トレントがバーに行くと住民にこの町は観光地なんかじゃない、逃げろと言われる。彼は役者だと思っているのでトレントは本気にしない。

 

リンダは教会に向かっていた。教会の中に入ると怪しげな扉があり、中にはケーンがタイプライターを打っていた。

ケーンは本のなかで本を書かされており、“奴ら”によって彼は書いたことを実現させる力を与えられていた。ケーンの後頭部には“奴ら”が寄生している。リンダはケーンに新しい原稿を見させられると両眼から血を流した。

トレントの部屋に、原稿を読んで頭が変になったリンダがフラフラと帰って来た。

 

フロントに行き、電話をかけても繋がらない。受付の老婆を探すと変容して地下室で夫を殺していた。リンダも同様に変容。急いで外に飛び出すとホテルに黒い化け物が蠢く。

トレントは車に乗って逃げようとするが、斧を持った群衆が行く手を阻む。

バーに逃げ込むとそこにいた男がショットガン自殺。現実は変わった、彼に書かれたと言い残した。

リンダを乗せて車で逃げる。彼女はここでキスをしなきゃと口付けし始めた。トレントが慌てて車から降りると、リンダはまたも変容。人でない何かとなったので置いていった。

しかし、群衆のいない方へ何度真っ直ぐに走っても町に戻されてしまう。

彼は群衆を轢くことにし、突っ込んでいったが目の前に突然リンダが現れる。リンダを避けたことにより事故を起こした。

 

気絶し、目を覚ますと教会の懺悔室にいた。ケーンが話しかける。私の本には信者が多い、だから現実となりえる。ケーンは虚構と現実を分からなくすることで“奴ら”を甦らせようとしていた。

ケーンは新刊“マウス・オブ・マッドネス”を出版社に運ばせるためにトレントを作った。ケーンいわくトレントは彼が書いた作品の登場人物。リンダが彼の原稿を読み上げるとトレントはその通りに動いた。

壁から怪物が出て来てケーンの示した現実への道を走って逃げる。

 

目が覚めると田舎の十字路に横たわっていた。通りすがりの少年にホブの町について聞くも知らないという。しかし手元には原稿があり、トレントは原稿をその場に置いていった。

一先ずヒッチハイクをしてモーテルに泊まるが、そこに原稿の入った小包が届く。彼はその一枚一枚を燃やした。

出版社に報告すると、まともに取り合って貰えない。それどころかリンダなど存在しなかった。さらにずっと前、トレントはすでに原稿を届けていたという。

書店ではマウス・オブ・マッドネスが飛ぶように売れており、読んだ人は暴徒と化した。トレントはこの先を恐れ、書店でマウス・オブ・マッドネスを買った青年に斧を振り下ろした。

 

 

これが事の顛末。ウレン博士は険しい顔でこの話を聞いていた。トレントはここの方が安全と言い、人類が本の通り滅びると予言する。

自分は作り話でケーンが作者。トレントはまだ抗っていた。

ウレン博士が去ると、病室の窓には何者かに襲われる人影が写り、ドアが壊された。トレントが外に出ると他の病室の患者も医者も居ない。物が散乱するのみだった。

無線によると人々が無差別に殺人を始めたらしい、さらに人の形ではなくなるという。

 

外の世界に出たトレントは1人も人がおらず、荒れた世界を目にした。そこに映画化されたマウス・オブ・マッドネスが上映されている映画館を見つける。

 

彼は映画館で本作マウス・オブ・マッドネスを観て、自分が作品の登場人物であったと気づき涙した。

感想

本作のクリーチャー造形や狂気は確かにクトゥルフ的だけど、直接的な名称は使われていない。ラヴクラフトの原作を実写化したものではなく、あくまでジョン・カーペンター監督が影響を受けて作り上げた作品であることは注意して欲しい。

この映画の特筆すべき点はやはりラストだろう。トレントは映画館で私たちが観ていたトレントの物語を観ることになる。それもデッド・プールの様なギャグとしてではなくてシリアスな流れで。ここに持って行くまでの運びが美しい。文字だけだと若干メタな構造に思えるかも知れないが、実際に観るとそんなことは感じない。トレントが必然的に観ることになる筋書きに感嘆した。

少しずつ現実と虚構が入り交じっていく様子を観ているとこちらも頭がふわふわする。映画を観たというよりも不思議な体験をしたような気分で、他の作品では味わえない感覚だった。

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